5月5日 夜「見たことのない、キャンプがはじまる! バーベキュー&ライブの夜」

5月5日 夜のなのはな

 キャンプがはじまるよ!

 体育館で私たちを迎えたのは、見上げるほど背の高い、ブロントサウルス。

 2023年5月、なのはなファミリーに恐竜の世界がよみがえりました。
 今年のキャンプのテーマは、『ジュラシック・パーク』。
 大型連休でなのはなに帰ってきてくれた卒業生や、なのはなを応援してくれる仲間と一緒に、2泊3日、恐竜の世界でたっぷりと遊びます。

 

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 制作・演出、私たち。お客様として遊ぶのも、私たち。
 楽しませる側も、楽しむ側も120パーセント味わえる、それが、なのはなファミリーのキャンプです。
 それでは、『なのはなジュラシック・パーク』のスタートです。

 ブロントサウルスの巨体の向こうには、桟敷席が準備されています。
 17時40分、まだ外は明るい、開け放った体育館の軒下で、夕食のバーベキューです。

 

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「火加減はどう? ここ、良く焼けるよ―」
「見てみて、アスパラ、おいしそうに焼けた!」
 ドラム缶を囲んで、ほうぼうから聞こえる何気のない会話、笑い声。
 グラウンド向きに座った私の席からは、日が暮れてゆく空も見えます。曇ってはいるけれど、雨は、降っていない。
 炭火の熱気と、涼しい風が絶妙な心地よさを演出してくれる。

 

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「ポテトチップスできたよー!」
 ん? ポテトチップス? 今夜のメニューには、ない。
 どうやら、焼きすぎたジャガイモが水分を失ってカピカピになってしまったようだ。
 そんなアクシデントもまた楽しいのが、バーベキューなのだ。

 私の肉は、まだ焼けていない。どうやら私が肉を焼いたスペースは、やや火が弱いようだ。
 しかし、バーベキューの空気に身をゆだねてお肉を待っているだけで、なんとも満たされた気持ちになっていく――
 などと寛いで、いつまでも赤い肉たちを悠長に見守る私を見かねたみんなが、網の”特等席”へ、私の肉や野菜たちを移動してくれる。ありがとう。

 

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 美味しいお肉と野菜を味わっていると、体育館からはギターの音出しが聴こえる。
 リラックスから緊張へ、私のスイッチが切り替わる。

 バーベキューに続いて、有志のグループによるライブがはじまる。総勢9組。
 私も、有志チームの一員として、エントリーをしているのだ。
 しかも、トップバッター。急げや急げ、衣装と小道具の最終準備に向かおう。

 なのはなキャンプの定番になっているのが、有志のライブです。
 特にオーディションはありません。「出たい!」と手を挙げた人は、みんな出演できます。
 歌、弾き語り、寸劇。なにが飛び出すか、わからない。表現方法も、曲も、色とりどり。
 出演するみんなのあたためていた小さな夢や、伝えたい思いたちが、小箱の中からきらきらと飛び出してくるようなステージです。

「私、キャンプのライブでこれを歌ってみたいんだ……一緒にやらない?」
 誰かのそんな一言からはじまる、9組の小さな物語。有志のライブがスタートします。

 

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 有志1チーム目。まえちゃん率いるチーム、「ティラコサウルス」。
 私は、よしえちゃん、まことちゃん、まえちゃんと4人組で出演した。
 今回のキャンプのテーマソング(替え歌)と寸劇でエントリー。
 テーマソングは、題して『キャンプがはじまっちゃうよ』。

 

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 時間がない! やりたいことはたくさんあるのに!
 壮大な恐竜づくりに奮闘する毎日。
 優しい気持ちを持ちたいけれど、楽しいキャンプを作ろうとすると、無理な要求をしてしまう。
 ああ、でも思いはただ一つ、誰も見たことのないキャンプを作りたいんだ。
 誰も見たことのない、恐竜ファッションを見たいんだ。
 みんなで気持ちを持ち寄って作るキャンプだ、今日も、明日も、キャンプに行こう。

 

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 準備期間中のアクシデントや、気持ちの焦り、そして何が何でも楽しいキャンプにしたいんだという、執念にも近い、本気の熱い思いを、歌詞にして、歌った。
「有志チームで出場するからには、自分たちも楽しみたいし、楽屋落ちではなく、見る人も一緒に共感して笑ったり、これから始まるキャンプが楽しみになるものにしたいね」
 まえちゃんがそう言ってくれた。
 まえちゃんのギターに合わせて、4人で何度も歌う中で、この歌がとても好きになった。

