1月25日のなのはな

大好きな、お母さんへ。日頃の感謝の気持ちを込めて、昔話を送りました。その名も、『お母さんを登場させて、新・昔話を作ろう!』

〈実行委員を務めてくれたのは今年成人を迎えた3人です!〉
それぞれのチームに分かれて、好きだった昔話にお母さんが登場したらどんな話になるか、それぞれの昔話や童話をオリジナルの劇にしてお母さんのお誕生日をお祝いしました。それぞれのチームで印象に残った場面、ストーリーのダイジェスト版として、お届けします。

トップバッターは、『かぐや姫』のチームです。
かぐや姫の罪。それは、感情を持ってしまったこと。その罰として地上に堕とされた。平安時代から続く有名な昔話ですが、その冒頭、設定は極めてシリアスで、強烈なインパクトを感じました。
ちさとちゃん演じる美しいかぐや姫。ピンク色の浴衣や黄緑色の帯を駆使した、いかにも平安時代の十二単のような、存在感のある衣装でした。

不老不死の冷たい月の世界は、私の感じてきた殺伐とした空気にも似ているなと感じました。隣のお屋敷の庭師・ゆかりさんに出会い、かぐや姫が自分の使命に気づいていくというストーリーは原作のような切なさも感じました。

最後はかぐや姫に求婚に来ていた帝たちがゆかりさんの美しさに魅了されて求婚するというオチは面白かったです。

続いてのチームは、『さるかに合戦』。
ここのチームの見どころは、何と言っても猿役のすにたちゃんの演技でした。胸筋にかけてボリューミーな毛皮の衣装、本当にジャングルへ行って擬態できそうな、the・猿という衣装でした。表情豊かにおにぎりや柿を蟹から奪い取り、おいしそうに頬張る猿さんに釘付けになりました。

のぞみちゃん、ゆりちゃん、おとちゃんの蟹もとってもキュートでした。
最後には、そなちゃん演じるなのはなのお母さんが現れ、猿が反省して仲間になるという展開でした。そこで心に残った台詞がありました。



猿が蟹からもらったおにぎりは利己心(の象徴)で、柿の種は利他心。猿はどちらも食べた。利己心を知っているから、利他心が分かる。不器用で、うまくやれない猿もお母と出会って希望を持ち、これからは優しくあろうと決心し、仲間になっていくという姿が、どこか他人事とは思えませんでした。

3つめのチームは、『因幡の白ウサギ』。素敵なお姉さんがいると思ったら、それはまことちゃんでした。いつもは台所のエプロンと三角巾でぴしっとしているのですが、スカートにハイヒールを履いて、いつもとは違う雰囲気がとても素敵でした。

ここのちゃん演じる白ウサギが「けんぼ」(お父さん)と出会い、なのはなへやってきました。そこでゆかりさん(お母さん)に出会い、ウサギは縁結びの神様になったというお話でした。


ウサギが一人で航海を失敗する姿や、過信や失敗を後悔する姿もこれまた、自分と重なってしまいました。


4つめのチームは、『ヘンゼルとグレーテル』をミュージカル風にした劇をしました。私もその一人として、お母さん、「ユカリーナ」役として舞台に立たせてもらいました。
今日に至るまで、仲間と作り上げていく過程が、幸せでした。それぞれがやりたいものを持ち出して、つなぎ合わせていきました。歌いながら台詞を言ったり、踊ったりすることは初めてでしたが、リーダーのまなかちゃん中心に効果的な演出を考えて練習しました。

初めは、やりたいことはたくさんあっても時間があまり無いために、本当にそれらが実現するのか、机上の空論で終わるのではないかという懸念がありました。魔女のお菓子の家も、製作が間に合うのか……? というところも不安材料でした。前日の土曜日、1日準備の時間をもらい、そこで私たちは急成長を遂げました……!!
前日の午前中に初めて最初から最後まで通すことができ、形になったときはすごく嬉しかったです。お菓子の家も、去年のコンサートで使ったリトルトリーの小屋を土台に使わせてもらい、上からパーツを貼り付けて作りました。

小道具も揃ったところで、練習に集中することができました。みんな練習から全力を出して演技をしていて、それぞれの持ち味が良く生かされたきらきらした表情が今も目に焼き付いています。そして、あっという間に本番を迎えました。

オープニングのあとの、継母とヘンゼルとグレーテルが森へ出かけるシーンでは、QUEENの『Lazing on a Sunday Afternoon』という曲を替え歌にして、動きをつけました。
うたなちゃん演じるヘンゼル、ゆうなちゃん演じるグレーテルの、継母(まなかちゃん)との掛け合いがとても可愛く、耳に残るメロディーです。

