「我らは溝切り隊」 みつき

2月4日

●我らは溝切り隊

 畑にこんもりと積もった、白い雪。太陽の光を浴びて、無くなったと思いきや、引き替えに残されたのは大きな湖。
 長く、長く続く畝間の水たまりは、朝晩の寒さで薄く氷を張っていました。小松菜の植わる畝は、まるで離れ小島。
「これはまずいですね。頑張りましょう! よろしくお願いします!」
 とせいこちゃんが話してくれて、みんなで溝切りをしてきました。

 水の溜まった畝間をじゃぶじゃぶと歩いて行き、1列に並んで作業をしていると、気分は冒険隊です。剣スコップをひと踏み、ざく! という音とともに、ケーキが切り分けられるように、湿った土がべろんと剥がれて掘れていくのが、気持ちよかったです。
 みんなで1列の、主となる溝を切り終わると、今度は、ひとつひとつの畝間に繋がる溝を切っていきました。
 これがまた、とっても楽しかったです! 傾斜を付けながら、土を上げていくと、あるとどめの1発で、ちょろちょろちょろ…と水が流れていきます。みんなと「やった! 開通!」と歓声を上げたり、お互いの流れる水を見て、「すごい流れてるね!」と言い合ったりしていました。

 特に、まちちゃんの溝切りが速くて力強くて、職人さんでした。まちちゃんの担当していた畝間は、面白いくらいに勢いよく排水されていました。

 わずか1時間ほどで終わってしまって、せいこちゃんの、
「みんな、とっても溝切りが上手で、本当にありがたくて嬉しかったです」
 という言葉と笑顔が、わたしもすごくうれしかったです。
 我らは溝切り隊! 大きな湖も、底なし沼も、未開の地も、怖くない!
 そんな気持ちで、スコップとクワを両手に、誇らしく堂々と、畑を後にしました。(ちょっと大きく出すぎたかもしれないけれど)
 また溝切り隊出動のときは、頑張りたいです!

●相棒とともに

 お父さんお母さんの夜の集合のお話が、印象に残りました。
 今度から始まる、心の傷のミーティングについて触れてくださって、
「みんながバディやトリオを作って、その仲間を信頼し合いながら進めていくような形にしたい」
 というお話でした。
「ミーティングという山を、ハーケンを使ってひとつの綱で繋がって、一緒に山登りしていくような、相棒的な存在だよ」
 そう、お父さんが表現してくださっていて、それが、とても心強くてうれしいことだと感じました。

 ミーティングを受けるとなるといつも、心のどこかがそわそわするような、ざわっとするような不安が、わずかに出てきます。
 でも、バディの相棒が居てくれると思ったら、大好きななのはなの仲間が居てくれると思ったら、怖がらずに立ち向かえます。
 わたしは、なのはなに来るまでずっと、さみしい気持ちが強かったです。
「誰かひとり、本当に信じられる、同世代の、仲良しの友達がほしい」
 ずっとそう願っていて、叶わないとはわかってはいたけれど諦められなくて、やみくもにでも探し続けていました。

 今は、なのはなのみんなに囲まれて、これ以上ないくらい願いは叶って、けれど、自分に蓋をしている部分がないとは言いきれません。わたしもみんなも、ひとりぼっちな気持ちが、どこかにあるのだと思います。
 自分が誰かのひとりの相棒(バディ)として、ちゃんとお互いに良くなれるように、真剣にミーティングに向かっていきたいです。