【6月号⑨】「美しく、強く、鮮やかに! ―― 新聞紙で作る、昆虫ファッション ――」 あや

 

「新聞紙が服になる? 本当に? どうやって?」
 そんな思いを抱きながら、山小屋キャンプ最終日、伝統的行ことの大目玉イベントである、新聞紙ファッションショーが開催されました。

 今回のテーマは、「美しく生き残れ! 昆虫ファッションショー!」です。地球上の生き物の半数を占める昆虫。その昆虫から、私たち人間も、生きていく知恵を取り入れることができるのではないか。そんなテーマを掲げ、昆虫ファッションショーが始まります。前回が初めての参戦だったというゲストの男性チームも、一年の時を経て再び参加してくださいました。今回はどのようなファッションになるのか、後のお楽しみに。

 オープニングでは、可愛い虫に変身した実行委員のみんながダンスを披露してくれ、華やかな空気の中、いよいよ新聞紙ファッションショーのスタートです。

 

 

 今回の制限時間は約二時間。長いようですが制作時間としては短く、圧倒的に時間が足りません。
 また、今回は、新聞紙の他に、色画用紙、モール、折り紙などカラフルな物も用意されており、たくさんのアイテムの中から使うものを選んでの制作になりました。アイテムが増えたことにより、選択肢も広がり、完成も様々になりそうな難しい回です。

 私は、かにちゃんチームでした。事前にチームで集まり、相談することが許されているのですが、私達のチームは一度も集まっておらず、少しの焦りを感じながら、何をモチーフにするか、話し合いから始まりました。

 かにちゃんが提案してくれたのは日本の国蝶、「オオムラサキ」。大きな羽を持ち、美しさと強さを兼ね備えた青紫の蝶でした。モチーフの虫の提案とともに、衣裳のイメージ図も出してくれました。まるでウェディングドレスのようなボリューム感たっぷりのロングドレスに、たくさんのレースがちりばめられており、肩に羽をイメージさせる袖、さらには髪飾りまでデザインされていました。ファッションデザイナーさんが描かれたようなデザイン案で凄く素敵でしたが、私は同時に、(こんな、布で作る本当の服のようなものを新聞紙で作ることができるのか)と不思議でいっぱいでした。

 モチーフが決定してから議題は代わり、モデル決めに入りました。私はモデルをさせてもらうことになりました。衣裳のイメージ図を見た時から、こんな素敵なドレスを着られるモデルさんが羨ましいなと思っていたので、思いもよらずモデルに選んでもらえて凄く嬉しかったです。

 

 

■レースの羽

 開始から三十分程たって、衣裳のパーツをどのように作るかや、それぞれの役割分担が決まり、いよいよ制作タイムになりました。

 上半身の土台、袖、ドレスのレースの制作に分かれて同時に行われ、着々と準備が進んでいきました。かにちゃんが上半身の土台を作ってくれることになり、私はどのように作るのだろうと疑問に思いながら待機をしていました。新聞紙を一枚使って、ピタッと体のラインに沿わせながら余った部分をホッチキスなどで止めて、布で作られたようなトップスが完成されました。自分の身体の上で徐々に形が完成していくのを見て、凄く驚きました。私のイメージとして、作るときは新聞紙を切って張り付けたり、新聞紙に頭が通れるくらいの穴だけ開けて作るのだろうなと思っていましたが、本当に服を作るような方法ででき上がっていくのを見て感動しました。

 上半身の制作が終わり、かにちゃんはスカートの制作へ、私はレース作りに参加しました。新聞紙でレース? と私と同じように疑問に思った方もおられると思います。新聞紙をじゃばらに折ることで、レースを作ることができるのです。さらに、ただ新聞紙を折っていくだけでなく、オオムラサキのモチーフカラーの青色に見せるため、新聞紙の青色が入っている面を探し、それを折っていくことで青色のレースができ上がります。黒しかないと思いがちな新聞紙ですが、カラフルにしようと思えば、カラフルにできることを初めて知りました。

 青色だけの新聞紙を探すのは難しかったので、見つけた時は凄く嬉しかったです。色を選別し終えて、じゃばら折りを大量生産するなど、みんなと一緒に制作できた時間がとても楽しかったです。 

 

 

 袖チームが制作を終えて、次に袖が取り付けられました。タテハチョウの大きさを表現するために袖が凄くボリューミーに作られていたので凄く重く、上手く立たせるのが難しかったです。袖だけだと思っていたのですが、羽も制作してくれていて大きな羽も一緒につけてもらいました。重みが凄く、動く時に敗れるのではないかと少し怖かったですが、きちんと固定してくれたおかげで破れることはありませんでした。

