【11月号③】「積み重ねてきた気持ちを携えて 一宮 鵜の羽フェスティバル」 りんね

 

 東一宮で開催された鵜の羽フェスティバルに、バンド演奏とダンスで出演しました。
 五月の鎌坂峠つつじ祭りに始まり、夏のお祭り、秋の金時祭というイベントで行ってきた、約一時間の演目。この演目をフルバージョンで行うのは、鵜の羽フェスティバルが最後でした。

 金時祭での演奏は、お客さんへ思いが届いたことを肌で感じるほど、大成功しました。その流れを持って、この演目でのイベントの集大成となるように、気持ちを作りました。

 東一宮は、なのはなをいつも助けてくださる、永禮さんの地元です。永禮さんへ感謝の気持ちを込めて、東一宮の方々に喜んでいただけるように、鵜の羽フェスティバルに向かいました。

 

 

 演目の一曲目。大人数で踊る、『ザ・グレイテストショー』の練習が始まったのが、今年の二月でした。
 心の傷を癒やすミーティングと同時並行で、振り入れから進んでいきました。お母さんがこの曲をもう一度やろう、と話してくれたことが、本当に嬉しかったことを覚えています。
 ミーティングに真剣に向かいながら、夜にみんなでこのダンスを踊って、心に溜まったものが、全身で表現することで発散されていくような感覚がありました。
 私たち一人ひとりが『グレイテスト・ショーマン』の映画の登場人物、サーカス団の一員になったように、気持ちも動きも、揃えて、練習をしました。

 

■幕開けの曲

 あけみちゃんを団長とした、色とりどりの団員が、入れ代わり立ち代わり、キラキラと希望に満ちた、幕開けの曲になりました。
 久しぶりの、野外でお客さんを前にするイベント、鎌坂峠つつじ祭りで初めて踊ったとき、慣れない土の足元で、この曲を踊ることが、ものすごく難しかったです。臆病な気持ちがあると、表現者になることはできませんでした。
 けれど、それから数々のイベントを乗り越えていく中で、確かに成長していくことができました。

 あゆちゃんが、イベントのたびに、表現する立場としての心持の在り方を、教え続けてくれました。自分を離れて、お客さんを楽しませる存在になって、怖がらずに、気持ちをお客さんへ飛ばすこと。
 はじめは、お祭りという大勢の人がいる場で、人前に出ることが怖かったけれど、毎回少しずつ、怖さよりも表現する喜びが大きくなっていきました。
 季節が変わって、秋になり、一宮鵜の羽フェスティバルに出演するとき、今までのイベントでの成功体験からくる、小さくても確かな自信がありました。

 

 

■なのはなの一員として

 こんな私でも、なのはなの一員として、表現し、お客さんに喜んでもらうことができる。まだ、大勢の人の前に出ることが、怖いという思いを、完全に克服できたわけではありません。けれど、お客さんに目を向けて、「なのはなの演奏を、観てください」と思いを飛ばしながら、ステージに立つことができました。

 当日は曇り空で、出演前には微かな雨が降っていたけれど、お父さんの晴れ男パワーで、演奏をする頃には、ぴたりとやみました。
 全八曲の演目の内、私は、『グレイテストショー』『チープスリルズ・シェイプオブユー』『オテア・ルミア』『ビューティフル・ピープル』の四曲にダンスで出演しました。

 一番緊張するのが、やはり幕開けの『グレイテストショー』です。
 今までみんなで積み重ねてきた練習を信じて、サーカス団の一部になれるように。なのはなのバンド演奏の高まりとともに、気持ちを強くして、踊りました。
 この曲を乗り切ると、更に自信がついて、自由に踊れるようになっていきます。

 『チープスリルズ・シェイプオブユー』のチープ・スリルズでは、思い切り飛び跳ねて、思い切り変顔もします。客席の前で観ていた小さな女の子が、真似をして踊りながら、にこにこと観てくれていたことが、嬉しかったです。
 ステージでの立ち位置も、確実に立つべき場所に立つ意識を今までより強く持てたことを、感じました。
 シェイプ・オブ・ユーを踊っていて、斜めのラインがずらりと揃っていることを視界の端に感じて、立ち位置にも自信を持って踊ることができて、嬉しかったです。

 

 

■永禮さんからのエール

 『オテア・ルミア』は、アマゾンのおさるさんになったかのように、前で踊るゆりかちゃんたちの後ろで、イプやプイリを打ち鳴らしながら踊ります。
 竹で作ったお手製のプイリを、キレよく鳴らして、打楽器の音に乗せて踊ると、原始的な力が湧いてくるように感じます。最後のポーズをすると、「ヒューッ」と口笛が聞こえて、大きな拍手をもらい、誇らしい思いでいっぱいになりました。
 出はけをするとき、本部テントにいらっしゃった永禮さんが、いつも笑顔で見送ってくださいました。永禮さんの嬉しそうな笑顔を見ると、鵜の羽フェスティバルに出演して、永禮さんに喜んでいただけて、本当によかった、という思いがしました。
 永禮さんから、エールをもらいながら見送られて、最後の『ビューティフル・ピープル』を踊りました。
 この曲を踊るときに、雲の合間から太陽の光が差し込んで、ステージがスポットライトを浴びたかのようになりました。

 

■心から肯定して

 『ビューティフル・ピープル』を踊っていると、客席から、屋台のテントから、なのはなのステージへ温かな目線が向けられていることを感じました。
 アンコールの声がかかり、もう一度『ビューティフル・ピープル』を踊りました。同じ曲でも、さらに可動域が広がって、大きく、キレよく、踊れるようになっていくイメージで。

 曲が終わって、お客さんへ目を向けると、目の前の客席にいらっしゃったご夫婦が、二人とも同じように温かい笑顔を向けて、拍手を送ってくださっていました。なのはなのステージの一部として、今ここに存在していることを、心から肯定してもらったことを感じました。

 

 

 なのはなの演奏後、大きなやぐらが会場の中央に引かれてきて、『一宮小唄』の踊りがありました。
 なのはなの子で広い円を作ると、そこへ地元の方々が入って、四曲分、『一宮小唄』を踊りました。地元の方と、情緒のある曲に合わせて踊っていると、東一宮の方々とより心が通う気持ちがしました。

 

 

 一つひとつのイベントが、私たちが成長する大切な場で、お客さんからなのはなの私たちを肯定してもらえることが、私たちの糧になっていくことを感じます。
 鵜の羽フェスティバルを無事に終えて、この演目の集大成に、永禮さん、東一宮の方々に喜んでいただけたことが、とても嬉しかったです。