
キャンプ初日の夜と言えば、これしかない! 有志の出演者によるライブが開催されました。
踊るもよし、歌うもよし、演じるのもよし。この日のためにと、有志でチームを組んで、練習をしてきました。それぞれのチームがどんなものを見せてくれるのか、自分たちのチームが良いものを見せられるかどうか、この夜は、誰にとってもドキドキする夜です。
この夜が、一番くらいに好きだと言ってもいいくらいに好きなわたしは、「待ってました!」と、みんなのライブの開催を嬉しく感じました。そして、ありがたいことに、『袋小路突破隊』として演奏をさせてもらい、『TATSUMI』として漫才をしました。

■袋小路突破隊
袋小路突破隊とは、なのはなのオリジナルバンドです。袋小路突破隊の『行き止まり』を初めて聴いたのは、忘れもしない、わたしがなのはなに来て初めてのクリスマスの日でした。なのはなに来て2か月のわたしは、衝撃を受けました。
「落としてきたよーー!!!」というシャウトから始まり、思い切り叫んで、踊って、ドラム缶を叩くみんなの姿が本当に格好良かったです。
「病気になって良かったよ 治ってみたらユートピア 夢の世界があったんだ」
その歌詞がずっと心に残っていました。病気になって苦しくて、どうすれば良いのか、どうしようもない気持ち、それこそ「行き止まり状態」の自分たちが、思いきり明るく笑い飛ばして、変わっていく。
この曲が持つ物語に、心が吸い込まれ、見入ってしまいました。それまでずっと、病気になったことを悔やんできて、人生をやり直したいと思い続けてきた自分にとっては、世界ががらりと変わるような歌詞でした。
「自分も病気になってよかったと笑えるようになろう」
そんな勇気と希望を貰ったことを今でもはっきり覚えていて、わたしにとって「袋小路突破隊」は、目標であり、ヒーローのような存在でした。
だから、袋小路突破隊のボーカルをしていたやよいちゃんが「実はね……」と誘ってくれて、今回のライブで『行き止まり』を一緒に歌わせてもらえることになったとき、とてもとても嬉しかったです。
忙しいながらも、メンバー九人のみんなと時間を合わせて、歌を歌ったり、ダンスを考えたりしました。過去の映像を見返してみると、改めて歌やダンスのキレ、影響力の強さを感じました。それに近づけるようにと、練習を重ねました。

歌に入る前の前奏部分にあるセリフの言い方ひとつでも、何回もやり直して練習していると、途中で可笑しくなってきて、こらえきれず笑ってしまったり。音楽室であまりに大声で歌いすぎて、校内放送も聞こえなかったり。大雨の日、軒下でドラム缶を拭いて、赤色に塗ったり……。少ない時間の中でも、とても楽しかったです。
今回、初めて聴き、初めて歌うももかちゃんやかのんちゃんがメンバーに居てくれて、ドラム缶もバージョンアップして、わたしたちのドラム缶に塗り替えることができました。こうやって今のメンバーでも歌い継いで、残していけることが嬉しかったです。
「思いっきり歌おうね、思いっきり楽しもうね!」
ステージに立つ前に、やよいちゃんが笑ってくれました。
ずっと夢に見ていたみんなの姿が、今の自分の姿になっていること、袋小路突破隊になれたことが、本当に嬉しかったです。

■漫才ステージができるまで
TATSUMIは、まちちゃんとひろこちゃんとわたしの三人組で結成されていて、これが三回目のライブ出演でした。
早いうちに台本は決まっていたのですが、お父さんに台本のちょっとした確認をしに行かせていただいたとき、お父さんが、「台本を一から作り直そうか」と提案してくださいました。お父さんは本当にいつも、「もっと良くありたい」という気持ちで、わたしたちに良かれの気持ちで居てくださることを感じました。
わたしはこの練習期間、日常的に任された役割や、係の仕事、ライブ出演の掛け持ちなど、自分の頭の中が整理できずにいて、ごちゃごちゃでパニック状態になっていました。
(時間が足りない)(もう、自分には何もできる気がしない)と思ってしまっていました。お父さんは、わたしの何倍も忙しく、やるべき仕事もたくさんあるだろうけれど、わたしたちのために台本を書き、練習まで見てくださいました。このくらいで忙しいと言い、それを言い訳にしようとしたり、くよくよして、お父さんに感謝の気持ちをすぐに伝えられなかった自分が情けなく、恥ずかしく感じました。
本番当日の一週間前くらいから、夜の消灯時間を延ばしてもらって、まちちゃんとひろこちゃんと練習する時間をいただきました。
練習が始まってすぐのころ、「いっぱいいっぱいになってしまっていて、苦しい。自分にはできる気がしないと思ってしまう」と、まちちゃんの前で泣いてしまいました。まちちゃんが頷いて、大きく受け止めてくれたことが有難かったし、ひろこちゃんがその時、「こうやって、タツミだからいいよ、って、夜にも練習する時間を頂けるのは有難いよね」と話してくれました。
お父さんから新しい台本を頂いて、練習を見ていただいた夜も、泣いてしまいました。お父さんが夜、自分たちのことを考えて書き上げてくださったこと、お父さんの姿、気持ちを想像してみると、涙が出てきてしまって、また泣いてしまいました。
わたしは自分が、本当はとてもとても漫才がやりたいし、タツミのことも人を笑わせることも大好きなんだと知っていました。
ひろこちゃんもまちちゃんも同じだと話してくれました。
「漫才ができる、できないは正直どちらでもいい、けれど、この三人で居られる時間がとても好きなんだ」
と二人が話してくれて、本当に嬉しかったです。
何か言い訳を見つけて、怯えて逃げようとしていた自分がお父さんにも二人にも失礼で、申し訳なかったと思いました。笑ってもらえるかじゃなくて、理想を求めた今の自分たちで漫才をやりたい、やり切りたいと思えました。
お父さんが脚本に求める理想を考えながらも、自分たちが楽しんでできることを意識しながら、練習を繰り返しました。脚本が出来上がったのは、今までで一番遅かったはずなのに、お父さんが考えてくださったセリフは言いやすく、覚えやすく、暗記することができました。
みんなのライブが始まる直前、バーベキューの火おこしが始まってきたころ。わたしたち三人は声を掛け合って、山小屋前の広場から少し離れた山道で、最後の練習をしました。ドキドキは最高潮でした。