 練習が楽しかった。
 ああでもない、こうでもない、ネタを作っては壊し、作っては壊し、昨日の時間はなんだったんだろうねえ、いや、何かを生み出すってそういうものさ! 大丈夫! と笑い飛ばす。
 真剣に楽しみながらの作る時間は、短いけれど濃いものだった。

 

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 私は、有志チームに誘ってくれたメンバーに、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたい。
 どんなに長く思えるトンネルにいたって、今日はお布団かぶって寝てしまおうか、と思う日だって、明るく、強く、確信を持って、こっちに光があると手を引っ張ってくれる仲間が私にはいるのだ。
 私は今回、有志チームのみんなと練習をして、本番で歌って、そんな風に思った。

 情けない姿も、立ち上がる途上にいる姿も、いつもオープンにして、一歩前に進む力を、仲間はくれる。
 そういう関係で、お互いさまでいられることの幸せ。
 なんだか大仰になってしまうけれど、心の置けない仲間との何気ない時間こそ、本当に大切にすべき時間なのだと、あらためて思った。

 本番は歌詞カードを用意し忘れて、歌詞がところどころ怪しかった、というトラブルはあったけれど、無事、歌いあげた。寸劇も、思い切りはじけて、みんなも笑ってくれた。
 キャンプのスタートを、温められてのではないか、と思って、ほっとした。

 

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 有志2組目は、“流れ星カルテット”のみなさんです。
 さとみちゃん、りんねちゃん、ほしちゃんのミーティングバディチームに、キーボードでせいこちゃんが加わった4人組。
 おしゃべりタイムのときに、お互いに好きな曲を持ち寄って聴いた中の1曲、『炎のたからもの』を歌います。

 

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 ソプラノサックス、ギター、キーボードの演奏に、透明感のある歌声。
 今日のステージは屋内なのですが、曲の途中、ふと夜空を見上げたくなった。
 メンバーの心の深いところにある安心感が伝わってきて、その気持ちを私も自分の中にも溶け込ませた。

 

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 続いてのチームは、“Wonderful Aishas”。
 曲は、なのはなバージョンの替え歌の歌詞も入った、スティービーワンダーの『可愛いアイシャ』です。
 歌うメンバーの笑顔、ハーモニーに、聴いている私も自然と笑顔になり身体を揺らします。

 4組目は、“This is me! me! me!”の3人が歌う、『チョーズン・ファミリー』。
 あけみちゃん、ふみちゃん、よしみちゃんのトリオは、ミーティングのバディチーム。

 

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 私の傷、涙、怒り、それは、みんなの傷であり、涙であり、怒りだった。
 ミーティングを通して築いてきた仲間との信頼関係。私には家族がいるという気持ちを新たにし、これまでの痛みも、出会いも、全てが必然であり、ここから使命を果たしていくという決意。
 ミーティングをしていたときに、あけみちゃんが好きだといったこの曲を、2人もいい曲だねと気に入ってくれて、キャンプで歌おうと決まった、『チョーズン・ファミリー』。
 この仲間がいるから、私はもう迷わない、大丈夫、そんなまっすぐな思いに自然と涙が出ました。

 

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 有志のライブも中盤。続いては、今回のライブで唯一漫才での出演となる、まちちゃん、ひろこちゃん、みつきちゃんのトリオ“TATSUMI”の登場です。トリオだが、実は4人目のメンバーがいる、と後にわかります。
 そのメンバーとは、お父さんである。生みの苦しみを味わう漫才トリオ。
 なかなかネタが仕上がらない3人をお父さんも心配して、ここ最近で一番悩んでいたのでは? というほど一緒に頭を悩ませてくれたといいます。お父さんのアドバイスをもとに、リハーサルからがらりと内容を作り直し、いざ、本番。さあ、場はどうなったのか――

 

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 笑! 笑!! 笑!!! 生みの苦しみを経て、トリオは笑いの花を咲かせた。大輪の花だ。
 なのはななのみんなが「あるある」となる日常ネタがふんだんに盛り込まれ、ところどころ際どい辛口ネタでギリギリの線を攻め勝負に出、笑わせつつも観客に油断をさせない展開だ。
 TATSUMI、なのはな漫才トリオがここに誕生した。次回も乞うご期待!?

