【3月号⑬】「憧れの太鼓メンバーに ―― 胸の鼓動高鳴る勝央金時太鼓 ――」ももか

  
 私が、なのはなに入居してからずっと、ずーっと憧れていた。やりたいと思っていたこと。それは、太鼓を叩くこと!

 毎週水曜日の夜に、シスターであった、ななほちゃんや、りなちゃんたちが、勝央金時太鼓を習いに行く足取り。コンサートで、叩く姿。それらが、普段の朗らかなみんなとは一味違い、キリっと力強い表情と姿勢になって叩くみんなが、本当にかっこよく感じ、憧れとなりました。

 また、一度、勝央金時太鼓保存会を始めとする、岡山県和太鼓連盟の方々や、プロの方々の演奏を見に行かせてもらったときもありました。その時に、完全に心を奪われました。それから、太鼓をみんなと習いに行くということが夢、憧れとなっていました。
  
  
 そして、十二月末のハウスミーティングの時に、お父さんから、「太鼓をみんなと習っておいで」と言って頂きました。私は、それを聞いた瞬間、涙が出そうになるほど、嬉しくて胸が一杯になりました。

 それから、太鼓練習の日までカウントダウンを始めました。楽しみで、カレンダーを見るたびに胸を弾ませていました。

  残り〇日目! 待ちに待った、太鼓練習初日。朝から、頭の中が太鼓のことで一杯……。

 夕食前に、りなちゃんから持ち物を聞いて準備OK。夕食後、ルンルンで車に乗り込みました。

 行きの車で、既に興奮状態で、口角がゆるみにゆるんでいました。でも、ちょっと緊張。

 そして、成人式以来の勝央文化ホールへ、到着。車から降りると、中からドン・ドン! 太鼓の音が聞こえてきました。小学生の子たちが練習を。みんなの叩く姿とは、また違った可愛さがありました。その様子を見ていると、緊張が段々ほぐれていくとともに、胸の鼓動が高鳴りました。

■正しい音をイメージして
  

準備体操の様子

    
 いよいよ、私たちの練習時間に。竹内さんにご挨拶をし、初練習がスタートです。まずは、準備運動。ばちを持ち、上にあげ、足を大きく一歩出して屈伸。「いっち、にっ、さん」ひたすら繰り返して行きます。ステージを二往復半……準備運動だけで、もうポッカポカ。足がプルプル……。

 でも、小鹿になってはいられない。だって、これから叩くのですから。

 初日は、基礎練習。ばちの持ち方、叩き方、姿勢、などなど基本から細かなところまで、丁寧に教えて頂きました。叩くときに、力を入れるのは一瞬。基本はパーのような状態で、太鼓に触れる瞬間だけ力を入れグーの状態にし、またすぐ力を抜く。こうすることで、ドーン! と、変な力を使わずに大きな迫力の音が出る。そう、教えてもらえたことがとても、印象的でした。

 なぜかというと、私の予想を覆すことだったからです。簡単そう、に見えるのにとても難しい。特に利き手の反対。竹内さんが叩いてみせてくださると、とても簡単そうに見えました。その姿と、正しい音をイメージして、ひたすら叩きました。すると、ドーン! 一回だけ、自分とは思えないほどの、音が出ました。
  
  
 そのあとは、また戻ってしまいましたが。出た音、叩き方を、イメージする。このことが大切なのだと、実感しました。

 叩き方の次は、リズム練習。竹内さんの鳴らして下さったリズムと同じリズムを、ひたすら叩いて行きました。最初は混乱……リズムを叩き間違えてしまったり、左右を間違えてしまったり。でも、たくさん叩く内に感覚を掴み、それなりに叩けるようになって行きました。まだ、曲ではないけれど、みんなが一つになっていくような感覚があり嬉しかったです。

 これでもか、というくらいたくさん叩くと、とってもスッキリ! 心の霧がすべて吹っ飛び、快晴のような気分になりました。

 帰りの車では、みんなが隣の子の声も聞こえないくらい、大きな声で話していて、興奮していて。夜だって忘れてしまうくらい、興奮状態でした。これぞ、太鼓ハイ(太鼓後のハイテンション)……。

 一つ、問題が。それは、腕が上がらない。普段使わない筋肉を使ったため、筋肉痛の予感大。

 でも、楽しいから問題なし。来週は、『風の舞』。

「もう、一週間たったの!?」あっという間に先週から一週間がたち、再び水曜日が訪れました。

■憧れだった太鼓

 今回は、初めての曲練習。『風の舞』竹内さんから、小節ずつに区切って、丁寧に教えてもらいました。竹内さんがリズムを叩き、私が叩く。目と頭でリズムをしっかりと、捉えます。
  
  
 でも、そう簡単には叩けない。こんがらがってしまいました。でも、そんな時には竹内さんが、もう一度ゆっくり叩いてくださったり、みんなが叩いてくれたり。そうして、何回も繰り返すことで、覚えられてはいないけれど、リズムが掴めるようになってきました。

