「桃の雨」 みつき

4月5日

●桃の雨

 午後から雨が降るとのことで、どんよりとした空模様でした。
 でも、桃畑に向かうと、なによりも先に桃の花の色が目に飛び込んできて、今の曇り空も忘れてしまいました。
 桃の花びらは、こんなに濃いピンク色にまで変化するのだなあと、初めて知りました。花びらが開いても、なお変化して進化し続けているようで、最後まで見せようとする、「桃の美意識」を感じたりもしました。
 でも、もうお別れのときが来ているようで、花びらが散ってがくだけになっているものもちらほらあったり、葉が伸びてきているのが、遠くからでもはっきりわかる枝もありました。

 山の桃畑の木は、ふわふわ、しっぽのように花がびっしり付いていました。
 みんなで摘花をしていると、自分が落とした花びらに加えて、近くの子が落とした花びらが、ぱらぱらぱら、と落ちてきました。雨予報はちょっぴり早まったのか、わたしたちのもとには「桃の雨」が降っていました。なんだか、とても幸せな雨でした!

 地面に目を移すと、ピンク色の桃のじゅうたんができていました。まなかちゃんが、「みんな、フラワーガールみたいだね~!」と話してくれたり、みんなで「かわいいね」と言い合った時間も、癒されました。
 ついつい見とれてしまうような光景ばかりだけれど、あんなちゃんのスピード感を意識しながら摘花をできて、すっきりしたその姿にも、気持ちが良かったです。

 花びらが散って、がくだけになった桃の中央に、小さな緑色の丸いものが付いているのを見つけました。
「あ! 実ができている!」つい叫んでしまったのですが、あんなちゃんが、「うん、花が散ったら、もう実が作られ始めているね」と、話してくれました。
 桃の木の過ごす時間の早さを感じて驚いたけれど、わたしたちと同じだなあと感じました。
 雨が本降りになってしまって作業は中断になってしまったけれど、この雨で花びらが無くなってしまう前に、みんなで桃の木を囲むことができた時間が、うれしかったです。

●イメージを描いて踊る

 午後、『グレイテスト・ショー』のダンス練習をさせてもらいました。
 のんちゃんやあけみちゃんが見てくれて、チームごとのダンスの形を揃えることが出来ました。
 わたしはCチームで、ステップで走りながら出てくる場面があるのですが、その部分をみっちり見てもらえたことが、とてもありがたかったです。みんなで1列になって並んで、お手本を見せてもらいながら、ひたすらステップ、ひたすら足を上げていました。

 自分だけではどうなっているか曖昧で、内心おそるおそるで踊っていた動きが、手足の形から目線、タイミングまで、ひとつひとつ明らかになっていったことで、堂々と踊れるようになったのを感じました。

 のんちゃんとあけみちゃんが伝えてくれる言葉が、ちゃんと的確で分かりやすいのに、面白かったです。
「このステップは、しつけをされた馬がパカパカ歩くみたいにやるんだ」
「3で『ウーッ』って力を溜めて、4で『ハッ!』って一気に上に出し切る感じで、腕を上げるんだよ」
 などと教えてもらって、みんなでその言葉のイメージを描きながら、「こうかな?」と、再チャレンジし続けるのが、楽しかったです。
 3時間のダンス練習だったのですが、やってみるとあっという間の3時間でした。

 最後に、「練習したところは断然良くなっていて、みんなが踊りこなしている感じがした!」とのんちゃんが話してくれた言葉が、とてもうれしかったです。
 教えてもらったイメージや、この『グレイテスト・ショー』をわたしたちのものとして踊りこなすイメージを持ち続けて、今日教えてもらったことを、ちゃんと覚えておきたいです。