【6月号③】「キャンプ・スペシャル! お父さんとお母さんのライブ&占いの館」 りんね

 

 森の中のようなグリーンをバックに、中央にはとび色の布がかかり、金、水色、紫の葉が模様のように並んでいます。恐竜時代を思わせる、原始的なムードのある背景の中、夕焼け色の照明に照らされて、お父さんお母さんが座っています。

 ここは、いつものリビングではありません。山小屋キャンプ限定の、お父さんとお母さんのライブ会場。家族でぎゅっと寄り添って、これから始まる特別なライブに胸を弾ませました。

 一曲目は『青空ひとりきり』。この曲を聴くと、お父さんの弾き語りの世界に引き込まれていくことを感じます。力強い声と、ギターの刻み。マイクなしでの生演奏だったけれど、お父さんの演奏は、毎日の集合でのお話と同じで、明瞭に胸まで響きました。

 今回のライブ&トークのテーマは、大型ハウスミーティング、でした。なんでもありで、思いついた人がその場で質問をし、お父さんお母さんが答えてくれます。

 お父さんが、
「できるだけ難問を質問してください」と言っていて、どんな質問がでるかな、とドキドキしました。

 最初に出た勇気ある質問は、まなかちゃんの、
「夜中に手洗い場で、ぎっくり腰になってしまったら、どうしたらいいですか」
 というコミカルな質問。この質問の答えは、すぐに導き出されました。
「通りすがる人をじっと待って、助けを求める」。そう聞いて、夜中にそうなっても、なのはなにはたくさん人がいるから、なのはななら焦らないで大丈夫だな、と思いました。

 

 

■大型ハウスミーティング

 二曲目は『赤提灯』。お父さんとお母さんのデュエットを聞いて、幸せな気持ちになります。私は赤提灯の屋台を見たことがないけれど、この曲を聴くと、その光景が目に浮かんで、切ない気持ちになりました。

 次に出た質問は、ゆいちゃんの、
「今まで鼻血が出たことがなかったのに、最近鼻血が出やすい体質になってしまいました。これはどういう変化なのでしょうか」
 という質問。

 そのときのお父さんの答えが、印象に残っています。

 血と、身体や心は、深いつながりを持っている。思春期の身体の変わり目には、よく鼻血が出るし、大人になっても心の変わり目となるときに、鼻血が出ることがある。

 そのお話の中で、一病息災、という言葉が出てきました。何か自分が病気を持っていることが、自分の目に見えるバロメーターになってくれるということ。

 身体が丈夫で、睡眠をとらなくてもいい、食べすぎたり飲みすぎたりしても強い。そんな人は、いつか取り返しのつかないほど身体を悪くしてしまうかもしれない。けれど、病気を持っていることで、セーブを利かせることができて、かえって健康に生きていくこともできる。

 お父さんは、持病があることで人の気持ちをより深く分かるし、睡眠をとる大切さも分かる。病気を持っていることは、決して悪いことではないよ。

 私はこれ、という病気を持っているわけではないのですが、体力は強くはなくて、割とすぐに風邪をひきます。それに、心の面でも不器用です。

 けれど、お父さんのお話を聞いていて、そんな欠点も大切なものだったと感じました。

 自分の弱さに甘えて努力しないことは違うけれど、それでも良くなっていこうと努力していく限り、欠点は、優しさの基になっていくと思いました。

 今までは、身体が丈夫で、疲れ知らずなこと、さらにはスタイルが良かったり、頭が良くて能力が高かったりすることに憧れる気持ちを持ってしまっていました。でも、お父さんの話を聞いていて、未熟な自分でよかった、きっといつかお父さんみたいに、まだ見ぬ誰かに繋がっていくだろう、と思えて、涙が出ました。

 

 

 三曲目は、『いちご白書をもう一度』。

 改めて、お父さんとお母さんの弾き語りが大好きなことを感じます。以前、お父さんはみんなの前で弾き語りをするとき、自分として演奏するのではなく、なのはなのお父さんとして、演奏していることを話してくれました。

