まだ、誰も来ていない
待ち合わせ場所に
一人、早く着いてしまった僕は、
手持ち無沙汰で、
枯れ野に立ち尽くしていた。
ふと、誰かの声を
聞いたような気がして、
あたりを見回すと、
やはり誰もいない。
しかし、確かに小さな声が聞こえる。
声のあたりに目を落とすと、
枯れ野のなかに、
そこだけ緑と燕脂の
グラデーションの一群が――。
近寄って目を近づけると、
おや、おや、
小さな小さな踊り子たちが、
それぞれお揃いの
ピンクの帽子をかぶって、
おしゃべりに興じているではないか。
君たちが、一番かもしれないね、
待ち合わせに
いつも真っ先に到着する君、
ここが春の待ち合わせ場所。
〈 撮影場所: 開墾26a 桃畑 〉