「意味を落とし込んで」 ななほ

10月23日

 3日間の音楽合宿が明けた月曜日。
 食堂へ行くと、あゆちゃんがクリスマスプレゼントのように、今週のテーマを黒板に書いてくれていて、音楽合宿の時だけではなく、今週1週間やりたいこと、やるべきことがハッキリとし、背筋が正されました。

 また、お母さんが提案してくださり、これから毎日、1人ずつあゆちゃんが訳してくれた『オブリビオン』の和訳を朝の初めに朗読するというものも始まり、初日はあけみちゃんが読んでくれました。

 あけみちゃんが感情をこめて、気持ちを前に出して、切実に読んでくれたその言葉が、1つひとつ自分のこととして、自分たちのこととして改めて心に響いたし、毎日、この和訳を聞くことで、言うことで、ちゃんと和訳の意味を、コンサートの意味を自分の中に落とし込んでいきたいと思いました。

 どうか間に合って 見てよ、今の私に嘘はない
 とにかく逃げ続けること それしか 死なずに済む方法はなかったんだ

 でもお願い、今こそ 今こそ
 私を 私を一度ぶち壊して
 私は一度 気を失って
 全く違う人間になる必要があるのだ

 私はまだ、迷いがあったり、気持ちが後ろ向きになってしまうと過去へ向いてしまうこと、過去にこだわって自分で自分を苦しめてしまうことがあると思います。

 でも、今回のコンサートで完全に抜けたいです。

 卒業生ののんちゃんが振り付けてくれた『オブリビオン』と『ホワイト・フラッグ』のダンスを、踊りこんで、踊りこんで、踊りつくして、全身がバラバラになるくらい、自分が自分ではなくなるくらいまで真剣に、全力で踊って、新しい自分として生きていきたいです。

 後ろを向くこと、過去を振り返ることは簡単で誰にでもできるけれど、それは逃げでしかありません。
 今の私に嘘はない。今までは、逃げ続けるしか死なずに済む方法はなかったし、症状に逃げて、依存に逃げて、過去に逃げてくることで自分を保ってきたけれど、もう私にはその必要がないし、その必要がなくなった私は、逃げたらもう二度と、戻れなくなってしまいます。

 それが分かっているからこそ、私は全く違う人間になる必要があるし、このコンサートで過去のすべてを洗い流して、忘れ去って、より強く、勇ましく、まだ見ぬ誰かのために自分に与えられた使命を果たしていけるよう、生まれ変わりたいと思います。