【2月号①】「津山加茂郷フルマラソン全国大会に向けて走り出す ―― まだ見ぬ誰かに繋がる、四十二・一九五キロへの道のり――」 あけみ

4月21日に開催される津山加茂郷フルマラソン全国大会に向けて、練習が始まりました。毎朝、柔軟筋トレ・ランニングを行い、マラソンに必要な心と身体を作っていきます。今の時期は奈義コースのランニングをしています

 

『俱に 走りだそう 俱に 走り継ごう 生きる互いの気配だけが ただひとつだけの灯火』
 二〇二四年も明けて、新春紅白歌合戦でお母さんが歌ってくれて大好きになった『俱に』。その歌詞のように私たちは、今日も走っています。

 今年、津山加茂郷フルマラソン全国大会に出場することになりました。四十二・一九五キロ。フルマラソンの参加も、フルマラソンまでの練習の過程も、経験をしたことがないメンバーが多くいます。私は、今回、まちちゃんと、まなかちゃんと、フルマラソン練習の実行委員をさせてもらうことになりました。

 私自身も久しぶりのマラソンやフルメニューだったり、未経験の人が多い中の練習や過程ということで緊張する気持ちがあります。
「私達は何のためにフルマラソンを走るのか」「フルマラソンやフルメニューに向かう心持ちとは」
 フルメニューが始まる前に、夜の集合で実行委員から、お父さんお母さんに質問をさせていただきました。

 

 

■自分をつくる手段

「健康な身体には健康な心が宿る」
「フルマラソンを走るという過程で、自分なりに目標を立てながら、先を見ながらも目の前の一つひとつを自分のものにしていく練習にもなる」
「走ったり、身体をつくることで粘りのある気持ちや身体をつくることができる」
 と教えてもらいました。

 私たちがフルマラソンを走るのは、決して競争のためでもなく、記録や評価のためでもなく、ステータスのためでもないです。走るということを通して、人としてあるべき姿、あるべき心持ちを積み重ね自分をつくる手段です。そのことを、お父さんお母さんやあゆちゃんから改めて教えてもらって、皆で同じ方向で気持ちをそろえられたように感じてとても嬉しかったです。

 

■目の前の一歩を

「皆が走っている姿、本当に綺麗で涙が出そうになるんだ」「フルマラソンの時の皆の空気が好きだ」
 お父さんお母さんが今まで走ったメンバーや卒業生の話をしてくれた話の中で印象にのこったことがありました。フルマラソンの時の皆の好きな空気、それは保障を誰も求めていないところだということでした。

 走り切れるか切れないのかはわからないけれど、それまでの過程で積み重ねてきたものがあって、あとはただ走るだけ。フルマラソンを皆と参加したときの気持ちや、空気を思い出しました。

 フルマラソンやフルマラソンの過程で生きることと似ているなと感じます。四十二・一九五キロなんて最初は想像が出来ないぐらい長く不可能のように感じます。でも、目の前の一キロ、十キロをまず目標に一歩いっぽ前に進みます。途中、足が止まりそうな時、なのはなのお父さんお母さん、応援組の皆の声や姿、言葉や笑顔、そして沿道でも応援してくださる地域の方に力をもらうと不思議と力が出ます。

 四十二・一九五キロの間で、いろいろな出会いもあります。人の出会いもあるけれど、津山加茂郷フルマラソンでは様々な自然を感じることができます。大きな桜の木や、山の木々が春の風を受け生命を精一杯美しく輝かせている姿、山の空気、鳥の姿、川の流れや音……。自然はとても大きくて、誰に見られていようが、いまいが、精一杯自分が与えられた生命を、役割を、ベストで輝かせようと一生懸命です。そんな姿に、私も目の前の一歩を祈るように積み重ねようと思えます。

 また、自分の中に競争心や評価、結果を気にする気持ち、恐れや不安、おごりがあると、自分のペースを崩したり、身体を壊すことにつながります。
 変に自分の身体を、自分の欲やおごりでコントロールしすぎようとしたりしてもいけないし、だからと言って人任せや誰か任せでは走りきることはできないです。祈るように謙虚に、そしてまっすぐに理想と目的をもって、走ることが必要です。

 

 

■積み重ね

 お父さんお母さん、皆の中で走りながら、自分自身の気持ちや身体の足りない部分、課題とも向き合い修正することが出来ます。
 私達の四十二・一九五キロは、ただのフルマラソンではなく〝まだ見ぬ誰かにつながる四十二・一九五キロ〟です。

 まだ見ぬ誰かに繋がる四十二・一九五キロへの道のりは、もう始まっています。過去の記録や積み重ねを材料に、今年の予定をお父さんお母さん、実行委員で考えました。
 『走ることに身体をならす週』『平坦なコースで走れる身体をつくる週』『脚力をつける週』『持久力をつける週』など十一のステップを設けました。一つのステップが約一週間から十日間になっていて、途中では一日、十四キロ程走るピークも設けています。ピークの後は、本番に向けて身体を調整する期間として徐々に距離を落とし調整していきます。速さは時速約八キロで練習をしています。本番までに身体を壊さずに、フルマラソンを時間内に走り切れる速さです。

 今はまだ走り始め、梅の木コースという二・五キロのコースが終わり、奈義コースという四キロの平坦のコースに入りました。
 奈義コースの初日、「人生で初めて四キロ以上を走る」という人も中にはいたりもしました。初めて奈義コースを走った後に、「すごく気持ちが良かった」「皆と一緒に走り切れたのが、自分で自分にびっくり!」という声や皆の走り切った後の笑顔やすがすがしいような表情をみていると、本当に嬉しかったし自分も力をもらえます。

 

 

 一日いちにち、目の前の一歩の積み重ね、それが皆の、私たちの、小さな成功体験の連続になったらいいなと思います。そのためにも、微力かもしれないけれど力になれるように尽くしていきます。
 実行委員を一緒に行う、まちちゃんやまなかちゃんの存在もとても心強いです。「フルメニューの時間が皆にとって楽しかった、嬉しい時間になってほしい」といつも色々なアイディアを考えてくれたり、明るい声かけで皆を引っ張ってくれるまちちゃんや、初めてのフルメニューやフルマラソンで緊張や不安もあるはずだけれど、どんな時も明るい笑顔を絶やさず一緒に声掛けをしてくれるまなかちゃん。二人のそんな姿に自分も力をもらえます。これから、一緒に積み重ねていけるのがとても嬉しいです。

 

 

 私もまだまだ発展途上だけれど、今、私達がこうやって走ることのできる身体や気持ちがあるということ、そういう環境や人の中で生きられているということ、それは当たり前のようで全く当たり前のことではないです。

 フルマラソンの時にお父さんお母さん、皆やたくさんの人の笑顔や声、存在や、自然の中の美しさ、周りの人の美しい姿から力をもらい、走り続けられるように、私はたくさんの人に助けてもらって、生かされているのだと思います。
 だからこそ、私も自分の与えられた役割、使命をただまっすぐに尽くせるように、そしてそれがこれからの仲間の、誰かの光や力、材料に少しでも繋がっていますように。そう、祈る気持ちで皆と走り続けたいです。

『ひとりずつ ひとりずつ 僕たちは全力で共鳴する』
『俱に 走りだそう 俱に走り継ごう 生きる互いの気配だけが ただひとつだけの灯火』