
毎朝の、まくわモーニング! ナスモーニング!
サマータイムの毎朝は、全員でマクワウリの収穫からスタート!
崖崩れ畑と、半分畑にわさわさと茂ったマクワウリは、畝の中に奇麗に誘引され、まくわロードとも言えるような畝間に、一人ずつ入っていきます。
手でつる葉をかき分けながら、熟れたマクワウリ探しを行います。うす黄緑に色が抜けてきた、熟れたマクワウリ探しをします。その優しい色合い、甘さがほんのりと心の中に広がっていくような見た目です。テニスボールよりも一回り大きい実を、手で軽くひっぱると、へたの部分からポロっと奇麗に取れるのが、とても気持ちがよくて、食べごろの私たちを採ってくれて、ありがとう! とマクワウリが言ってくれた気持ちになります。
マクワウリの収穫が終わったら、私は毎朝、ナスの収穫へ行きます。
一度、ひと通り剪定したため、いっときは収量が落ちたものの、八月の中旬を越したあたりから、再びすぐに枝が伸びていき、毎日少しずつ収量が上がっていきました。
平均して二百キロ前後のナスが毎日採れるようになってきました。草丈もぐんぐん伸びていき、場所によっては、百八十センチを超える丈があります。私がナスの畝間に入ると、身長百六十センチの私よりも高いナスに挟まれて、ここまで茂って、たくさんの花を咲かせ、毎日のように実をならせてくれるナスの力強さ、生命力の強さをまじまじと感じ、自然と力が沸いてきます。
たとえ、強く剪定されたとしても、一週間も経てば元通りに近いくらい枝が茂って、そしてぐんぐん背が高くなっていくナスは、野菜の中でも、パワフルで強い野菜だと感じ、毎日毎日たくさん実をならせるナスに、私は尊敬の気持ちさえ感じます。
ナスの紫色のつやつやした実は、宝石みたいで、その艶は収穫しはじめた六月下旬から今にいたるまでずっと続いていて、この美しい艶めきをキープできるように手入れしていきたいです。
■セロリの種まき、育苗
種まきの最難関、セロリの種まきに挑戦!
夏の野菜の収穫と同時に、秋冬野菜の育苗がはじまっています。私はセロリの芽出しと種まき、育苗に携わらせてもらうことになりました。
セロリの種まきといえば、私の中では、野菜の種まきで三本の指に入るくらい難しい、という印象が強くあります。
その理由は、発芽適温にあると感じます。セロリの発芽適温は十八度から二十二度と、四度の限られた狭い幅であること。そして、セロリの育苗期間は他の野菜と比べて非常に長く、九月に畑に植わるものの、その二か月前の七月から八月が種まき時期であり、暑さのピークである七、八月にセロリの発芽適温十八度から二十二度という低温環境を作り出す難しさがあります。
発芽が難しいため、より発芽を確実なものにするために、種まきをする前に芽出しを行ないます。
三棟のハウスに植わる株数に合わせ、約二千九百四十粒の種を芽出しします。
まず、芽出し用の布を四十二枚準備し、布を一枚いちまい、布の水気にムラがないように、濡らします。濡らした布をトレーの上に広げますが、発根した際に根が布にひっかからないように布のサラサラした面を内側、ざらざらした面を外側にします。
種を七列✕十列でならべていき、種が外に見えないように、奇麗に折り畳みます。これを、一枚のトレーに布六枚分ならべて、種を浸すよう水をトレーの中に注ぎ入れ、五度から七度に設定した冷蔵庫に一時間いれます。一時間という長さは比較的短い時間ですが、時間が長ければ長いほど、種が腐るリスクが高くなるため、特にこの夏場の芽出しの吸水時間は短い時間に収めます。
一時間たったら、トレーから水を流して、新しい水を流し入れ、すすぎ洗いをして、よく水気をきります。一度、新しい水ですすぐのは、水に浸したあとの種からは、自分の命をあらゆる災害から身を守るための、発芽抑制物質が流れ出すためです。一度すすぐことで、種から流れ出た発芽抑制物質を流す、という目的があります。
■白いセルトレー
水気をきったあとは、十八度設定でエアコンのよく効いた涼しい六年生教室で種をまいていきます。今回のセロリの種まきでは、はじめて“白い”セルトレーを使用しました。
白いセルトレーに茶色い種まき培土をつめると、見た目からチョコチップを連想させられて、可愛いです。白色のセルトレーは、これまで当たり前のように使っていた黒いセルトレーと違って、熱を籠らせないという大きなメリットがあります。黒いセルトレーでは、一つひとつつながった黒い部屋の中に熱が籠りやすく、野菜の発芽、生育にももちろん支障が出やすくなります。この白い洗練された見た目のセルトレーはとっておきの、暑さに負けないための、新アイテムなのです!
