3月2日のなのはな
昨日剪定を行った、イチジクの『バナーネ』。その剪定枝で、今日は挿し木を行いました。
イチジクは、非常に挿し木が成功しやすい果樹です。そのほとんどが、挿し木で苗を増やしていると言われています。なのはなでは元々、盛男おじいちゃんが、挿し木を教えてくださっていました。
挿し木は、木を剪定した枝を土に挿すことで、その枝から根が生え、芽が出る、というものです。
今まで、植物は種から育つものだ、と思っていたところに、枝から育つこともできるんだと知ったとき、とても驚きました。そして、そんな植物の神秘に、ドキドキするような、すごいなあ、と思う気持ちが湧きました。
盛男おじいちゃんから教えていただいた挿し木を、繋げていくため、そして、安定した苗作りに進化させていけるように、イチジクの挿し木を行います。
今日も一緒に作業を行ったのは、バディのほしちゃん。剪定から引き続き、イチジクの作業を一緒に進めていけることが、とても嬉しかったです。
手始めに、剪定後から一晩水に浸けておいた枝を、挿し穂に切っていきました。
挿し穂に向いているのは、昨年に伸びた若い枝です。太すぎず、細すぎず、丁度良い枝が発根しやすいと言われています。
その枝を、3芽残して、下は節の真下を斜めに切り、上は節の真上をまっすぐに切りました。節の真下を斜めに切るのは、節の断面から、最も発根しやすいためです。
挿し穂は全部で200本。ほしちゃんと2人で、どんどん切りました。
イチジクの枝は柔らかいです。盛男おじいちゃんから、木質が“スポンジ状”になっていることを教えていただいたほど。剪定ばさみで切ると、サクッ、という感触がしました。
また、断面からはイチジクの木の香りが漂いました。
挿し穂の準備ができると、ユーノス畑へ場所を移動しました。
これから苗を育てていくのに、園芸担当のさとみちゃんが、ユーノス畑の空きスペースを使っていいよ、と言ってくれました。さとみちゃんも、ほしちゃんと、私と同じバディです。
ユーノス畑には、さとみちゃんが育てている宿根草や球根がたくさん植わっていて、ほしちゃんが育てているヤグルマソウも、植わっています。
そこへ、イチジクの挿し木が加わることに。ブロックを4つ置いて、桟木を渡し、こじんまりとした挿し木のスペースを作りました。
私たち3人のバディにとって、ユーノス畑が共通点になった、と思いました。
今回は初めての試みで、ポットでの挿し木を行いました。
土は、赤玉土、牛肥、落ち葉堆肥を配合して、半月ほど寝かせて発酵させた、特製の土を使いました。握ったら固まり、触ると崩れるくらい、を目安に水を加えて土を混ぜます。
ポットへ土を詰めていると、落ち葉堆肥のいい香りがしてきました。山の中の土みたいに、フカフカした土になっていて、とても嬉しかったです。
今日は雨がぱらついたり、粉雪が降ったり、落ち着かない空模様でしたが、パッと晴れると黄金色の光に包まれて、とても穏やかな気持ちになりました。
土をポットに詰め終わると、「どうか、根が生えますように」と祈る気持ちで、挿し穂をどんどん、ポットの中心に挿していきました。
挿し木にとって、発根するまで一番大切なことが、乾燥させないこと。挿し穂そのものに含まれた生きる力を、絶やさないようにするために必要なのが、水分です。
ポットに全て挿すことができると、ポットの底から滴るくらい、たっぷりと水をやりました。
最後に、ほしちゃんが上の断面に、病気が入ったり、枯れこんだりしないように、トップジンを塗ってくれました。
これで無事に、イチジクの挿し木は完了。
後は水を切らさないように、こまめに見回って、水やりの手入れを続けていきたいと思っています。
挿し木は、日中気温が15度前後のとき、最も発根しやすいと言われています。気温が高すぎても、発根よりも展葉に栄養が取られやすい。
今はほんの少し15度よりも寒いくらいで、挿し木にとっては、一番いい時期に行うことができたのではないかな、と思いました。
これから、イチジクの挿し木を見に、ユーノス畑へ行けることがとても楽しみです。ときにはバディのみんなも一緒に、ヤグルマソウや花たちの中で、挿し木の成長を感じていきたいな、と思います。
