【4月号⑧】「苗のお母さんとなって ―― 春夏野菜 育苗記 ――」 なつみ

 この春から始まった、新たなわたしの役は「苗の母」。
 これは、新米苗の母の奮闘記、1か月の記録です。
 吉畑手前ハウスに入ると、綺麗に整備されて、新しい農電ケーブルも埋め込まれている苗床に、白いラックも用意されていて、須原さん、さくらちゃん、よしみちゃんたちが、まえちゃんと連携を取って、春夏野菜に向けて育苗をが出来る環境を作ってくださっていました。

 

■2品種のレタス

 今季初の種まきトップバッターとなるのは「レタス」。
 レタスと言っても、今回は、なのはなで主に育ててきた玉レタスではなく、どちらかというと白菜に近いようなフォルムで柔らかく結球する「ロメインレタス」という品種と、リーフレタスの2品種で、育てたことのないタイプのレタスが、これから種を蒔いて、芽を出して、育っていく様子を見られるのは、とても興味深くて、ワクワクすることでした。

 種袋をあけると、ロメインレタスの種はコーティングされていて、3ミリほどの大きさがありました。
 白に近いクリーム色の卵型で、128穴のセルトレーに培土を詰めて、穴の真ん中に種を置いていくと、土の上で、恐竜の卵が寝ているような、ミニチュアの世界を感じて、とてもかわいいなと思いました。

 

 

 一方、まえちゃんとまりのちゃんが蒔いているリーフレタスの種は、コーティングされていない為、「これぞ、キク科」と思うような、小さい小さい、直径1ミリほどの種で、これから、こういう小さな種を、自分も蒔いていくのだと思うと、まずはコーティング種子で確実に芽が出るように、ロメインレタスの種を祈る気持ちで蒔きました。

 それから3日すると、芽が出始めて5日から6日で芽が出そろいました。
 やはり、ロメインレタスのコーティング種子は出やすく、リーフレタスの種は発芽が難しいことを感じましたが、それでも、定植したい株数には達していたのと、わたしはあまり種まきをしてきませんでしたが、種を蒔いて、芽が出ると、出会う人みんなに言いたくなるほどとても嬉しかったです。

■小さなデティール

 芽が出ると、今度は出てきた葉の角度、色、茎の長さ、いろんなところが気になって、苗の母となった、まえちゃんとわたしは、いつも苗を見ては1喜1憂し、ドキドキしたり、ヒヤヒヤしたり、ハッピーになったり、忙しいですが、それも、まえちゃんと共有できるのも、とても楽しくて、嬉しいです。

 レタスの種まきから始まって、ナス、トウモロコシ、キュウリ、ミニトマト、キャベツ、水菜、一番最近ではズッキーニの種まきをして、なのはなでは久しぶりに育てるズッキーニの種まきをしたことを話すと、みんなもワクワクしている様子を感じて、これは上手に育苗して、みんなで飽きるほどのズッキーニを食べられるように頑張ろうと思いました。

 

 

 印象深いのは、キャベツの種まきです。
 歴代の育苗係さんから「キャベツの種まきは難しい」と聞いたことはなく、比較的発芽適温20度から30度と幅が広いため、芽が出やすいのだとばかり思っていたのですが、案外キャベツの芽は出揃わず、まえちゃんと、種の蒔き方以前に、セルトレーに詰める培土の密度から見直して、改善し、水をやるタイミングも考えました。
 そうすると、発芽率100パーセントのトレーが出てきて、さらに、苗床の日当たりや東側と西側で暖かさが違うことを考慮して、トレーを置く位置を入れ替えたりすると、さらに発芽が揃い、本当に小さなディティールのような気づかいに種や苗が反応を示してくれることが嬉しかったです。

 

 

 育苗が始まってから約1か月がたち、少しずつ、ハウスの温度変化や苗床の温度管理、それぞれの苗が好きな環境、求めている環境がわかってきて、苗のことがわかると、より愛着を持って、見たり、手入れが出来ます。

 まだまだ理解が浅いところはあるけれど、それでも、毎日苗を見に行って、苗を守る使命感で、壁に当たりながらも、苗があるから毎日前向きで居られるなと思います。ちなみに、この記事を書いている週はピーマンを蒔く予定。
 夏の主力選手なので、祈る気持ちで種を蒔いてきます。