【6月号①】「ジュラシック・キャンプのはじまり ―― 太古の世界のオープニングは、みんなのライブ! ――」 ななほ

 

「すべての悩みはキャンプで解決!?」
「何かあったらキャンプをしよう!」
「なのはなキャンプ、始まるよー!!」
 緑の葉が生い茂る体育館に、突如現れたブロントサウルス。いや、それだけではありません。古吉野なのはなの至る所に、スピノサウルスやプテラノドン、ステゴサウルスなどの恐竜が大きな口を開け、牙をとがらせて私たちを待っています。

 そう、二〇二三年のなのはなキャンプは、『ジュラシックパーク』がテーマ。二十一世紀に蘇った恐竜たちは一体、どんな騒ぎを起こし、どんなふうに人間である私たちを楽しませてくれるのか、それはキャンプを準備する私たちの手にかかっています。

 今年のキャンプは雨模様ということで、盛男おじいちゃんの山には行けなかったのですが、古吉野なのはなへ卒業生や、なのはなを支えてくださる大切な方々も来てくださり、家族みんなで二泊三日のキャンプを楽しみました。

 

キャンプに来てくださったゲストの方々と、「プテラノドン・ジップライン」

 

 キャンプ一日目の夜は、お楽しみの『みんなのライブ&お父さんとお母さんの弾き語りトークショー』です。

 と、その前に。
「腹が減っては戦はできぬ」ではなく、
「腹が減ってはライブはできぬ!」。

 スペシャルゲストで、東京から、毎年ウィンターコンサートを手伝ってくださっている、大竹さんや、卒業生のさきちゃんとさきちゃんのご友人の相川さん、有賀さんもなのはなへ来てくださったところで、まずはバーベキューです。

 

 

■ゲストの方と迎えた当日

 バーベキュー係や環境整備係のみんなが、雨の日でも大丈夫なように体育館の軒下へドラム缶を用意してくれて、燃やして、焼いて、食べて、みんなと色々な話をしながらバーベキューをする時間はとても温かいです。

 私はお父さん、お母さんや、相川さん、有賀さん、大竹さんと、ゲストの方も一緒のブースでバーベキューをしていたのですが、目の前にゲストの方がズラリと並んでいる光景がどこか新鮮でした。

 また、相川さんと有賀さんは昨年のスプリングコンサートからなのはなファミリーを応援してくださり、ウィンターコンサートでも撮影を助けてくださったのですが、私のこともコンサートの時に演じた「ナナポン」として覚えてくださっていました。
「仕事で使うパソコンに、ナナポンのシールを貼っているんだよ」
「ナナポン、お肉焼けてきたよ」
「ナナポン、もっと真ん中で焼いていいよ」
 相川さんと有賀さんがたくさん声をかけてくださり、笑顔を向けてくださったことが嬉しかったし、こんなふうに卒業生を通して、なのはなの輪が広がり、なのはなの仲間が増えていくことが幸せなことだなと感じました。

 

 

 バーベキューのお肉もとってもジューシーで美味しかったし、なのはな産のジャガイモやアスパラなどもこんがり焼けて、バーベキューの香りや空気から、(ああ、キャンプが始まったんだ!)と胸が高まりました。

 そして、みんなのライブの始まりです。

 まずはじめに、
「みんなのライブって何だろう?」と疑問に思った方へ、少し説明しますと、みんなのライブは有志のライブであり、
「キャンプで歌いたい!」と思った人が、それぞれでチームを組んで、誰でも出演できるというものです。

 そのため、本番当日までそれぞれのチームがどんな歌や出し物を用意しているのかは、お楽しみ。

 

 

■『二十一世紀のモナリザ』

 私もちゃっかり、『二十一世紀のモナリザ』としてエントリーしてしまいました!

 皆さん、『二十一世紀のモナリザ』の存在をご存じですか?