森に捨てられたピンチを、ユカリーナに助けてもらいます。ウィンターコンサートのパロディ要素も散りばめた、コミカルな要素にも笑いが起こりました。

そして何と言っても目が離せないのは、魔女登場シーン。えつこちゃん演じる魔女が「サクソフォンアンサンブル・シャンソネット」の曲に被せて替え歌で登場します。えつこちゃんワールド・オペラ的歌唱力が会場を包み込みました。「屋根はサクサク~特大メロンパン~♪」お菓子の家は、お母さんの好物でできています。お腹が空いてたまらないヘンゼルとグレーテルは、喜んで魔女のごちそうを食べるのですが。

やがて魔女が本性を現します。ヘンゼルをまるまる太らせてから食べるために、おいしい食べ物を与えようとするのですが……!? QUEENの『The Fairy Feller’s Master-Stroke』に合わせて、魔女と闘います。

そこで、ユカリーナ登場! 「古畑を剪定した桃の枝で、魔女の目を眩ませるのよ!!」
お母さんが古畑の桃の木を剪定してくださったときに切った小枝。その小枝を魔女に差し出して、目の見えない魔女に、それをヘンゼルの腕だと思わせるのです。
原作のヘンゼルとグレーテルの良さをそのままに、なのはな要素を付け加えて、さらに面白い展開になっていきました。
大事に育てられず、魔女を退治しても結局帰る家はないまま……。というヘンゼルとグレーテルの心境も自分たちと重なりました。

ユカリーナが、このお菓子の家に住むことを提案してくれます。自分たちで道を切り拓いていく。仲間を増やして、畑を作って、お店屋さんを開いて……そうしてソーシャルフィールドを作っていきたい!!
そんな決意、向かって行く未来、お母さんへの気持ちをみんなと表現しました。
私は今回お母さん(ユカリーナ)役として、台詞を言わせてもらいました。配役を決めるとき、みんなに決めてもらったのですが、自分ではお母さん役が務まるのかどうか、自分でいいのだろうか、という心配がずっとありました。けれどやると決まったからには、お母さん役を演じるに相応しい自分になっていこうと思い、演じました。劇中でヘンゼルとグレーテルに語りかけた言葉は、まさに自分自身に必要なことだったと思います。

「大丈夫。悪かったことも全部、オセロの黒が白に変わるみたいに最後には自分の力になるのよ」
お母さん役をやらせてもらう中で、お母さんだったらどう考えるのだろうか、とみんなで考えて、気づかせてもらうことが何度もありました。
普段から、心の中にいつもお母さんの考え方を置いて、なのはなの気持ちで生活したいと思いました。

後半最初のチームは、『浦島太郎』のチーム。
わら草履を履いた、本物の浦島太郎だ!! と、思ったら隣には浦島太郎がそのまま小さくなった!? 小さな相棒「小太郎」(たいちくん)が釣り竿を持ってにこにこしています!
2人は息ぴったり。浦島太郎はどうもやさぐれてしまったようで、
「やってらんねえな!」「なー!」
「もう漁師なんてやめちまうか!」「かー!」
たいちくんの合いの手はばっちりでした!

あゆみちゃん演じるお母さんが竜宮城に招かれ、鮮やかな衣装の魚たちが歓迎します。
岸本ファミリーの『昆虫太極拳』!! ひでゆきさんも青いツヤツヤの衣装を着てあゆみちゃんとたけちゃんと、ダンスを披露していました。


たけちゃんやたいちくんも大人に混じってしっかり演技していて、とても可愛かったです。そんな和やかな雰囲気に、温かい気持ちになりました。

次のチームは、『かちかち山』。「たぬきがおじいさんをだまして、おばあさんが入った汁をおじいさんに食わせる」というかちかち山の原作を知ったとき、その物語の恐ろしさに驚愕しました……。ですが、今回のかちかち山はちょっと筋が違います。
ちょっと大きめのタヌキが道に横たわっているところから物語が始まります。

どれみちゃん演じるおじいさんはとても優しい人で、サツマイモ畑を荒らしたタヌキに、「わしの作るサツマイモは、おいしいだろう」と優しく声をかけて、タヌキの傷を手当てしていました。 タヌキ(りゅうさん)が大学芋を食べたいと言えばそれを作り、優しく寄り添うおじいさんが、本当にどれみちゃんのようだなと思い、ちょっと感動してしまいました。

