6月号⑥「料理の鉄人!!  ―― 実行委員として体験した楽しさ ―― 」 ゆうな

 山小屋キャンプ。キャンプと言ったら、超超、絶品、キャンプ飯!!

 キャンプ二日目の午後、みんなで美味しい美味しい、夜ご飯を作る、料理の鉄人を行ないました!! 今年のメニューは……「カツカレー」!! お父さんとりゅうさんが、カツを揚げてくださるということで、そのカツに合ったカレーを作る、絶品カレー賞。七輪で火でうまくお米をたく、米炊き賞。セロリサラダのドレッシングを、チーム独自で考え、開発する、セロリのドレッシング賞。その三つの賞を狙うべく、チームに分かれて、ドラム缶を囲み、料理が始まりました。

 

 

 私は、実行委員だったので、初めは、進行をつとめていきました。初めのオープニング。ちょっとした演劇をしたのですが、私たち実行委員は妖怪になり切り、ちさとちゃんがお札を張って、妖怪をやっつける、妖怪に勝つカレー! という題材で進めていきました。

「カレーがシャバシャバにならないように。お米に芯が残らないように。一人でずっと鍋を握らないように。調味料の使い過ぎには気を付けて」

 そのテーマで妖怪になってみんなに伝えていきました。何度も練習した演劇はうまくいって、皆からの拍手があって、すごくうれしかったです。

 

 

■カレールー争奪戦

 

 その後は、恒例となりつつある、カレールー争奪戦!!! 料理の鉄人ではチームが七チームあるのですが、七つのカレールーをそれぞれ違う種類で、実行委員が用意し、そのルーを争奪戦でゲットする。ルーによって、「横濱舶来亭」「ザ・カリー」などの高級ルーから、親しみやすい「とろけるカレー」ほか、代り映えのあるものなど、幅広い種類があって、どのルーを選んでゲットするかはチーム次第。その争奪戦は今年も大いに盛り上がり、「はいはいはーい!!」とたくさんのチームが手をあげては、じゃんけんで大盛り上がり。実行委員で、必死にカレーの種類やそれぞれの特徴をこと細かく調べたので、みんな笑顔で笑ってくれて、すごくうれしかったです。

 


 

 それぞれのチームに、それぞれのカレールーが振り分けられて、料理がスタートしました。私は、実行委員の役割として、共用調味料が並べられた、机に立って、もらいに来るみんなを案内しました。実行委委員で、数多くの調味料を用意し、油や塩はもちろん、カレーの隠し味に使う、チョコやコーヒー、桃ジャムや砂糖もあって、さらに、サラダの味付けに使うマヨネーズやマスタードなど、多くの調味料が、机に並べられている光景はまるで、お店屋さんのようでした。そこの机の前に立って、調味料を取りに来るみんなに、「これはこうして使ってね」とか「これもあるよ」と声かけをしていると、本当にお店屋さんをしているような気分になってすごく楽しかったです。

 

 

 実は、今回の料理の鉄人には、もう一品作るものがあって、明日のお昼になる卵サンドを作るために、ゆで卵をそれぞれのチームで、茹でる、という工程が、カレーを作る前にありました。実行委員で考えて、冷やすために大きなたらいを用意して、そこに冷水を溜め、柄杓を使って卵を鍋から取り出し、そこの大きなたらいに、入れていくようにしました。次から次へと、各チームが卵を冷水に入れに、やってきて、たらいの中を見ると、本当に見たこともないくらい、多くの量の卵が入っていて、すごくびっくりしました。実行委員のちさとちゃんと一緒に、そのたらいを持ち上げて、水道でもう一度冷やしに行ったのですが、本当にピカピカ光る卵がゴロゴロ入っているのが、すごく、見ていてかわいかったです。 

 

 

■実行委員としての嬉しさ

 