■迎えた本番
さあ、ずっと待ちに待っていた夜が、始まりました!
まずはドラム缶でバーベキューして、お腹を楽しませます。分厚いスペアリブのお肉、「まだかな……」と焼けるのを待っている時間も、ついに自分たちで焼いたお肉を食べた瞬間にも、幸せでいっぱいになりました。さて、迷ってしまうのが、台所さんが握ってくださったおにぎりを、焼きおにぎりにして食べるか、そのまま食べるか……。どちらでも美味しいと分かっているから、こんなふうにみんなで悩めることも幸せなことだなあ、と感じました。
さて、今回、実行委員さんが考えてくれたみんなのライブのテーマは『妖怪の森フェス』。実行委員さんが自ら、キレあるダンス『アブラカタブラ』を踊って、全体を盛り上げてくれました。

そのダンスからバトンタッチして、TATSUMIのオープニング漫才が始まりました。
ライブが終わってから、お父さんお母さんのもとへ挨拶をしに行かせてもらうと、
「リハーサルの時より、ずっと面白くなっていて、良かったよ」
と話してくださいました。自分は本当に未熟で、漫才の腕もまだまだ未熟だなと感じます。でも、まちちゃんとひろこちゃんと、漫才をすること、タツミであることを、自分たちの成長材料にしていこう、と決めました。
一日目は雨に降られて一時中断となったものの、二日目の夜に無事、すべてのパフォーマンスが披露されました。どのチームも、「いったいいつ練習していたの?」と言いたくなるようなクオリティの高さで、その世界へと引き込んでもらいました。


『そんなうたな』の、うたなちゃんとそなちゃん。ちょっぴり笑ってしまうお茶目なチーム名だけれど、「ダンスが好き!」という理由で集まった二人が、キレキレのダンスで会場を盛り上げてくれました。
まなかちゃん、ほのかちゃん、ゆきなちゃんの三人組『MADOGIWAの姉妹』の歌うコーラスのキレイなハーモニー。そこに、のんちゃんやゆずちゃんのダンサーも加わって、その魅力にうっとりしました。


■表現することの楽しさ
そして、ゲストの相川さんも出演してくださいました! なのはなの子の似顔絵イラストを描いてきてくださり、「この子は誰でしょう?」と、クイズ形式でイラストをお披露目してくださいました。今までの似顔絵とはまた違ったテイストで、これまた可愛らしく、けれどもそっくりに描いてくださっているのが、一枚一枚を見ていて、とても嬉しかったです。
『全力姉妹』のゆうなちゃん、すにたちゃん、うたなちゃんの三人が歌う『やってみよう』。作業でもイベントでも何でも全力で楽しんでいる三人の、本当に全力な歌とパフォーマンスに、笑えるけれども涙が出そうになるような、あたたかい気持ちになりました。

そして『サンシャインボーイズ』。サンシャインと言えば……? そう、りゅうさんが、相川さんやたくろうさん、ひでゆきさん、なのはなに来てくださる男性の仲間たちを集めて、このライブに出演してくださったのです!
お揃いのハットをかぶって力強く歌うサンシャインボーイズの皆さんが、本当に太陽のように輝いていて、格好良かったです。


最後の大トリは『なのタヒチ』。ゆりかちゃん、よしみちゃん、のんちゃんというフラダンサー三人組が、新曲のフラダンス三曲を披露してくれました。

しなやかな身体の動きやダンスの表現はもちろん素晴らしかったのですが、三人の笑顔が忘れられないくらいに目に焼き付きました。本当に綺麗で可愛くて、そこには尊さを感じました。自分が見ていた席からは、よしみちゃんがすぐ目の前に見えたのですが、よしみちゃんが本ッ当に嬉しそうな、楽しそうな笑顔で踊っていました。
(ああ、よしみちゃん、今、すっごく楽しいんだな、幸せなんだな)
そうハッキリ感じとれました。自分もこんな風に表現して、人を笑顔にしたり明るく出来る力をつけていきたい、と思えました。新曲が一瞬で好きになったし、今年の夏はこの曲をみんなと踊れるのだと思うと楽しみになりました。

こうして、みんなのライブの夜が過ぎていきました。みんなが嬉しそうに楽しそうにステージに立っている姿。そしてそれを笑って見守っている空気。山小屋で過ごす初めての夜、キャンプの始まりの夜に、さらに一人ひとりのみんなのことを好きになったなあと感じました。
キャンプを終えた今も、「また今度、みんなを笑顔にしたい!」という欲求が、止まりません。こうやって表現することって、なんて楽しいんだろう……みんなのライブ、最高です!!
