「緻密さの上に」 みつき

7月2日

●緻密さの上に

 午前中、体育館の棚作りの作業に入らせていただきました。
 詳しくは、体育館のステージ袖にある控え室内の棚作り……と聞いていて、実際に控え室のなかに入ってみたのですが、完成している棚が見あたりませんでした。
「……?」と首をかしげていると、さくらちゃんが、「これをもう片方の倉庫の中にも作ります」と、指差して教えてくれました。
 部屋内の一角、天井近くの高いところに、木材で土台が組まれ、板がのせられて、物が置けるスペースがありました。棚はシンプルだけど綺麗で、あまりにも馴染んでいて、気がつかないくらいでした。

 さくらちゃんが1から説明してくれながら、作り始めました。
 1ミリもずれてしまってはいけない、と教えてもらって、メジャーで測って印を付けていくのも緊張しました。その1ミリまでをちゃんと見ようと思うと、目がしぱしぱとして、身体が熱くなりました。本当に緻密な作業です。でも、「このくらい」という感覚じゃなくて、ひとつひとつ測っていくことで「これだ!」という確かな数字、答えがあるのが気持ちよかったです。

 正しく綺麗に印を付けられたとしても、その通りに取り付けることができなくては意味がなくって、技術的な部分でも難しさを感じました。インパクトを使ってビスを回し入れたのですが、真っ直ぐに入れるのも、がくっとビスの穴からずれてしまったり、斜めになってしまって難しかったです。土台を取り付けるときには斜めにビスを入れていくのですが、斜めに打つのもそれはそれで難しくて、角度や方向がずれてしまい、かなり苦戦しました。

 それでも、完成させることができました。その棚の上に自分たちは乗っていて、さくらちゃんが「できたねー!」と笑ってくれていて……どこか信じられないような気持ちでした。
 7本の棚受けがあって、その上に板を乗せて、作り方としては複雑ではないけれど、それだけでこんなにも重さに耐えられる、強いものが作れるんだと思うと、本当に建物って凄いなあと感じました。

 緻密に緻密に、正しく正しく、と願いつづけて、きっちりぴったり合わさった木材。最後に作り上げられた棚は、まさに願っていた棚そのものでした。すごく嬉しかったです。

 物作りを極めていくさくらちゃんの、真剣な眼や慣れた手つきをすぐ傍で見させてもらえたり、こうやって物を作る楽しさを教えてもらえて、本当にありがたかったです。

 

 今日も楽器練習をさせてもらいました。
ここ数日の変化で、ほんの少し成長したなあと思えることがあります。自分の音に対して敏感になって、評価できるようになった気がしています。「今は綺麗な音が出た!」と感じたり、その感覚がつかめてきて、少しずつ自分の「ベストポジション」に近づいてきているのを感じます。
 自分で鏡を見ていて唇のどのあたりに穴ができているのかを知って、その上で頭部管を当てる位置を変えて吹いてみると、良い音が出しやすくなりました。鏡を見て、とにかく頭部管だけで練習することを続けていきたいです。
 隣で吹くちさとちゃんの音は、くっきりしていているけれど、フルートの持つ柔らかさも感じられて、本当に綺麗です。ちさとちゃんのような音を出したいし、ひたすら理想の音を求めていきたいです。

 今日から練習曲を練習し始めました。
 2パートに分かれていて、そのハーモニーがすごく綺麗で、うっとりとした心地よい気分になれます。曲として、人に聞かせるんだ、という気持ちでフルートを持っていると、ますます楽しくて、やりがいがあります。
 最後に、フルートパートの全員で合わせてみました。すごく嬉しくって、これからの夏の夜に、みんなに聞いてもらいたい、もっと上手になりたいとドキドキしました。