 しばらく、実行委員として仕事をした後に、自分のチームのところに行って、少しだけ一緒に料理をさせてもらいました。チームに行くと、かにちゃんが大きな鍋で、玉ねぎをじっくり炒めてくれていました。ドラム缶に火をつけて、ドラム缶の上に鍋を置いて、炒めていたのですが、火がすごくファイヤーしていて、すごく熱くてずっと近くにいるのが耐えられないくらいでした。でもかにちゃんは、何も言わず、口に白いタオルを巻いて、割りばしでひたすら炒めていて、その姿がすごくかっこよかったです。あけみちゃんが、七輪について、実行委員が用意した、七輪でのお米の炊き方が書いてある紙をじっくり読んで、忠実に、火加減を見ながら、お米を炊いてくれていました。私も一緒にうちわであおいで、火を安定させたり、サラダに入れるセロリを少し切らせてもらったりさせてもらって、一緒に作れた時間がすごく楽しかったです。私のチームのルーは「横濱舶来亭」というルーを勝ち取っていて、実際に、ルーを鍋に入れる瞬間を一緒に見させてもらったのですが、その光景にびっくり。そのルーはフレーク状で、封を開けてにおいをかぐと、ザ・本格化カレーというにおいがプンプン。インド人がカレーを作りました!! というような本格さ。そのにおいにもびっくりしたし、鍋に入れると一気にルーが溶けて、鍋全体に、色がついて濃いにおいがしてきて、これこそ、カツが求めていたカレーだ、という気がしました。その光景だけでもすごくおいしそうでした。

 

 

 ふと、あたりを見渡すと、四個のドラム缶を多くのみんなが取り囲み、料理をしていました。カレールーの箱を見て、必死に使い方を見ているチームもあれば、ものすごくおいしそうなサラダのドレッシングを作って混ぜているチーム、カレーの隠し味を迷いに迷って、何度も調味料机に来るチームもあって、でもそれが、みんなどのチームもすごく楽しそうで、どこからも笑い声が聞こえてきて、本当に、すごくうれしい気持ちになりました。前回は、料理の鉄人を楽しむ側として、いたけれど、今年は実行委員として、皆を楽しませる側にいて、また違った感じ方があって、すごく、幸せな気持ちなりました。その場には、永禮さんや須原さん、相川さんや、たくろうくんのご家族、たくさんのゲストの方がいらっしゃっていて、楽しんでして、その姿にも本当にものすごく、うれしい気持ちをもらいました。

 

 

■完成!

 

 着々と、料理が進んでいって、いよいよ、どこのチームも完成に近づいていきました。チームの料理ができていくと、審査用に、各チームから、ルーとお米と、サラダドレッシングを一口分、実行委員でもらいに回りました。ちさとちゃんが考えてくれて、トレーを用意し、その上に、大きな枠の氷パックの容器を置き、その容器にカレールーを入れたり、お米を入れたりしました。氷パックにはふたもついているので冷めずに、審査員のお父さんお母さん、永禮さんに味わってもらえる、という考えのもと、その容器になったのですが、すごく見た目も可愛くて、見やすくて、本当に審査用に作られたもののように、ぴったりでした。実行委員のちさとちゃんたちは、その容器をトレーにのせて、各チームからカレーとお米を、一口ずつ、もらいに行きました。

 

 

■ドレッシング・ハプニング

 

 私は、セロリドレッシングをもらいに行きました。セロリドレッシングは、丸いトレーの上に、すごく小さな紙コップをのせて、その紙コップの中にドレッシングを各チームから少しずつ分けてもらいに行きました。それぞれのチームのところに行くと、本当にみんな楽しそうに料理していて、「ドレッシング、審査用に一口ください」と割って入るのが、申し訳ないくらい、もったいないくらいに、みんな、すごく盛り上がっていました。でも、それがすごくうれしかったです。チームごとにドレッシングをもらいに回っていると、本当にそれぞれが色とりどりのドレッシングを開発していて、梅風味のものや、タルタルソース風のドレッシング、豆腐を混ぜてもったりしたドレッシングを作っているチームもあれば、桃ジャムを使って作っているチームもありました。分けてもらう際に、各チームから一言、ドレッシングのアピールポイントを聞かせてもらいました。そのコメントを聞いて、「そんな材料でこのドレッシングを作ったんだ」とか、「あ、これは畑をイメージしてるんだ」と思うことがいっぱいあって、すごく聞いていて面白かったです。

