「溶けない雪」 ななほ

2月2日

 夜にお母さんが、
「みんなの足跡を追う人がいる。1人ひとり、回復の過程が違うから、みんなの分だけ、道がある」
 と話してくれて、その言葉に勇気が出ました。

 お母さんの話を聞いていて、私ももう、自分を追い込んで、誰かを待つ人生じゃなくて、追われるのではなく、追いかける人生、逃げるのではなく立ち向かう人生にしていきます。

・手のひらの雪

 バンペイユの皮を使って、あるものを作っている、りなちゃんと私。
 河上さんに見てもらいながら、バンペイユの加工品の試作を作ったのですが、それは、とてもキラキラとしていて、愛おしいくらいに可愛らしく、美味しいです。

 昨日、お父さんに試食を持っていったとき、甘党のお父さんにしては珍しく、
「う~ん。この、甘さのあとに来る渋みがまた、味わい深くて、いいね~~」
 と言っていただき、もう私は大人だから、そんなことはしないけれど、飛び跳ねたいくらいに嬉しかったです。(あれ、飛び跳ねてしまったでしょうか? もう覚えていません)

 それはいいとして、お父さんも、「これが、皮なの?」と言っていたくらいに、仕上がったものは柔らかく、甘く、上品です。
 絡めてある砂糖が宝石や、雪の結晶のようにキラキラと輝いて、手のひらの中に溶けない雪を見つけたような気持ちになりました。

 今日は、皮を綺麗に乾燥させるため、河上さんに『ドラッピ-』というドライフードを作る機械の使い方も教えてもらい、そこに私たちの溶けない雪を入れてきました。

 12時間後にセットしたので、明日の午前3時に乾燥仕上がりの予定なのですが、私も今日から始まった味噌作り第1弾のメンバーみたいに、夜にバンペイユの様子を見に行きたいくらい、仕上がりが楽しみです。

   
・桃の看板作り

 ここ数日、みんなと畑の雪かきに出たり、大人数で小豆の選別をするのが何だか新鮮で、楽しいです。

 ここ数ヶ月は、畑と言えば桃畑、室内作業と言えば山小屋便りと、あまり大人数での作業に出る機会が少なく、野菜の畑に行けば、「あれ? ななほちゃんがいてくれるの! 何だか珍しくて、嬉しいな~」と何人かの子に言われたのですが、やっぱり、畑も楽しいなと感じます。

 また、午前中に桃の看板作りも進めました。
 スプリングコンサートの前から、ひろこちゃんたちに看板の下書きを手伝ってもらって、少しずつ看板作りも夜の空き時間に進めてきたけれど、なによりも、桃の木1本1本に看板をつけると言うことは、110枚以上の看板を作ると言うことだから、かめさんモードでしか看板作りが進んでいませんでした。

 でも、コンサートも終わり、お正月も開け、雪が降っている今。看板作りを進めるのに、これ以上絶好なチャンスはありません。
 ということで、あんなちゃんに相談して、看板作りをできたことが嬉しかったです。

 私が以前していたときは、文字の外側を持っていたので、丁寧に彫ると1枚30分はかかっていたのですが、文字の中を掘るようにしたら、スピード感もあがりました。

 最初は1枚を掘るのに、15分くらい時間がかかっていたのですが、版画教室で彫刻刀に慣れているほしちゃんと私は、どんどんペースが上がっていき、1枚13分、1枚10分、最終的には1枚5分~7分という所までスピードアップしていくことができました。

 作業は最初は4人で堀りをしていたため、1枚10分だとしても、半日で1人16枚、4人で64枚くらいかなと思っていたのですが、最終的に私は半日で19枚を掘ることができて、とても達成感を感じました。

 つきちゃんとか、まみちゃんとか、後半には、まちちゃんや、まりのちゃんも来てくれて、「彫刻刀触るの、小学校以来かな」と言いながら「ものすごく楽しいね」「止まらなくなっちゃう」と言いながら楽しんで作業をしてくれていて、私もその場にいるだけで嬉しくなりました。

 桃の看板には、品種とその樹を植えた年数、その品種が早生なのか、中生なのか、晩生なのかが一目見て分かるように記してあるのですが、これを桃の木にかけるのが楽しみだなと思いました。

 もう少し、続きもあるので、今年の夏にはお父さんやお母さん、初めて桃畑に行く人でも一目見て、この樹がなんの品種で何年生の樹なのかが分かるようにしたいです。

・ソフィーの世界

 今、『ソフィーの世界』を300ページ手前まで読み進めたところです。
 
 この本には、アリストテレスやプラトン、ソクラテスに、ガリレオ・ガリレイやコペルニクス、ケプラー、アイザック・ニュートンなど、様々な哲学者や天文学者、科学者などの発見をもとに、不思議な手紙の持ち主と、それに包まれた謎、そして、主人公ソフィーとヒルデという少女の関係について、捜す旅をしていきます。

 重力、万有引力、宇宙、天体と惑星、地動説……。

 今、私が読んでいる章はスプリングコンサートでお父さんが話してくださったことや、アルベルト・アインシュタインが発見したことにも繋がることがたくさんあり、とても興味深く、面白いです。

 そういえば、ソフィーと共に旅をしている哲学者は、アルベルト・クノックスといい、何か、アインシュタインとも関係があるのでしょうか? 続きが楽しみです。

 本の中で、手紙を通しても中世、ルネサンス期や、ヨーロッパを旅しているようで、文字を読んでいるだけなのに、頭の中のその世界が手に取るように浮かんできて、とても面白いです。

 もうすぐ、本も折り返し地点に入るのですが、もうすでに読み終わってしまうのが寂しくて仕方がありません。でも、まなかちゃんに、
「読み終わったら、『ソフィーの世界』について、どの章が好きだったか、印象に残ったか、どんな風にこの部分を解釈したかを話そうね」
 と声をかけてもらっていて、どんな結末が待っているのか、読み終わるのが楽しみです。