 もちろん、あの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの描いた十六世紀の『モナリザ』ではありませんよ。そう、なのはなファミリーの最年少三人組は、『二十一世紀のモナリザ』として活動しているのです。

 どうしてモナリザかというと、ももかちゃんの『モ』、ななほの『ナ』、りなちゃんの『リ』からとって、『二十一世紀のモナリザ』。

 私たち三人はなのはな子供組であり、ミーティングのバディチームということから、三人で秘密基地を作ってみたり、バドミントンをしてみたり、何かと一緒に活動する機会が多く、今回ライブがあると聞いた時も、
「私たちはこの三人だね」と三人とも暗黙の了解で集まり、練習を始めました。

 

 

 でも、やっぱり子供組ということで、何の曲を歌いたいか、どんな曲が好きか、三人の意見を一つにまとめるのは難しく、結果的に、一人一曲リクエストで三曲歌うことになりました。

 私たちの選曲は、『ユー・キャン・カム・トゥ・ミー』『風のゆくえ』『フロム・ナウ・オン』の三曲。

 みんなのライブがあると聞いた時から、一日五分ずつでも集まり練習をしたり、なかなか三人が揃わずに前日に猛特訓というふう
「になったりしながらも、練習する時間もとても楽しく、賑やかでした。

 私は『ユー・キャン・カム・トゥ・ミー』を選曲したのですが、前々から、(いつか、この曲でアコースティックギターの弾き語りをしたい)と思っていて、今回、その夢を二人にも協力してもらい、叶えてもらいました。

 

 

 なのはなファミリーにいたら、ダンサーにも、ファーマーにも、山小屋だよりの編集者にもなれれば、
「やりたい!」という気持ちがあれば、アコースティックギターの弾き語りだってできてしまいます。

 小さい頃から憧れていたアコースティックギターの弾き語り。まだ、未熟なところは多いのですが、ギターを弾きながら歌うのはとても心地よく、ギターが大好きだなと感じました。

 

■大切な仲間、大切な気持ち

 そして、迎えたキャンプ一日目の夜。以前、あゆちゃんから子供組のみんなへプレゼントしてもらった洋服をりなちゃん、ももかちゃんと一緒に着て、今できる私たちの精一杯で、楽しく歌いました。

 本番は、三人とも少し緊張していたり、ちょっぴり盛り上がりすぎたりして、時々「あちゃ!」という小さなミスもあったのですが、ゲストの方々もみんなも大きな笑顔で包んでくれました。

 身体を左右に優しく揺らしながら聞いてくれたり、手拍子をしてくれたり、『フロム・ナウ・オン』は一緒に歌ってくれたりと、みんなの中でただ表現する喜びや、大好きな二人と歌える喜びを感じながら過ごせる時間が幸せでした。

 

 

 私が選曲した『ユー・キャン・カム・トゥ・ミー』は、バディのりなちゃん、ももかちゃん、なのはなのみんなへ送る曲でもありました。
「泣きたいなら肩を貸すよ。笑いたいならあなたの笑顔になるよ。空を飛びたいならあなたの空になるよ。だからいつでも頼ってね」
 お互いに協力し、助け合いながらミーティングを乗り越えて、信頼関係を築いてきたりなちゃんとももちゃんは、私にとって大切な妹であり、仲間であり、バディです。歌っている間、二人がただ横にいて笑ってくれているだけで嬉しくて、こんな風に誰かを好きになれたり、大切だと思えることが幸せだなと感じました。

 

 

 そして、今回、みんなのライブには総勢九組の出演者が集まり、歌を歌うチーム、弾き語りをするチーム、面白い寸劇に時には漫才など、幅広いジャンルとそれぞれのチームのカラーに、会場は賑やかです。

 トップバッターの「ティラコサウルス」の、なおちゃん、よしえちゃん、まことちゃん、まえちゃんはすべての悩みはキャンプで解決というテーマで面白い寸劇や、なのはなを大好きな気持ち、みんなを大好きな気持ち、目の前にある幸せを大切にという気持ちが詰まった歌を披露してくれました。

 なおちゃんは普段、税理士として働いていたり、よしえちゃんとまことちゃんもお仕事組さんで、(みんな、いつの間に練習したの?)と驚いたのですが、夜に四人で集まって練習していた時のエピソードも聞かせてもらいました。

 

〈チーム『ティラコサウルス』〉

 