 制限時間ギリギリのところでスカートも完成し、履くと一気に華やかになりました。パーツを組み合わせるだけで、あっという間にドレスが完成することに本当に感動しました。胸や髪に薔薇をつけてくれたり、触覚もつけてくれて、新聞紙とは思えないほど綺麗なドレスが完成しました。

 

■色々な虫とデザイン

 お待ちかねの衣裳発表、審査のお時間です。

 会場に着き、モデルさん待機場では、それぞれ違った可愛さの衣裳を着たモデルさんのみんながいて、胸が凄くときめきました。(何の昆虫モチーフの衣裳なのだろう?)と思いながら、いよいよレッドカーペットを渡って披露会が始まりました。

 

 

 すにたちゃんモデルのチームは「ホウセキゾウムシ」。ワイヤーが上手く使われており、スカートのアクセントがとても可愛かったです。全体的にふんわりとした可愛らしいデザインで、すにたちゃんにピッタリの衣裳でした。

 

 

 他のグループとは少し違うモチーフの選び方をしていたのは、「サナギ」のももかちゃんチーム。頭巾のような丸いフォルムに星みたいな飾りがつけられており、可愛さとどこか不思議な感じが上手くマッチしていて、とても魅力的でした。

 

 

 「蛍」モチーフはちさとちゃんチーム。川に蛍の光が輝いている様子が表されていて、黄色と青のカラフルさがポップで素敵でした。

 

 

 私が一番心を惹かれた、あけみちゃんモデルの「カブトムシ」。今まで見てきたふんわりスカートタイプとは異なってスタイリッシュで強く、また、スタイリッシュなだけでなく女性的な美しさも併せ持った衣裳で、あけみちゃんの美しさが際立っていて、本当に綺麗で目を奪われました。

 

 

 いよいよ私達のチームの番になりました。みんなが見ている中、モデルとしてレッドカーペットを歩くのは初めてで出る前からとても緊張しました。歩き始めた途端、会場から感嘆の声が聞こえてきて、みんなで作った衣裳が本当に素敵なものだと実感しました。

 気になる得点は二百点中、百九六点の高得点をいただくことができました。本当に華やかで綺麗で、プリンセスが着るような衣裳を着させてもらうことができて、とても光栄で嬉しかったです。

 

 

 続いてみんなの一番の注目、男性チーム。相川さんと大竹さんは一年越しのリベンジをどんな衣裳で挑むのか、みんなの期待の中、りゅうさんが着ていたのは「ビワハゴロモ」モチーフの衣裳でした。マントがついており、りゅうさんが堂々と手を広げるとふわっとなびいていたのが素敵でした。男性チームの凄い所はなんといっても、パンツスタイルの衣裳な所。ズボンは作るのが難しいらしく、例年、ズボンのチームは破けるなどハプニングが多いみたいなのですが、本物のズボンを作る時のように立体裁断をして作ったそうです。どこも破けず、動きやすそうで、上手くズボンの衣裳を作った相川さんと大竹さんが本当に凄いなと思います。

 

 

 最後を飾ったのは、やよいちゃんモデルの「ミラースパイダー」の衣裳でした。新聞紙とは思えない、ふんわりした立体感のあるトップスに立体の三角形が沢山ついているスカートでした。本当に実在していそうなデザインの、可愛くて自然な衣裳で、コンサートで着たら絶対に舞台映えするな、と思います。

 

 

 お父さんの一押し賞に男性チームが選ばれました! 一年を経て、リベンジが成功し、みんなも男性チームの方も大盛り上がりで、暖かい空気でいっぱいでした。また、お母さんが着てみたい賞にサナギモチーフのももかちゃんチームが選ばれ、ボーナス得点が追加されたところで、栄えある優勝は……。

「ミラースパイダー」モチーフの、やよいちゃんチーム!

 悔しくも優勝を逃しましたが、素敵な衣裳ばかりだったので、どのチームが優勝しても納得した気持ちでした。

 

 

 今回、新聞紙ファッションショーを通して、新聞紙だと思えないくらい素敵な衣裳になることや作り方、また今までは知らなかった数々の昆虫を知ることができ、とても楽しかったです。この素敵な衣裳の中から今年のウィンターコンサートの衣裳が出るかもしれないという期待と楽しみでいっぱいです。

 次回の新聞紙ファッションショーが、どのように進化しているのか、お楽しみに!