「キンセンカと矢車草」 ももか

4月18日

 午前中の収穫の時間に、私は初めて、さとみちゃんと、キンセンカと矢車草の収穫とラッピングをしました。雨が続いて、野菜だけでなくお花にも恵みの雨になっていたようで、お花も沢山咲き始めていました。

 初めは、キンセンカ。私は、お花は見たり摘んだりしたことはあるけれど、お嫁に行くためのお花をカットしたことはなくて、何もかもが分からない状態。けれど、さとみちゃんが一から丁寧に教えてくれました。完全に咲ききってしまったお花よりも、八分咲きくらいがベストで、それは、受け取った人が、咲く光景を楽しみたいから。咲ききってしまっては、今は一番きれいだけれど後は散ってしまうだけ。

 私はそのことに驚きました。今までお花を選ぶ時も満開のものを選んでいたし、咲く光景を楽しむという考えを持ったことがありませんでした。ですが良く考えると、もう少しで咲きそう! という時から、まだかなまだかな……とお花が咲くのを待って、待った末に咲いたときの感動や喜びは大きいなと思いました。
 なるべく長さを取りたいけれど、脇芽より少し上で切ったら、まだまだキンセンカを楽しめる。ということなど、沢山教えてもらいました。

 八分咲きから咲いたお花をチョキチョキと切っていく時間は、とても心が癒された気持ちになりました。今回教えてもらった中で一番嬉しかったことは、キンセンカを触ると手が好い香りになる! ということ。さとみちゃんが手をかぎながら、
「好き嫌い分かれるかも知れないけれど、私はこの香り大好きなんだ」
 と話してくれて、私も自分の手を香ってみると、ほんのり甘いキンセンカの香りがして、身体の中心まで幸せな香りが漂ったような気がしました。

 私が変な勘違いをして、
「手すべすべにもなる? すべすべな気がするー」
 と話したら、
「すべすべにはならないかな。逆にちょっとベタベタする」
 という回答が帰って来て、2人で笑いあった時間もとても温かくて、嬉しかったです。

 続いては、矢車草。ユーノスハウスの隣にお花畑のように並ぶ矢車草。その中に入るだけで、もうしあわせ……紫に、薄ピンク、ピンクなどと可愛い色のお花が沢山咲いていました。全面取りたいけれど、沢山ありすぎて、1回にしては多め……ということで、今日は2畝分みることにしました。

 矢車草もキンセンカと取り方は同じですが、長さは倍くらい。チョキチョキと切っていきました。静かな空間で、聞こえてくるのは、チョキチョキという音だけ。心が安らぎました……後ろを見ると、お姫様!? きれいなで優しい手つきで、矢車草を取っている、さとみちゃんの姿がありました。
 お花を見る、さとみちゃんの姿といい、手つきといい、とてもきれいで、それを見ても心が温まりました。

 私のお気に入りの色は、薄ピンク。お花を今までまじまじ見たことがあまりなかったため、こうしてしっかりと見ると、お花のきれいさ、可愛さ、感じてこなかったお花の魅力まで感じることができた気がしました。

 キンセンカと矢車草の収穫を終えると、もう既にバケツ3つともパンパン。お花売りの少女みたいと、みんなが言ってくれるほど、両手がお花で一杯で、手の重みがとても幸せに思えました。

 そして、嫁入り。長さをそろえて、ゴムで結んで、袋に入れて、完成。という、単純な工程ではありますが、一つひとつ丁寧にやるので時間はかかります。けれど、さとみちゃんが、
「お花は野菜と違って、スピードが速いかよりも、可愛いかどうかのほうが大切」
 と言ってくれて、落ち着いた気持ちでラッピングしやすくなりました。

 長さを揃えるために、先をカットするのですが、その時に2つポイントがありました。一つは、お水につけた状態でカットすること、2つ目は斜めにカットすること。これらをすることによって、水の圧力により、そして、水を吸う面積が広くなることにより、お花が長持ちしやすくなる。と教えてくれました。
 斜めに切ることが、案外簡単そうで難しかったのですが、ザクッときれいに切れると気持ちよかったです。

 ラッピングは、丁寧に丁寧にお花を包み込むようにして行いました。一番の目標は「可愛く包むこと!」それを胸に包んでいきました。思ったよりも簡単に出来て、自分で可愛い! と思えるくらいにお花を包むことが出来たときはとても嬉しかったです。

 さとみちゃんが、まちこちゃんや河上さん、藤井先生や、ひでゆきさんと、たくさんの方へプレゼントする花束も作ってくれていて、たくさんの方にお花を届けよう。と考えるさとみちゃんのやさしさに心を奪われたし、お花を手に取って下さった方の笑顔を想像すると、私まで嬉しい気持ちになりました。

 午後には、みんなが畑にもみ殻入れをしている間に、たいちゃんと砂遊びではなく、もみ殻遊びをした時間が、とても楽しくて楽しくて。疲れてしまって私に抱かれてすやすやと眠るたいちゃんに、とても心が癒されました。

 たいちゃんにパワーチャージをしてもらって、さきちゃんたちともみ殻入れから、キャベツのネット掛け、ハウスレタスの定植、キャベツの追肥チームのヘルプまで、半日とは思えないほど沢山の作業をテンポよく終わらせることができて、途中から雨が降り始めてしまったけれど、諦めないでみんなとスピード感を持って行なったため、より達成感があり充実した午後でした。