 こんな風にどのチームも仲間と過ごす時間を大切にしながらキャンプに向かっているんだなと思うと嬉しくて、なおちゃんの寸劇にあったように、どんな悩みも、どんな問題も、キャンプをしてみんなと過ごしていたら解決してしまうなと感じました。

 

■笑って、泣いて

 また、さとみちゃん、りんねちゃん、ほしちゃんによる『炎のたからもの』では、夜のキャンプにぴったりな優しい歌声に、穏やかなギターの音色、美しく奏でられるソプラノサックスの音色に心が癒されました。

 

〈『炎のたからもの』〉

 

 キャンプの準備をしていた時、あけみちゃんたちのチームの歌声に吸い寄せられるようにして部屋へはいると、あけみちゃんが
「この曲を歌うんだ」といいながら、『チョーズン・ファミリー』の歌詞を教えてくれました。
「繋がりを持つために血の繋がりなんていらない
 私たちは同じ道を辿ってきたんだ
 ペンを貸して、あなたの苦しみを書き直してあげる
 準備ができたら一緒に次のページへと進もう」
 その歌詞に感動し、ライブの時、あけみちゃん、ふみちゃん、よしみちゃんの歌う姿に涙が止まらなくて、こんな風にみんなと回復していくんだと思い、三人の姿からも希望を感じました。

 

 

 そして、漫才チーム『TATUMI』の劇で笑い泣きをしたり、なのはなファミリーオリジナルソングの『空へ』に心を動かされ、透き通った気持ちになったり、それぞれのチームの思いあふれる歌にたくさんの力や感動をもらいました。

 

〈チーム『TATSUMI』による漫才〉

 

 また、さきちゃん、まなかちゃんのペアはお母さんのお誕生日会に引き続き、二人でミュージカル風に演じながら、ザ・グレイテストショーマンの『ミリオン・ドリームズ』を歌ってくれました。

 どのチームもとても輝いていて、見ている側も演じている側も心が温かくなるような演出や、空気が嬉しかったし、ゲストの方々にも楽しんでいただけたようで嬉しかったです。

 

 

■満たされた気持ちに

 それからは、リビング会場にて、お父さんとお母さんによるライブ&トークショーです。

 ライブの前にお父さんが、
「今日のライブは、大型版ハウスミーティングということで、みんなから出た質問をその都度、答えていきます」と話してくださり、アットホームな雰囲気の中、ライブが始まりました。

 目の前にはお父さんとお母さんがいて、後ろには相川さんや有賀さん、大竹さんに卒業生のさきちゃんやけいたろうさんたちがいて、大好きな家族に囲まれて過ごすライブは、胸がいっぱいになります。『いつのまにか少女は』『赤ちょうちん』『とんぼ』など、お父さんとお母さんの歌う大好きな曲を聞かせてもらって、お父さんとお母さんの歌声に、みんなの手拍子。身体を揺らせば、ライトの影がうっすらと動いて、その光景がとても美しかったです。

 

 

 みんなとぎゅうぎゅうになって、お父さんとお母さんの歌を聞いて、質問や答えを聞いて、こんなに満たされた気持ちになれるのは、世界でここだけだなと感じました。

 また、お母さんの
「占いの館」も開催され、お母さんがゲストの方のお誕生日占いをしてくれました。

 相川さん、有賀さん、大竹さんが、お母さんの言葉を聞くたびに、
「わぁ。当たってますね」
「すごい、その通りだ」
「今後、そのことを意識していきます」
 などとリアクションをしていて、とても嬉しそうな笑顔を向けてくださっていました。

 

 

 そして、お父さんとお母さんによるライブ&トークショーは、『ヒーロー』でお開きです。

 

■私たちのヒーロー

「ヒーロー、ヒーローになるとき。あーあー、それはいまー」
 と、お父さんの声に重ねるようにしてみんなと歌う時間、本当に今、なのはなファミリーで過ごせること、なのはなファミリーで初めて子どもになれて成長していけることは、とても恵まれたことだと感じました。

 私にとってヒーローはお父さんで、ヒロインはお母さんです。

 次は私が誰かの、ヒーロー・ヒロインになれるよう、もっともっと心を磨いて、まだ見ぬ誰かのために生きられるよう強くなっていきたいと思いました。