文字でたくさんの情報が記され、広げるとさらに様々な情報が目に飛び込む。普段は広げ、読み、見るもの……。
でも、それだけではありません。新聞紙の可能性はまだまだあるのです。
キャンプ二日目、なのはなでの伝統的な企画『新聞紙ファッションショー』。今回は、卒業生のさきちゃんや、さきちゃんの友人の相川さん、有賀さん、大竹さん、けいたろうさんなども参加してくださって、りゅうさんも加わり初めての男性チームもつくられました。
今回の新聞紙ファッションショーのテーマは、キャンプの『なのはなジュラシックパーク』にちなんで、〝恐竜〟ということで、恐竜などをモチーフにした魅力的なデザインが求められます。制限時間は二時間半です。
私は、まえちゃんチームで制作に入らせてもらいました。私はモデルになりました。
背丈が高いのでその分、衣装をつくるとなると大変になるのではないかと不安だったけれど、最初から最後まで皆が一つの作品に向かってまえちゃんを中心につくる空気の中で、なんだかとても温かい気持ちになりました。
制作が始まり、まず、モデルになる恐竜を考えました。それぞれで、調べてきた恐竜の写真などを参考にしました。色々なアイデアが出るなか、最終的に決まった恐竜は、〝ミクロラプトル〟という恐竜になりました。ミクロラプトルは、鳥類に非常に近い羽毛をもつ小型の恐竜です。
■気持ちのこもった衣装
土台となる恐竜の画像を見ながら、まえちゃんを中心に衣装の土台をつくっていきました。今回の衣装づくりの方針は、衣装の土台は質よりもスピード重視でまずは形をとってしまい、その後細かく作った大中小の大きさの異なる羽のようなパーツを張り付けていくという方針でした。
衣装の土台は、まえちゃん、なるちゃんが中心に形作ってくれました。衣装のパーツとなる、大きさの異なる羽は、さきちゃん、よしみちゃんが主に切り、作ってくれました。新聞紙や色のついた広告を同じ色と形などで黙々とカットしていきます。
さくらちゃんと、なおちゃんは頭頂部にくる飾りを作ってくれました。頭頂部の飾りは、兜のようにおでこや眉が隠れるぐらいに顔にフィットし、さらに上にも華やかにボリュームがある形で、衣装と統一感のある羽の形に切った新聞紙や色のついた広告でつくられた、素敵なものでした。
スカートの中には、実は最初に配られたアイテムの中にあった牛乳パックが使われていて、スカートのボリュームを維持するのに使われています。しかも、その牛乳パックを固定するのに使われていたのは、新聞紙でつくったしめ縄です。盛男おじいちゃんが教えてくれた、しめ縄の作り方でなるちゃんが丈夫な縄を作り出してくれました。
チームの皆が、自分の担当に一生懸命に尽くそうとしている空気がありました。それぞれが職人のようでした。そして、皆がつくったパーツ一つひとつが自分の周りに張り付けられ形作られていく中にいると、皆の愛情やまっすぐな利他心、やさしさ、誠実さの一部になっていくような感覚があって豊かな気持ちになりました。 最後に、なるちゃんが笑顔で口紅を塗ってくれました
■恐竜をコンセプトに
制限時間が終了して、体育館にそれぞれのチームが集まってきました。新聞紙で作られたと思えないぐらい、素敵な衣装をきたモデルの皆がいました。男性チームのけいたろうさんも、新聞紙を着てスタンバイしていました。
赤いランウェイを歩いて、それぞれのチームの皆が衣装の説明やコンセプト、紹介などをしていきます。
それぞれのチームが恐竜というコンセプトの中で、それぞれのモデルの良さを引き出しつつ作品を作っているように感じました。素敵でした。
お父さんお母さんの最高得点をもらったのは、のんちゃんチームの、卒業生のさきちゃんが着ていた恐竜の尻尾のついた衣装と、あゆちゃんチームのあんなちゃんが着ていた緻密さと大胆さがある衣装でした。私も特に、二人の衣装に魅力を感じました。
■大切な作品
お父さんのコメントで、
「恐竜は尖っているんだね」と言っていたのが印象に残っています。たしかに恐竜というコンセプトの特徴、尖ったフォルムなどを活かしつつも、モデルの良さや雰囲気に合わせたデザインが、高得点のチームには共通していました。
一つのテーマから、その特徴を捉え、さらにその場のメンバーやモデルの特性、力を活かしながら、作品をつくる。創造力、想像力、チームワークが必要とされ、難しくもとても面白い大人の遊びのように感じました。
実は、モデルをしていると作品となる衣装は自分の身体に取り付けられているため、最後まで全体像が分かりません。
ファッションショーを終え、衣装を外して作品を見てみると、皆の細やかな一つひとつの羽がとても美しく、愛おしかったです。新聞紙なので、一瞬の作品だけれど、私の中ではずっと生き続けている大切な作品です。
皆がつくった一つひとつの羽に包まれ、その一部となった私はいつもより誇り高く、どこまでも自由に空高く羽ばたけるような気がしました。それは、きっとずっと私の中で生き続けると思います。
一瞬は永遠、永遠は一瞬。そして、大好きな皆でつくったこの羽がまだ見ぬ人にも届きますように。