二百穴のセルトレーに、種をまいていきます。セロリの種は、一ミリあるか、ないくらいの、とても、とても小さな種で、見慣れていないと、培土の上に置いたとき、土と同化して分からなくなってしまうほどです。でも、見慣れると、小さな種が、培土の上でくっきりと存在感を放つように、種を見分けられるようになります。
まずは、培土の上に種を一粒ずつ並べていき、そして、覆土をしていきます。すべて、作業はピンセットを使って行ないます。ピンセットで種を置き、セロリが隠れる程度の土をかぶせて、軽く転圧します。置くときも、土をかぶせるときも、種が小さいため、一瞬も気が抜けず、とくに土をかぶせるときは、どうかこの土を破って、地上に芽が出るようにという気持ちと、そして発芽の様子を思い浮かべながら蒔いていきました。
小さいながらも、強い生命力と、意思を、セロリの種から感じさせられました。セロリが好む環境、適切な覆土の量を守ることができれば、セロリの種は喜んで発芽してくれるはずだ、セロリの種を気持ちを感じ取るような気持ちで蒔いていきました。
エアコンの効いた、涼しい六年生教室で、エアコンの音だけが小さく響く静かな空間で、ゆずちゃん、しなこちゃん、さくらちゃんと、集中した空気で、もくもくと種を蒔いていきます。
一トレーを蒔き終えるごとに、集中力の区切りに小さな達成感を感じつつ、二千九百四十粒の種を蒔き終えたときは、少しの安心感とともに大きな達成感を感じました。
蒔き終えたトレーは、六年生教室にセッティングした三段のラックに並べられて、上には不織布がかけられます。セロリは好光性種子のため、スタンドライトを前後に三つずつ並べて、光をあてます。
■奇麗で健康的な苗を
種まきが終わったものの、ここからが育苗の本番で、気はまだまだ抜けません。エアコンを、夜は二十二度設定、朝から夕方にかけては、二十度設定にして、温度管理をし、朝六時と九時半、昼の一時半と夕方の六時、そして寝る前の九時半の五回、分担して見回りと水やり、温度管理を行ないました。
外は三十五度を超える高温のため、エアコンの温度を十八度にしても、昼から午後にかけて室内の気温が二十九度になってしまうことがあり、そのようなときは、天井のファンを「強」でまわし、そして扇風機を二台設置して、温度を下げる対策を行いました。
温度の上昇に少してんやわんやしながらも、種まきから五日目で、ひと粒、二粒と、くねっと曲がった繊細な根が盛り上がりはじめて、十日目には八割、その後一週間経つと、九十パーセント程度の芽が出てくれました。
小さい小さい芽の茎は、髪の毛のように細く、ジョーロで水やりをすると折れる可能性があるため、ノズルのついた手動の噴霧器で水やりを行いました。
室内で、ライトに当てているものの、外の光を浴びられないため、苗がどんどん徒長していってしまいました。外に出したいけれど、すべて発芽しきっていない今、外に出してしまうと暑さにやられて、残りの種が発芽しないし、セロリの調子が悪くなるのではないか、でも徒長がとまらないという葛藤に悩まされていたところ、もう外に出したほうがよい、とお父さんが教えてくださったことで、潔く、玄関口の日陰の涼しい場所に、思い切って移動させることができました。
日影でも、日中は温度計が三十五度近い数字になっていました。外に出されたセロリは、調子が悪くなることなく、むしろ徒長がとまり、茎ががっしりしてきたように感じました。そして、発芽していなかった部分も後から発芽しはじめて、八月末には九十五パーセントの芽が出た状態になりました。
いくら繊細といえど、セロリはセロリで、環境に適応しながら育っていこうとする植物の強さがあり、心配が行き過ぎて過干渉になると作物をだめにさせてしまうのだということを改めて感じ、作物への手入れから、自分の未熟さ、見当のズレを教えてもらえることが恥ずかしくもありがたく感じました。
セロリの育苗は、まだあと一か月続きます。難しい環境の中でも、心と頭を使って、立派なセロリを育てられるように、栽培の初期段階として、奇麗で健康的なセロリの苗を作れるように、育苗を行っていきたいです。
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