 

 

 私は、ドレッシングを分けてもらったトレーを持ちながら、各チームから教えてもらうアピールポイントをメモしてました。そうすると、手がふさがり、そして人と物がわちゃわちゃしていて、ふと気をむくと、ぼろ。分けてもらったドレッシングが入った紙コップを一つ落としてしまいました。がーーん。落としたときは頭が真っ白になってしまったのですが、拾って、その落としてしまったチームのところに、「ごめんなさい。落としてしまいました」と言いに行くと、快く、もう一度紙コップに分けてくれて、本当に救われたような気持ちになりました。後で聞いた話によると、お米を各チームから分けてもらった氷パックの容器も、一度ひっくり返してしまったらしく、でも蓋があったために無事で本当に良かったと思ったし、このようなイレギュラーな野外での食事では本当に気を付けないと、落としてしまって台無しにしてしまうことがあるなと感じて、次はもっと気を配って焦らず、注意深く、行動していきたいと感じました。

 

 

■揚げたての

   カツをもらいに!

 

 それぞれのチームからカレーとお米とドレッシングをそれぞれ審査用に分けてもらい終わったころには、もう、チーム内のお皿にはカレーやお米がそれぞれ人数分、取り分けれていました。そのことを見て、お父さんりゅうさんが揚げてくださった、カツをもらいに行くタイムになりました。お父さんとりゅうさんが、前の審査机に立ってカツを配布し、みんなは自分のお米やサラダがよそわれたお皿をもってそこに並ぶ。順番に、お米の上にポンと、カツをお父さんが並べてくださっていて、そのカツが自分のお皿にのった瞬間、みんなの笑顔がすごく輝いて、すごくうれしそうで、その光景がすごくかわいくて、すごくうれしい気もちになりました。自分は実行委員でもらいに行けなかったのですが、同じチームの子がもらいに行ってくれていました。近くでまだカツを見ていない私は、(どんな感じなんだろう。お父さんとりゅうさんの愛情がこもったカツ……。楽しみだな)という、近くで見てみたい、食べてみたいワクワクした気持ちでいっぱいになりました。

 

 

 みんながカツをもらった後は、みんなでいただきますをしました。私もその時には、もともとのチームに入らせてもらって、席に着きました。するとそこにはキラキラ光るカツとともにおいしそうなカレーが。大きなお椀の中に、色が濃くて具材ゴロゴロ、いいにおいがプンプン漂うカレーがたっぷり。プレートの上には、彩の緑色をしたセロリサラダ、中心には真っ白いお米があって、その上に、大きなカツがずらっと並ぶ。衣が見た目からして、ごつごつしていて、中にはお肉が詰まっていて、本当によだれが出るほどおいしそうでした。

 

 

■いただきます

 

 まず、初めにカレーを一口。私たちのカレーは「横濱舶来亭」というフレーク状の超高級ルー。食べた瞬間、目を大きく開くような、おいしさ。程よい辛さと刺激があって、カツとお米が進む進む。中の具材も大きくてゴロゴロしていて、ニンジンやジャガイモも程よい固さと、玉ねぎのとろとろした甘さが、カレーとまじりあって……もうこれは絶品でした。カツを一口つまむと、カリッカリの衣がまず歯で感じられて、かむと、ザクッとお肉が出てきて、衣とお肉が口の中で混ざり合って、もうこれも絶品。カレーに合う合う。お米も、炊飯器で炊いたよりもおいしいんじゃないか!? と思うくらいに、柔らかくお米の甘さがぎっしり詰まっていて、一粒ずつキラキラ光る輝きを放つ。もうこれも絶品。セロリのサラダも、私たちのチームはレモンニンニクドレッシングを作っていたのですが、程よいニンニクとレモンがすごく、口の中をすっきりさせてくれて、カレーやカツを食べた後にサラダを食べたら、すごく洗い流されるような、すっきり感が感じられて、もうこれも絶品。すべてがおいしくてたまらなくて、本当に幸せでした。こんなにおいしいものを一度に食べてしまって、もったいないくらい、バチが当たるんじゃないかと疑ってしまうくらいに、幸せでした。

