6月号⑦「気持ちを飛ばす! 吹き矢大会」 そな

 

 山小屋キャンプの二日目の午前には、吹き矢大会が行なわれました。

 大会のはじめに、お父さんが、吹き矢のコツを伝授してくださいました。目で見るのはもちろんですが、一番大事なのは心の目で見ること。

 私は、キャンプ1日目のウォークラリーでアトラクションの一つとして登場した吹き矢が、初めての吹き矢でした。射的とはまた違った面白さがある吹き矢を今回は午前一杯楽しめるということで、すごくワクワクしました。

 チーム対抗で、私はお母さんと同じチームになりました。

 個人戦、団体戦、名人戦という流れでゲームは進んでいきました。

 吹き矢の矢は納豆フィルムと釘を使って、そして、花火の絵の的や、かわいらしい妖怪が描かれた的もすべて実行委員の皆の手作りです。

 

 

 的の中心にうまく当たるとカンッと鋭い、気持ちのいい音が出ます。それも、実行委員さんの計らいで、的の裏にミカン缶が取りつけられているのです。なんとも面白い仕掛けです。

 個人戦では、的から七メートルの距離に立ち、全員が順に矢を吹いていきました。初めに、みんながおどろく高得点を取ったのは相川さんでした。相川さんの腕前にかかると、吹き矢の筒も、矢も、それだけ特別な良いものを使っているんじゃないか? と思ってしまうほど、つぎつぎに高得点が繰り出されます。

 

 

 個人戦に続く名人戦では、的からの距離が、ぐんと遠くなりました。予選は十メートル。そして決勝戦は、的からの距離十五メートル。風船を割れるかどうかの勝負です。相川さん、あゆちゃんはいとも簡単に風船を割っていき、その度に大歓声があがりました。

 団体戦では、ボードに描かれた妖怪たちに矢を吹いていきます。一つの妖怪につき三本の矢が当たれば、退治。もしくは急所ポイントに当てることが出来たらそれは一発で退治となります。三本当たらない限り、退治できないのですが、一人が打てる矢の数は限りがあります。

 毎度チームの仲間と作戦会議をして、誰がどこを狙うか話し合いながらゲームを進めました。

 合計得点で勝敗が決まります。ここで大きなポイントを得られるメインディッシュは“師匠ポイント”なるものです。

 

 

 “師”と書かれた紙に群がる妖怪たちの画。その“師”の部分に見事当てることが出来たら百ポイント、もし少しでもそこから外れて周りの妖怪にあたってしまえばマイナス三十ポイントです。この師匠ポイントを一本取ることができたら、全員のなかから一人、好きな人を指名して、矢を撃ってもらうことができます。指名では、お父さんや相川さんが大人気でした。

 吹き矢を思う存分満喫できた日でした。的を狙って、息を思い切り吹いて矢を放つ。簡単なようで、物凄く難しいです。よし、これはいいとこを狙えてる、ここだ、ここだ、よし、ちゃんと的のど真ん中に当てるぞー! そう意気込みながらいざ吹いてみると、あれ思っていたのと違う……(笑)、なかなかいいところに当たらない。

 心の目を養わないと、これは難しいかもしれない。と思いました。

 自分の目を過信しないで、心の目を使って撃とうと思っても当たらず……。

 自分の気持ちを出すことに慣れているかどうか、それが吹き矢の腕と大きく関わる、ということをお父さんは教えてくださいました。

 気持ちを前に出せる人は上手いし、出せない人はなかなかうまくできない。

 吹き矢の実力でいえば、私は気持ちを出すのが、かなり下手なようでした。

 確かに、その通りです。私は、気づかぬうちに自分の気持ちや言葉を飲み込んでしまいます。

 喜怒哀楽すべて隠すわけではないです。嬉しい、楽しい、喜と楽は前面に出しています(つもりでいます)。でも怒、哀は隠しがちです。大の大人が顔を真っ赤にして怒ったり、怒りを前面に出すほうがおかしいけど、いつでも、強くも弱くも気持ちを出すことができ、いろんな感情を表に出せるのが、あるべき姿かもしれません。

 気持ちを出すことが人間にどれだけ大切なものか、吹き矢を通してまた一つ学びが得られました。