それでタヌキを憎らしく思ったおばあさん(ゆずちゃん)はタヌキを仕留めようと様々な手を打つのですが、偶然近くにいたお母さん(りなちゃん)に妨害されてしまいます。


最後にはお母さんの打ったホームランがタヌキを沈める泥舟に激突して、おばあさんはとうとうタヌキを仕留めることを諦めました。
須原さんが作ってくださった背負子(柴刈りのときに背負うもの)はリアリティと迫力があって、日本昔話の世界観が実写版として忠実に再現されているように感じました。

続いては、これまた印象的だった……『三枚のお札』のチームです。
まりのちゃん、みつきちゃん演じる小僧さんが、ゆきなちゃん演じる和尚さんの言いつけを守らず、山姥に遭遇してしまいます。
ゆかちゃん演じる山姥は、小僧さんたちの大好きな栗を餌に、家に招き入れました。……ドアガラスの向こうには、ぎらりと目を光らせるもう一人の山姥が……!! まえちゃん演じる山姥の迫力に、会場に悲鳴が起こりました。手には血のついた包丁を握りしめています。

小僧さんと山姥の追いかけっこが始まりました。図書室の数メートル分のそう広くはないスペースを上手く使って、本当に山中を駆け巡っているかのような演出がすごいなと思いました。本当にこの人は小僧さんたちで、この山姥たちに食べられるんじゃないかと、演技ということを忘れるほどの迫力で、目が離せませんでした。

みゆちゃん演じる「おっかさん」のお札で、小僧さんたちはピンチを乗り切り、改心します。おっかさんの神器・剪定ばさみで山姥の角を切り落とすと、山姥はそのまま動けなくなり、桃の木になった、という展開でした。
この山姥たちの恐ろしくも美しい魅力に、心拍数が上がりっぱなしでした。田舎訛りの語り口調も世界観が良く投影されていて、素敵でした。


そして最後のチームの発表は、『わらしべ長者』でした。
一人の貧乏なある男(なおちゃん)は、ある日阿弥陀様のお告げを聞きます。「掴んだ物は離すでない!」
それを聞いた男は落ちていた一本の藁を掴みました! そこから物語が動き出しました。

ある婦人(しなこちゃん)の子どもがその男の藁を欲しがり、男は藁を差し出しました。その代わりに、その婦人お手製のおむすびをもらいます。そのおむすびが、もう本当においしい……!! というなおちゃんの表情が印象的でした。
ゆうはちゃん演じるゆかりさんと出会い、男は物々交換の旅をします。


次に出会うのは、着物姿の美しい女性、ゆりかちゃんでした。行き倒れになっていたところを助けると、そのお礼に女性は紫色の布を男にかけてくれました。
行く先々で出会う馬(のりこちゃん)、侍(さとえちゃん、なるちゃん)の助けとなり、一本の藁しか持っていなかった男はやがて広々とした屋敷と広大な土地を手に入れます。

一人では持て余してしまうこの土地に、男は戸惑いました。ゆかりさんは、今まで出会ってきた人々に呼びかけ、「それぞれの才能を生かして、ここで働かないか」と仲間集めをします。婦人は、炊き出し能力を生かして、台所でみんなを笑顔にする。女性は、センスの良さを生かして衣類をコーディネートする。侍は刀を平和の武器に変え、刀を振るって草刈りをする。ときどき、鍬に持ち替えて開墾をする。もう一人の侍も、田んぼを作ってお米を収穫する。馬は、みんなの夢を乗せて走っていく。
そして、この物語の続きを自分たちが作っていく……!!

もう遠い未来の話ではない、ソーシャルフィールドに向けて走り出すみんなのきらきらした表情、やる気に満ちた意思を感じて、感動しました。みんなの存在が心強く、みんなでそれぞれができることをしながら、同じところを目指して走っていきたいと思いました。

最後はお母さんが『倶に』を歌ってくださいました。「過ぎた日々の峡谷をのぞき込む暇はもう無い」「君は走っている 絶対走ってる 確かめるすべもない 遠い遠い距離の中で一人ずつ一人ずつ僕たちは全力で共鳴する」


お母さんの力強い歌声に、勇気がわいてきました。
今回みんなで作った昔話も、決してただの昔話ではなく、思い描いた未来をみんなで実現させるんだという気持ちがさらに強くなりました。

物語に触れながら、またお母さんのことを思いながら仲間と作った時間がかけがえのない宝物の時間でした。お母さんだったらこうするだろう、こう思うのだろうなとみんなで考えたとき、それは自分の中にはなかった発想だったかもしれない、とはっとさせられることもありました。お母さんのような女性になっていきたい、お母さんの仲間として誇りを持って生きていきたいと思いました。

改めて、お母さんお誕生日おめでとうございます。なのはなでこれからもみんなと成長していきます。
(ほのか)