 そのためなのか、お父さんの歌は、真っすぐに曲の思いが胸に届いてくるようです。お父さんやお母さんの歌は、真剣だな、と思います。何回聴いても、新鮮に、訴えかけられるものがあります。

 それは、きっとお父さんやお母さんの心が、歌に乗って私たちに届くのだろうな、と思いました。だから、聴いていると涙が出てきて、お父さんやお母さんのライブを、家族で聴けることが、本当に幸せだな、としみじみと感じました。

 最後の質問は、せいこちゃんの、
「どうして性別が存在するのですか」
 という原始的な問いかけ。

 それには、いろいろな生き物の話を教えてもらいました。

 雌雄同体のカタツムリ。オスが、メスの体の一部になってしまうチョウチンアンコウ。メスがオスを食べてしまうホタル。

 性別は、生き物によっては曖昧なもの。けれど、オスとメス、男性と女性が存在するのは、進化の過程で、より良い、より強い子孫を残していくために必要なことだった、と教えてもらいました。

 そして、神様は人間が生み出す、優しい社会を作るために宇宙を作った。私たちは、男性と女性でそんな社会を作っていく。

 原始的な問いかけに対する答えを聞かせてもらっていると、普段は意識しないような、大きな生命の流れ、神様の意思のようなものを感じました。どんなに大きなスケールの質問に対しても、答えを持っているお父さんが、すごいなと思いました。

 そこから付随して、お父さんの温泉や銭湯でのエピソードも聞かせてもらいました。珍事件と、それを話すお父さん、隣で聞いているお母さんを見ていて、心から笑いました。四曲目は、銭湯も登場する『神田川』。そして五曲目にお父さんの好きな『旅の宿』。

 たくさん、お父さんお母さんの弾き語りを聴かせてもらって、満ち足りた気持ちがしました。

 休憩をはさみ、お母さんの占いの館がありました。とても久しぶりで、みんなが待望していたお母さんのお誕生日占い。お母さんが分厚い本を手に、登場してくれただけで、嬉しくなりました。

 

 

■誕生日占い

 今回は、東京から来てくださったゲストの方のために、お母さんがゲストの誕生日占いを読んでくれました。それは、ゲストの方にとっても、みんなにとっても優しいな、と思って、お母さんの心遣いがすごく嬉しかったです。

 ゲストの相川さん、有賀さん、大竹さん。一人ひとりの誕生日占いを読む、お母さんの心地よい声。ドキドキしながら、お母さんの言葉に耳を澄ましました。

 この誕生日占いは、ただの占いではなく、統計学に基づいた本格的なものであることを、教えてもらっています。

 お母さんの言葉を聞きながら、ゲストの方が、こくこくと頷いたり、ときには
「あちゃー」という仕草をしたり。相川さん、有賀さんの同僚の、卒業生のさきちゃんが、そっと、
「合ってる、合ってる」と言っている姿。そんな反応を感じていると、本当に、当てはまるんだな、と畏れ多い気持ちになってきます。

 自分のことではないのに、自分自身が何もかも見透かされてしまうような、ドキドキ感。かなりストレートに書かれていて、ゲストの方の人格を覗いてしまったかのような、ソワソワ感がありました。

 ゲストの大竹さんが、仕事や生活の面で、今まさに直面している問題の、答えをもらったみたいだった、と言っていました。
「やっぱり、悩んだらキャンプ」と、あの、なおちゃんの名台詞を言ってくれて、ゲストの方々も喜んでくれていたことが、とても嬉しいなと感じました。

 いつまでも聞いていたい、お父さんお母さんのライブ。けれど、夜も遅くなり、だんだん漂ってくる勝ち目のない眠気……。

 ラストソングは、『ヒーロー』でした。

 終わってほしくなくて、名残惜しいけれど、『ヒーロー』はそんな寂しい気持ちも明るくします。みんなで、大好きな『ヒーロー』をお父さん、お母さんと一緒に歌うことができて、嬉しかったです。

 お父さんお母さんの、純粋な優しさが、みんなを包んでくれた幸せな時間でした。満ち足りた時間を過ごして、エネルギーが充填されたよう。でも、キャンプは一夜目。始まったばかりです。