 

 

■審査の結果は……

 

 食べている間、お父さんお母さん、永禮さんによる審査がありました。それぞれ取り分けたカレー、お米、ドレッシング。食べて一チームずつ好評をもらいました。カレーでは私たちのチームはすごくおいしい、カツと合う、と好評していただいてすごくうれしかったです。自分はあまり作る場にいられなかったのですが、食べていて本当においしかったので、お父さんお母さんの好評を聞きながらすごくうなずきたいような気持で、食べていました。お米はどのチームも本当にうまく、七輪で炊けている、ということでした。今時、七輪でお米が炊けるって、なかなか普通のことではないし、どのチームも芯が残ったり、べちゃべちゃになったりせず、うまくできたということがすごくうれしかったです。ドレッシングはタルタルソース風のチームなどがいい好評をもらっていたのですが、卵ソースの上に緑のパセリのようなものが振りかかっていて、盛り付けもすごくおしゃれで、自分も食べてみたいという気持ちになりました。チームごとに全く違ったドレッシングで食べていて、他のチームのものも、それぞれ食べ合いをしてみたいなと感じました。

 

■大成功!

 

 お父さんお母さん、永禮さんの審査が終わった後は、みんなでワイワイ話しながら、美味しいごはんを食べました。ドラム缶に少しまだ、火が残る、ぱちぱちした音とほんのり暖かい空気。みんなの笑い声。カレーの美味しいにおい。すべてが幸せで、暖かくて、本当に、本当に、大好きな家族といられた、その時間が宝物です。ごちそうさまをした後は、大きなマシュマロをデザートに、残り火で焼きました。人生で初めての、焼きマシュマロ。外はパリッと、中はむにゅっと。すごくおいしかったです。「美味しい」を、数多くのみんなと一緒に共有するって本当に幸せで、心がうれしい気持ちでいっぱいになって、気持ちもお腹も本当に心から満たされるのを感じました。

 今回、料理の鉄人の実行委員としての役割をさせてもらって、もちろん、準備や考えることがいっぱいで大変でした。でも、どうやったらみんなが料理をしやすいかとか、どうやったら楽しんでもらえるかを考える時間が、すごく楽しかったなと感じます。例えばドラム缶で料理するにあたって、菜箸では焦げてしまう、でも割りばしでは手が熱いので割りばしをつなげるというアイディアを出し合ったり、包丁やまな板は各チームに何個必要か、共用調味料にどんなものがあったら便利か、どんな配置にしたら料理しやすいかなど、何度もシミュレーションして何度も確認して、もちろん大変ではあったけれど、良いように改善できたときは、みんながやりやすく料理できているのが頭に浮んで、すごくうれしい気持ちになりました。当日の料理の鉄人も、ハプニングは多々あったけれど、それを乗り越えて、みんなが楽しんでおいしい料理ができたことが、本当に本当にうれしく感じました。楽しむ側ではなく、楽しませる側。楽しませる側も、楽しませる側だけが味わえる最高の喜びと楽しさがあって、今回のキャンプで、ものすごく心から感じることができて本当にうれしかったです。料理の鉄人、大成功!!! 美味しい料理、楽しい料理、温かい料理を、みんなで味わえて、本当に本当に幸せです!!