【5月号⑬】「支柱立てマシン登場  ―― 絹さや植え付けの午前 ――」 よしみ

 四月に入り、春夏野菜の種まきや定植が本格的に始まっています。毎年、夏野菜を育てるためにはかかせない、竹で作った支柱。私は、「支柱立て」という言葉を聞くと、「ああ、夏がやってくる!!」と感じてワクワクが止まりません。

 支柱立ての始まりとなる野菜は、そう、絹さやです。絹さやの支柱立てでは、キュウリやゴーヤと同じように支柱を立てたあとにネットを張る工程もあり、私は支柱立ての中でも身体と同時に頭も使う作業だなあと感じています。

 絹さやの定植をした当日、私は今季初めての支柱立てで少し緊張していました。ですが、お父さんが一緒に作業に来てくださることになり、お父さん監督のもと、絹さや担当のまりのちゃんたちと一緒に作業ができたことがとても心強かったです。

 今年の支柱立てでは、新しい道具を使ってみようと支柱立て担当のせいこちゃんやさきちゃんが考えてくれていて、今回がその新しいを道具を使っての初の支柱立てです。今までは穴開け機で支柱を立てる場所に穴を開けたあと、かけやを使って竹を打ち込んでいく方法で行っていましたが、更に作業性を良くするために、先日、かけやよりも更にスピーディーにできて使いやすい、且つしっかり竹を打ち込める道具を須原さんに教えていただきながら作りました。その名も、「支柱立てマシン」です。

 

 

 この支柱立てマシンは、木材などを中心に、古吉野にある材料を使って作ることができ、数もたくさん揃えることができます。
 それに、かけやよりも安全にしっかりと竹を打ち込むことができると教えていただき、私はこのマシンを作ったときから早く使いたいなあとずっと心待ちにしていました。

 最初に穴開け機で穴を開けたあと、支柱立てマシンを使って縦竹をどんどん打ち込んでいきます。私はこのとき、穴開け機で穴を開ける役割をしたのですが、大好きな穴開け機を使っての作業がすごく楽しくて、穴を開けるときの力をグッと入れる感覚に、「ああ、この感じだ!」と感じて嬉しくなりました。

 私が穴開けをしたところから、それを追ってペアになった三組のみんなが支柱立てマシンを使って竹を打ち込んでいってくれました。追い越し方式で「コンコン」と、テンポ良く竹を打っているみんなの姿が新鮮でとても可愛くて、尚且つかけやで打つよりもかなりスピードも早くて、あっという間に絹さやに使う縦竹を打ち込むことができ、支柱立てマシンが大活躍だったなと思います。この支柱立てマシンなら、ピーマンやナスなどの他の主要夏野菜でも使っていけそうだなと感じました。

 

■スピーティーで楽しい

 綺麗に縦竹が立ち、次は横竹を取り付けていきました。縦竹のときもそうだったのですが、畝間に竹を運ぶときは全員で一列に並び、バケツリレー方式で竹を運んでいくと人の動きに無駄がなくスムーズに竹を運べることをお父さんが教えてくださりました。これまでは、いつも竹を運ぶときに行ったり来たりするのが大変だなあと感じていたので、お父さんが教えてくださって嬉しかったなあと思います。

 また、横竹を取り付けるときはペアになって一本の横竹を持ち、一人が片方を結んでいる間もう一人が補助で持っていてあげるとだっこちゃん結びしやすいことや、最初はどんどん両端だけを抱っこちゃん結びして横竹を取り付け、全て取り付いてから間のところも抱っこちゃん結びするという順番で作業していくと効率良く作業ができることなど、お父さんに支柱立てをスピーディーに行う方法をたくさん教えていただけて嬉しかったです。年々どんどん進化していく支柱立てが本当に面白くて楽しい作業だなと思います。

 私は、このときちょうど東京から帰って来てくれていたかりんちゃんと一緒にペアになって横竹を取り付けていきました。私がだっこちゃん結びで片側を取り付けている間、かりんちゃんがベストな位置でずっと持っていてくれたのでとても作業しやすかったし、かりんちゃんと一緒に、「もう少し上かな?」「良い感じ!」と言いながら楽しく作業できて嬉しかったです。

 

 

 絹さややゴーヤなどの支柱は、補強用として竹の天井にも畝をまたぐように竹を取り付けるのですが、これもお父さんが考えてくださって補強用の竹を斜めに取り付けました。そうすると、どの長さの竹も端から大きく飛び出すことがなく、切ったり調整したりせずに使えます。

 ランダムに斜めにしながら竹を取り付けるだけなのに、完成した支柱を全体から見るとすごく綺麗なアートになっていました。少しの工夫で竹を無駄なく使うことができたり、美しくスピーディーな作業にもなるんだなあと感じ、次からの支柱立てでも生かしていきたいです。

■ピンと張ったネットのそばに

 そして、絹さややキュウリなどの蔓を伸ばす野菜では、支柱立ての最後にネット張りがあります。私はネット張りの工程が支柱立ての中でも苦手意識があり、今までのネット張りでもなかなかコツを掴むことができず苦戦していました。
 ですが、今回はネットを張る前に改めてお父さんが一から丁寧にネットを張る順序やポイントを教えてくださったことで、今まで難しく感じていたところがすごくやりやすくなりました。

 それに、今回が初めての支柱立てだった子も初めてとは思えないほど綺麗にネットを張っていて、みんなが一度で理解出来るように教えてくださるお父さんが本当にすごいなあと思いました。正直、私が今までネット張りをしてきた中でも今回が一番ピンッと美しくネットが張れたのではないかと思います。綺麗な作業はスピード感もあって、気持ちが良かったです。

 

 

 お父さんがたくさん支柱立てのコツを教えてくださったことで、すごくスムーズに支柱が立ち、予定では午前中で支柱立てを終えるところまでだったのですが、一時間ほど時間があったので、午後の作業の前倒しで絹さやの植え付けに入ることになりました。苗担当のまりのちゃんやせいこちゃんたちが育ててくれた絹さやの苗は、すくすくと育っていてとても元気そうで、畑に植えられるのを待ちわびているように見えました。苗を植えるときは、絹さやが大きくなっていくときにネットにしっかりと捕まれるように、限りなくネット際のところに植えるということを意識して植え付けていきました。

 植え付けたあとはネキリムシ対策用の草も敷き、最後は水やりもバッチリとやることができて、なんと午前中で支柱立てから定植まで全ての作業を終えることができました。お父さんが最初から最後まで監督をしてくださって、みんなと一緒に今季最初の支柱立ても成功し、絹さやも植えることができて嬉しかったです。

 

〈植え付けから20日余経ったころ、咲き始めた絹さやの花〉