家族みんなで過ごす日曜日。今日のお昼ご飯は、みんなが喜ぶスペシャルメニュー!
りゅうさんや台所のみんなが企画してくださって、みんなで手作りの「水餃子」をいただきました。
「わあ、水餃子!」と歓声をあげたけれど、同時に、「あれ? 水餃子って、どんなものだったかな?」と、恥ずかしながらも疑問を感じてしまいました。そういえば今まで、いつも焼き餃子ばかりで、水餃子はあまり食べたことがありませんでした。
小籠包みたいなものかな?それともスープに浮かんでいるものかな? ……と、どきどきわくわくしながら、家庭科室に向かいました。
緑色のエプロンを着けたりゅうさんが、笑顔で迎えてくださいました。家庭科室のそれぞれのテーブルには、水餃子の皮の生地と思われるかたまりが、デーンと置かれています。生地から作ってくださったそうです。伸ばしても伸ばしても、ぐぐぐと元に戻っていく生地。これは、きっと生地も美味しいだろうなあと感じました。
よくある焼き餃子を作るときの生地のように、丸く生地を広げていくのですが、そのときポイントがあって、
「破けないように、真ん中だけ分厚い生地にしたい!」
ということでした。
■丸っこい巾着
そこで、りゅうさんが慣れた手つきで、お手本を見せてくださいました。利き手の逆の手で生地を回していきながら、利き手でめん棒を使って、生地を端へと薄く広げていく方法です。(こうやって、生地を広げる方法もあるんだ)と驚いたし、りゅうさんが、まるで職人さんのようで、かっこいいなあと思いました。

伸ばした生地の上に、具を載せて包んでいきます。中の具は、挽肉や白菜、きくらげが入っていて、山椒の良い香りもしてきて、なんとも本格的。
いつもの癖で、ついついひだを作りたくなるけれど……。水餃子は、焼き餃子と違って、ひだがなく、細長い形をしていなくても良いそうです。丸っこい巾着のような形に仕上げるのだと、教えてもらいました。
りゅうさんが、「なるべく具が多い方がいいよ」と伝えてくれるのですが、はじめは中身が出てしまう気がして、おそるおそる、控えめに具を載せていました。
でも、いざ包んでみると、さっきまで縮み続けていた生地が、ものすごく伸びてくれるのです。なので、しっかり生地と生地をくっつけて、中身を閉じることができました。
■目指すは餃子職人
隣で、あゆちゃんや、さきちゃんが生地作り職人さんになってくれていて、丸くて薄いのに、真ん中だけは分厚めの、完璧な皮を送ってきてくれました。具を包んでいた、ももかちゃんとわたしも、だんだんコツがつかめてくると、攻めモードになってきて、具の量を増やしていきました。
バットの上に並んだ、ぴっちりぱんぱんになった水餃子はアザラシみたいで、かわいいなあと思いました。ももちゃんと、「すごく良いのができたね!」と見せ合ったり、あゆちゃんに見せると、「すごいね。本場のものと同じ形だね」と笑ってくれました。ますますみんなとの餃子包みが楽しくなって、餃子の職人になるのも良いなあ、なんて考えてしまうくらい、夢中になっていました。

餃子を包み終わると、昼食の時間の五分前でした。廊下に出ると、りゅうさんが手にザルを持って、台所から出てくるところを見かけました。
「できたよー!」ほかほかと湯気を上げているザルの中には、水餃子がいっぱい。「水餃子とは、茹でる餃子のことなのだ」と、答え合わせもできました。これから食堂で会える水餃子に、楽しみになりました。
食堂に入ってきて、席に着くみんなの歓声や笑顔が、あちこちから伝わります。いつにも増して明るい声で、「いただきます!」を迎えました。
■一・五倍に膨らんで
先ほどまで包んでいて、バットに並んでいたはずなのに……。瞬間移動してきたように、本当に作りたて、茹でたての水餃子が並んでいます。
お皿の上にはたれを付けて食べる水餃子が載っていて、スープの中にも水餃子が入っていました。ベーシックな水餃子の食べ方と、アレンジされた水餃子の食べ方もできるなんて、とびきり贅沢です。
(これ、破れてしまわないのかな)と感じていた水餃子は、なんだかすごくたくましくなって、変貌を遂げていました。
茹でる前よりも一・五倍ほど膨らんでいて、生地はつやつやぷりぷり、分厚くなっていました。もちもちとした食感で食べごたえがあって、生地まで美味しい水餃子に、みんなが大満足になりました。
夕ご飯にも、スペシャルメニューが並びました。残った水餃子をりゅうさんが調理してくださって、焼き餃子としていただくことができました。
こんがりとした焼き目からして食欲をそそられたし、もちもちカリカリで、水餃子を焼いて食べるのも、すごく美味しかったです。
わたしたちの気持ちも包んで、希望と期待とともにぷっくり膨らんでくれた、手作りの水餃子。
スペシャルメニューで、なのはなだけのスペシャルな時間を家族みんなと過ごせて、おいしいとうれしいがいっぱいの日曜日でした!