【10月号⑭】 「レンガのロータリーは、なのはな種苗店」 えみ

 

  
 夏の終わりごろから、セロリに始まってキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜など、地植えをする野菜たちの種まきが始まり、すでに畑に旅立ったものもあれば、定植を待っているものもあります。

 一番最初に種まきが始まったのは、セロリ。セロリは育苗期間が長く、八月の頭ごろに種をまき、芽が出てから定植まで約一か月半ほどかかります。

 セロリの発芽適温は、十五度から二十度と、涼しい場所でしか発芽できないので、芽が出るまでは、エアコンを効かせた六年生教室で管理をしていました。
 
  
 種をまいたトレーに不織布をかけ、上手く発芽できるように蛍光灯で光を当て、苗チームのみんなと協力して温度  や水の管理をしながら、じっと待つこと一週間ほど。

 

セロリの種の芽出し。種が発するホルモンでお互いの成長を抑えることがないよう、間隔をあけて並べます。

  
 夏の暑さ真っ盛りの時には、温度を保つだけでもかなり大変で、あゆちゃんがアイデアをくれて、時には扇風機の後ろに凍らせたペットボトルを括り付けて当てるなど、できる限り涼しい環境をつくれるようにしたけれど、本当に芽が出てくれるのだろうかと心配な気持ちもありました。

 でも、ある日、ふっと息を吹けば飛んでしまいそうな小さな小さな種から、白い根が伸び始めて、やよいちゃんやさくらちゃんと一緒にそれを見た時にはほっと安心して、とても嬉しい気持ちになったなと思います。

 こんなに小さな種から、わさわさと茂るセロリに育っていくと思うと不思議な気持ちになるけれど、その姿を想像すると楽しみになりました。

■秋冬野菜、成功のために

 キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜など本格的に秋冬野菜の種まきが始まってからは、トレーの枚数も増え、中庭のロータリーや玄関下が苗のスペースになりました。

 苗のトレーが積まれたラックがずらっと並んでいる光景を見ると、自分たちで苗屋さんをしているような気持ちになります。
  
  
 日差しの暑い日中の時間帯は、苗たちも弱ってしまうので、朝や夕方の比較的涼しい時間帯に光を当てるようにして、日中は玄関下に取り込むなど、水やりも含めて苗の出し入れもみんなで協力して行いました。
 
 時には、まだ幼い苗たちにイモムシやアブラムシなどの害虫が来ることもありました。ブロッコリーやカリフラワーに少し虫食いが来てしまった時には、全員で虫つぶしをするほかに、お父さんが考えてくれて、アミノ酸溶液の底面吸水をすることになりました。苗自体を元気にさせるだけでなくて、植物が吸収すると苦味のもとになって虫が来なくなるのではとお父さんが教えてくれて、実際、その後からは苗の状態も良くなったと感じて嬉しかったです。

 秋冬野菜を成功させるためには、まずは状態のいい苗を育てることが大切です。
 秋冬に繋がる綺麗な苗が育つように、自分もできることをしっかりしていきたいなと思います。