 

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――『空へ』を歌いませんか?
 そんな募集の張り紙が張られたのは、とある金曜日の夜。
 なのはなの部活動のひとつであった、作曲部。
 そこで生まれたオリジナル曲が『空へ』です。作詞お父さん、作曲はかにちゃん。
「応援歌」をテーマに曲を作ろうと決まった時、お父さんがこの歌詞を書いてくれました。

「高度は3万3千フィート 空の上から見下ろせば
 眼下に広がる 未知の大陸 僕らは どこに降りようか
 高度は3万3千フィート さらに宇宙を見上げれば
 果てなく光る 銀色の河 これこそ僕らの夢の世界」

 この歌詞に心惹かれ、ぜひ歌いたいと集まったチーム“Sky”のみんなが歌う、『空へ』。
 どこまでも高く、広く、この日常の空間を超えてどこまでも広がる、私たちの希望、応援歌。

 

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「やっぱり、素敵な歌だね、コンサートでできたらいいね」
 お父さんの歌詞と、かにちゃんの作ったメロディに夢が広がります。
 作曲をしたかにちゃんも、お父さんの歌詞を見返すと、前よりも自分の中で深まる言葉があり、これからもずっと大切にしたい曲だなと感じました、と語ってくれました。
 私たちの大切な1曲を、こうしてキャンプでみんなと共有できたことを嬉しく思いました。

 

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 21世紀のモナリザ、と言えば?
 楽観的・大爆笑・最年少。なのはなティーンズの、りなちゃん、ななほちゃん、ももかちゃんの3人組。“21世紀のモナリThe”チームがやってきました。
 3人で揃って練習することが難しかった、といいつつも、なんと3曲も用意しての出演です。
『ユー・キャン・カム・トゥ・ミー』『風のゆくえ』『フロム・ナウ・オン』どうぞ!

 

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 1曲目の『ユー・キャン・カム・トゥ・ミー』は、ななほちゃんがずっと弾き語りを夢見ていた1曲。
 なのはなティーンズのメンバーとともに、夢を叶えます。
『風のゆくえ』では3人手をつなぎ、『フロム・ナウ・オン』では、ハンドクラップで客席を巻き込んで盛り上がり、モナリThe3人組の笑顔に、自分もあたたかな気持ちになります。

 

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 ティーンズ3人組の次は、がらりと変わって大人の雰囲気。
 きりっとタキシードに身を包んださきちゃんと、紅いロングスカートのまなかちゃん。
 嗚呼、どうしても曲が決まらないの―――2人がオペラのごとく高らかにアカペラで歌いだします。
 悩める2人の前に現れたエンジェル?! 2人の歌声の大ファンです! と言うももかちゃん。
 その言葉に希望を見出した、さきちゃんと、まなかちゃんは、映画で出会った運命の1曲『ミリオン・ドリームス』を、たった1人のために、歌うのだった。

 

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 キーボードのさきちゃん、アコースティックギターのまなかちゃんの、2人のハーモニーが美しく広がる。
 そのハーモニーが生まれたのも、ライブへの情熱があったから。
 目があえば曲の話をし、時間があれば練習。もはや2人は音楽室の主となっていた。
 歌うのが好き、2人で作るハーモニーが好き。
 歌うこと、音楽を奏でることって、こんなに楽しく心地よいものなのだと、聴いている私も感じます。

 

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 有志の9組に共通していたのは、「なのはなの仲間とだからできる表現」でした。
 作業やミーティング、毎日ともに過ごす日常生活を通して深めてきた心のつながり、信頼、安心。
 それが、ステージに立つ一人ひとりにあふれていました。

 有志のライブ、とりをつとめるのは、デビュー1周年、SUNSHINE Ryu(りゅうさん)の登場です。
 キャンプと言えば、SUNSHINE Ryu! 今年もRyuさんに会える、そう期待したファンも多いのでは?
 私も、その1人です。みんなのために、大切な人のために、全力で歌うRyuさん、キャンプライブをおおいに盛り上げてくれました。

 

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 1曲目は『宙船』。Ryuさんが、なのはなのお母さんが歌うこの曲の勇気をもらい、ぜひ自分も歌ってみたいと思った曲です。特別な夜にふさわしく、お母さんをステージに招いて、Ryuさんと一緒に歌います。
 私たちも、「自分の手で自分の生きる道を切り開いていこう」という力が湧いてくる、大好きな1曲です。
 お母さん、Ryuさん、みんなで歌います。