 「太鼓だ! これだ!」そんな感じがして、とても嬉しかったです。また、こんがらがっているときに竹内さんがこう教えてくれました。

「ダンスだと思って、叩くとよいよ」と。

 ダンス。そうイメージするだけで、さらにスムーズに頭の中で整理されて、叩けるようになりました。

 最後は、みんなで曲を通しました。締太鼓から順番に始まり、大太鼓と宮太鼓が入る。みんなと叩く。憧れだった夢が叶いました。みんなの力強い音に囲まれて、私も一緒になってリズムを叩く。まだ、曲の流れを掴めていないけれど、同じパートののんちゃんや、さやねちゃんを見て、動かしました。そして、ダダン! フィニッシュ。

 初めて、私も一曲叩きました。みんなと叩けました。すごく、嬉しくて嬉しくて。リズムを身体に入れるのは、個人練習で進めました。

 翌週はウィンターコンサートでも演奏した曲『わかば』。初めて聞いた曲は、この曲。ワクワク・ドキドキ!若葉に入る前に、古吉野で個人練習。でも、楽譜を見てもいまいちわからない。

 「教えて〜」ななほちゃんやりなちゃんが、こころよく引き受けてくれました。体育館で、分からないところを重点的に、なんどもなんども。たけひろくんも、参加。

 「ドーンドーンドーン」大太鼓を叩いてリズムを刻んでくれました。ほっこりあたたかな空気の中でできて、とても嬉しくて、楽しかったです。

 何回も繰り返すと、段々と身体の中にリズムが入っていくことを感じました。よし……いい感じなのでは……。

■『わかば』

 そして、ホールでの練習(『わかば』の日)前に再びみんなで、通しました。すると、ついていける! 自分の中で流れがつかめるようになっていました。余計に楽しい。これで、次の曲に少し安心して入れます。

 やってきました、『わかば』Week。

 今回は、かにちゃんに教えてもらいました。さきちゃんと、つきちゃんと、さやねちゃん、かにちゃんと五人で、締太鼓を叩きます。この曲は『風の舞』よりも長め。そして、複雑。パートのみんなに、前回同様、小節を区切って教えてもらいました。ちょっとパニック。

 だけど、時間はない。とりあえず、一通り譜読みを終え、締太鼓ソロのところを、今回は重点的に練習しました。
  
  
 最後には、一曲通しました。やっぱり、ついて行くことはできなかったけれど、ずーっと聴いてきた、憧れの『わかば』。自分も、それを作り上げる一人になれる。それを、感じて胸がドキドキしました。やっぱり、これも個人練習。

 今回は、さきちゃんが練習に付き合ってくれました。さきちゃんも快く引き受けてくれて、とても有難かったです。

 また、凄く分かりやすい。終えた後には、「スッキリした。叩きたかったんだ。誘ってくれてありがとう」と、練習を喜んで、楽しんでくれていたことも、とても嬉しかったです。

 別の日にも、個人で何回も何回も叩きました。すると、これもまた、身体の中にリズムが入って行きました。
    

竹内さんが1人ひとり、叩き方やフォームを見てくださりました

  
 そして、ドキドキ・ワクワク。竹内さんに二曲見ていただく日が、やってきました。緊張はしました、でも、みんなの空気に背中を押してもらって、みんなの笑顔に勇気をもらって。そして、練習したからできる。そう信じてスタンバイしました。そして、叩き始めると嬉しいくらい、自分でも分かる程上達しているような気がしました。

■締太鼓パートで

 一曲ずつ、一人ひとり細かく教えて頂きました。フォームから、叩き方までも。そして、見ていただいたあとに再び通すと、よりみんながみんな上達し、メリハリのある、力強い演奏になりました。次の週は『那岐おろし』これは、るりこちゃんとのんちゃんも、これから譜読みを始める曲です。壮大な曲……頑張るぞ。

 練習から、古吉野に戻って、車から降りると。かにちゃんが、パート発表をしてくれました。宮太鼓パートのソロにも新しく工夫を加えたいということを話してくれました。私は、るりこちゃん、のんちゃん、つきちゃんと、締太鼓。ワクワク。

『那岐おろし』Week! 今回は、つきちゃんに、教えてもらいました。

 刻みの多い、締太鼓。ほかのパートなしでは、流れが掴みにくい部分もありました。でも、刻み以外の部分を特にゆっくりから、テンポを速めて何度も練習しました。最後には、少しショートバージョンで、みんなで通しました。

 でも、今まで一番大混乱! どこまでが、刻み? どこで、締太鼓ソロ? もう、何がなんだか分からなくなってしまいました。つきちゃんが、刻み以外を叩いているときも、分からず刻み。それは、私だけではなかったそう。

 るりこちゃんも、刻んでいました。「〇〇ちゃん、今どこ叩いているのだろう?」お互い同じことを思ったのか、お互いの目が合い、笑いがこみあげてしまいました。二人とも、ハテナが頭上を飛び交い、分からず刻む。これは、練習が必要。

 でも、初新メンバーでの『那岐おろし』、私たちも流れを掴んで、曲になる。これからがとても楽しみです。

 太鼓、だーい好き!