「本当だった」 えつこ

7月1日

 私が昨日感じた、紙1枚分の積み重なりは、気のせいじゃなくて本当だった、今日の楽器練習でそう感じました。

 仕事から帰ってグラウンドを歩いていたら(いや、正確には走っていました。楽器練習が楽しみすぎて一目散に帰りました)、中からトロンボーンのロングトーンの音が聞こえました。素晴らしくまっすぐで、そろっていて、音に艶が増していて、私は感動してしまいました。走って中に入り、制服を着替えるのも忘れて、いつもトロンボーンの練習をしている3年生教室の窓をガラッと開けたら、みんなが、トロンボーンの音のように輝く笑顔で「お帰りなさい!」と言ってくれました。

 私は走って大部屋へ行き、大急ぎで着替え、楽器を持ち、みんなの元へ行きました。昨日の日記に書いた、英会話教師ロングトーンの最中でした。ひとりひとりの音が、進化していました。やよいちゃんの、竹のように潔くまっすぐな音。例えるならば真紅の薔薇。ほしちゃんの、淡い紫色を連想させるような繊細な音に、強い芯が加わりました。そして、驚いたのは、まちちゃんとしなこちゃんの音です。

 まちちゃんの、ひまわりのようにあたたかくて明るい音色、しなこちゃんの、誠実さが表れた音色。どちらも好きだけれど、安定感と音量に課題があると感じていました。もうひと越えして、階段を1段、一緒に昇れたらと、思っていました。

 しかし、今日のロングトーンで、まちちゃんとしなこちゃんの音色が、昨日とは見違えるように変わっていて、良い意味で個性が消えて、みんなと音色が揃ったことに、心が震えるほど感動しました。

 他のパートのみんなが、タンギング練習や練習曲など、変化のある練習をしている中、私はひたすら音色にこだわって、今の段階ではロングトーンにこだわるべきだと思い、ロングトーンだけをし続けました。この選択は、良かったのだと、嬉しかったです。周りと比べるのではなく、理想の音色に到達するために必要なプランをたてて、こうだと思ったことを怖れずに実行して、良かったです。

 ロングトーンが順調だったので、次のステップに進み、リップスラーの練習をしました。リップスラーは、とても唇が鍛えられます。唇のサーキットトレーニングということで、私がリップスラーのお手本を吹いた後でみんなに繰り返してもらう、というコール&レスポンス方式でのリップスラーの練習を、5分ひたすらやり続けました。みんなが、「唇が痙攣しそう!」と良いながらも嬉しそうで、これは効果があると、嬉しくなりました。毎日のトレーニングに取り入れようと思いました。