 そして2曲目は、『(Everything I Do) I Do It for You』。
 出会ってから10年、大切なあゆちゃんへの思いを込めた曲。
 あゆちゃんとりゅうさん、2人の出会いは、りゅうさんとなのはなファミリー、りゅうさんと私たちの出会いにつながります。
 私は、SUNSHINEの名前のそのものの、どこまでも強く明るくなのはなを照らしてくれる、りゅうさんと出会えたことが幸せだなと思います。

 

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 素敵なハーモニー、心を開いて自分の気持ちを表現する姿。
 ステージを全力で楽しみ、楽しませようという気持ち。
 いつのまに練習をしていたの? という驚き。
 そんな美しいもの、楽しいものたちが次々に飛び出してきた、びっくり宝箱のような時間。
 きらきらした気持ちや、夢、笑顔、信頼。
 どんな夢だって、全部全部叶うよ。なのはなのステージなら。きっと。
 そんな有志ライブでした。

(なお)

 

***

 

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 続いては、お父さんとお母さんのライブ、会場はリビングです。お父さんとお母さんへ向けてのみライトをつけた、ちょっと薄暗い会場、入るとまだ1番前のSS席が空いているではないですか。すごく嬉しいけれど、ちょっと恥ずかしいような、くすぐったい気持ちでそこに座りました。リビングでみんな肩を寄せ合い、わくわくした気持ちで、お父さんお母さんが来るのを待ちます。真ん中の座椅子には、今日はお客さんの大竹さん、有賀さん、相川さんが座っています。

 お父さんとお母さんが登場して、1曲目が始まりました。お父さんの力強いギターと歌声に、みんな手をたたいて、身体を揺らします。その時、ああ帰ってきたなと思いました。お父さんとお母さんが優しい目をして仲良さそうに歌っている、みんなが安心して1つになって歌を聴いている、お父さんお母さんのライブは、私たちにとって特別な時間、大人数の家族の温かい団欒の時間なのです。

 

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 2曲目のあと、お父さんが、
「お父さんも、学生の頃はこんな暮らしをしていてね、家にはお風呂がついてなくて、銭湯に入りに行っていたんだよ」
 と言ったとき、お母さんが、
「今の曲、お風呂出てこないよ。お風呂出てくるのは、次の歌でしょ」
 そう言って、みんな大笑い。そして、3曲目の後、お父さんが行った銭湯の話で盛り上がりました。

 

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 今日は、曲と曲の間に、特別ハウスミーティングとして、みんなからの質問が募集されました。私も、最近、困っていることについて相談させてもらいました。
「尊敬している人に会うと、すごく緊張してしまってロボットのようになってしまい、せっかく話せる機会を逃してしまい、行動も変になってしまう」
 ということを聞きました。するとお父さんが、
「その尊敬する人から何を吸収するか、という目標を絞ってみたらどうか」
 というアドバイスをもらいました。お母さんには、
「もう、尊敬している人の前では、緊張してロボットみたいになってしまいますけれどと言ってしまったら、話をふってくれるよ」
 と教えてもらいました。

 

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 他にも、
「夜中、トイレに起きた時にぎっくり腰になってしまったらどうしたらいいか」
「鼻血が出やすい時期があるのはなんでか」
「この世に、男性と女性という性別があるのはなぜか」
 など、質問がいろいろ出ました。お父さんもお母さんもどんな質問にも、自分たちの経験も踏まえてユーモアたっぷりに、答えを聞いた人が、次の日からちょっと生きやすくなるように答えてくれます。どんな悩みがあっても、お父さんとお母さんに聞いたら大丈夫、そう思えるから、私たちは、いつも笑顔で前を向き続けることができるのです。

 最後に近づいてきました。次の曲はみんな大好き『とんぼ』お父さんに合わせて、みんなも歌います。

 その後、ゲストのみなさんからの質問にお父さんが答えました。そして、お母さんの占いの館、ゲストさん3人の占いを読みました。占いの言葉に歓声が上がったり、当たってると盛り上がったり、楽しい時間になりました。

 

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 最後の曲は、『ヒーロー』。
「ヒーロー、ヒーローになるとき、ああ,それは今。ヒーロー 引き裂かれた夜に、お前を離しはしない」
 みんなで歌います。キャンプの一夜、ラストはいつもヒーロー、みんなで歌って、ライブはおしまいです。

 

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 なのはなファミリーという大家族の温かい温かい団欒の時間、お客さんもすごく笑顔になってくださって、すごく嬉しかったです。
 なのはなでライブをやった夜は、みんな安心してよく眠れるんだそう。本当かどうかは、私が熟睡してしまい、確かめることはできないのですが。

(おと(卒業生))