(りんね)
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春夏野菜の種まきも、着々と進んでいます! レタス、キャベツに引き続き、今日はスイートコーンの種まきをしました。
私にとっては、久しぶりの種まき作業。やったー! ウキウキしながら吉畑手前ハウスに向かいました。
今回撒くのは、847粒。セルトレーの穴の数を計算しながら、必要分のトレーに培土を詰め、下準備は完了。
スイートコーンの種は、ピンクに着色されていました。ハートの缶に入れてみると……。
なんと可愛いことでしょう。気分は、さらに高揚しました。
「種は、尖ったほうを下にして置いていき、そのあとは2ミリくらいの覆土で大丈夫です」
まりのちゃんが蒔き方を伝えてくれて、みんなで一斉に種まきスタート。
セルトレーの真ん中に種を置いていく作業はまるで、チョコレートマフィンにピンクの砂糖菓子でトッピングしているような気分です。
その後、種が隠れるように土を被せたら種まき完了。
「至ってシンプルな工程だけど、この瞬間から、今年のスイートコーンの栽培が始まっているんだな」
そう思うと、嬉しいと同時に、ちょっとドキドキするような、そんな気持ちになりました。
どうか、発芽してくれますように。
種まきの作業をするときは、自然と祈るような気持ちになります。どうか、元気な苗になってね。逞しく、美しい野菜に成長してね。そんな願いを自然に持つことができて、心が洗われます。
スイートコーンの発芽適温は、23度から30度と、少し高め。古吉野は、まだまだ、夜の最低気温が氷点下となる日も多いので、ハウスの中で、農電ケーブルを土の中に入れたスペースに、ビニールを3重にかけて、苗たちを並べました。今日は、上からさらに毛布もかけて保温しました。
(ちなみに、セルトレーの間に写っている鉢は、えつこちゃんが育てている盆栽です。古吉野の至るところで出現しますが、今日はハウスの中でスイートコーンとともに眠るようです)
果たして、ベストな温度で保温できているのか。まりのちゃんが温度計もバッチリ入れてくれたので、明日見にいくのが楽しみです。
どうか、発芽してね!
(せいこ)
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今日は週に一度のお楽しみの日。版画教室です。
今、版画教室では、古吉野の風景を写真で撮ったものを、版画の絵にしています。
池下田んぼの上の池の風景や、河原の家々、滝川の橋、那岐山、栗畑のそばで見られる牛、など、それぞれ風情のある瞬間、景色を、迫力のある白黒の画面に掘り、刷ります。
私は、栗畑の牛を題材にしました。
最初に題材を決めるときに、お父さんが撮ってくれた写真の一覧を見たとき、「これを描きたい!」と思ったのが、その牛でした。
白黒にすると迫力があって、牛の重厚さがあり、その大胆さと白黒のコントラストの潔さに心を惹かれました。
今日にいたるまで、下絵を描く段階を進んできました。
写真からどの個所を白い色にしようか、黒い色にしようか、その決断力と潔さが、版画には必要だと思いました。
藤井先生が、版画の画面は、白黒7:3にするなど、色の比率が大事だということを教えてくれました。
そうすると、画面がどちらの色が喧嘩したりもせず、バランスの良いものになっていくと思いました。
当初は、難しいな、と感じていたけれど、次第にどこをどう見せたいかという気持ちも生まれてきて、楽しくなってきていました。
そして、下絵が完成して、板に転写。
今日は、彫りの段階に入りました。
今回は、かなり細かい部分も多く、慎重に掘らないと損傷がでてしまったりで、集中力と根気がいるな、と思いました。
けれど、藤井先生がいてくださる教室の、みんなとの空気が、柔らかく穏やかで、集中しつつも、リラックスした気持ちで向かえるなあ、と思いました。
素敵な古吉野百景ができるように、精を出して向かっていきます。
(ほし)