「石生コース」 すにた

2月4日

〇心臓破りの坂 その名も「石生コース」
 今日でマラソンを走り始めて、22日目!
 3週間が過ぎ、走ることが少しずつ日常になってきた今日、ついにこの日がやってきました。なのはなのマラソンコースの中でも、足腰が鍛えられる心臓破りの坂、その名も「石生コース」への挑戦です。
 今日は走り出す前から、嬉しいことが重なっていました。
 ももかちゃんが、今日は学校がお休みということで、朝から一緒に過ごせたこと!
 さらに、今日からは、ゆうなちゃんとそなちゃんとも一緒に走れること!
 大好きな仲間が揃ってスタートラインに立てる。そのことがただただ嬉しくて、走り出す前から心の中はパッと明るいエネルギーで満たされていました。
 足腰がしっかり鍛えられるこのコースは、実行委員さんが、
「この石生コースが走れるようになってきたら、当日のフルマラソン42.195キロはもう走れるよ‼︎」
 と太鼓判を押すほど。心と身体をぐっと強くしてくれるトレーニングコースです。
 走り出す前は、そんなに構えることもなく、みんなで、「よし! 行くぞ!」と元気いっぱいに気合を入れました。メラメラと燃えるポーズで写真を撮る時間は、新しい仲間も加わったワクワク感でいっぱいで、笑顔が絶えません。
 スタートしてからは、なつみちゃんカメラマンと、ももかちゃんカメラマンが、私たちの姿をショート動画や写真で撮影してくれました。
 石生コースでの撮影は、走りながら位置を調整したり、みんなの表情を捉えたりと、まさに「綱渡り」のような大変な作業です。それなのに、2人の放つ力強いパワーと、太陽のような満面の笑みに見惚れていたら、自然とこちらの口角も上がります。

「頑張って!」と声をかけてくれるカメラに顔を向けて、大好きなみんなと笑い合っていると、走ることがとても軽やかに感じられて、あっという間に時間が過ぎていきました。
 そうして楽しく走っているうちに、道は徐々に、石生コースの坂の前までやってきました。
 その時になって、ふと、先ほどまでのリラックスした空気が引き締まり、急に緊張が高まってくるのを感じました。
 見上げる坂を前にして、登る前から心臓がドキドキと音を立て始め、鼓動が少しずつ早くなっていきます。「いよいよ、ここからなんだ」という実感が、静かに胸に迫ってきました。
 石生コースの坂は、なんといっても急‼︎ そして、見上げるほどに長い‼︎
 一歩一歩踏みしめるたびに、自分の身体の重みを感じるような、これは足腰が間違いなくムキムキになるな、と確信させるような坂道です。
 私は、「前向きに、ポジティブに!」と自分に言い聞かせました。
「これで私の心も身体も、一段とムキムキになるぞ」
 そんな風に、自分自身を明るく励ましながら、一歩ずつ坂に立ち向かっていく作戦です。
 坂道の途中まで来ました。
 登るにつれて、どんどん坂道が牙を剥くように急になっていくのを感じます。足の筋肉が熱くなり、「キツイ……。」という思いがふっと頭をよぎりそうになったその時、最高のリズムでお題回しが回ってきました!
 今日は味噌玉作りの日。味噌といえば、時間をかけて美味しさを引き出す「熟成」が欠かせません。
 ということで、今回のお題テーマは「皆が熟成させたいもの、磨きたいもの」です。
 苦しいはずの坂道の途中で、皆が絞り出した言葉は、驚くほどキラキラしていました!
「筋肉‼︎」
「笑顔‼︎」
「ダンス‼︎」
「ギャグセンス‼︎」
 などなど……。
 一人ひとりの「熟成させたいもの」を聞いたり、それを皆で大きな声で復唱したりしていると、不思議と心の内側からエネルギーがメラメラと燃えてくる感じがしました。仲間の声を聞くだけで、それだけで自分の中に、また新しい沢山のパワーをもらったような気がしたのです。
 私の番が来た時、私はお腹の底から「魂‼︎」と答えました。
 これからもみんなと一緒に過ごす日々の中で、自分の魂をうんと磨いていきたい!
 そんな風に、今心の中に思っていることや感じることを真っ直ぐに声に出すと、さらにやる気がブワッと湧き上がってきました。
 自分の思いを言葉にして、皆の前で宣言することの効果は、こんなにも力があるなんて走りながら深く感じました。

 そして、いよいよ心臓破りの坂もあと少し‼︎
 足が鉛のように重くなっても、皆で「ファイト!」「ファイト!」と掛け声を掛け合いながら、石生の坂を一段ずつ乗り切ります。
 なんと言っても、最後の2メートルが、それまでの道のりの何倍にも長く感じられました。
 けれど、長い列を作って走る仲間の存在、皆で声を掛け合って「全員で走り切る!」という共通の目標があるから、私は足を止めずにいられました。今日から一緒に走り始めたゆうなちゃんやそなちゃん、そしてカメラを向けてくれるももかちゃん。みんながいるから、頑張れる。
 ふと周りを見渡すと、前を走る仲間の背中も、後ろを走る仲間の眼差しも、みんな本気で坂に向き合っています。そのひたむきな姿にとても勇気をもらい、何度も何度も救ってもらったから、こんなに楽しく最後まで登り切ることができたんだと思います。
 ついに石生コースの坂を登り切った瞬間、皆で「やったー‼︎」と全身で喜びを爆発させました。
 その時の達成感に、フッと心が安心していくのを感じました。
 絶対に1人では、こんなに楽しく、これほど負担を感じずに走り切ることはできなかったと思います。仲間の存在があるからこそ、走ることが苦しみではなく「楽しさ」に変わり、安心して、のびのびとした気持ちでどこまでも行ける。
 走り切った時のあの空気感。皆一人ひとりの顔をじっと見ているわけではないけれど、前からも後ろからも伝わる達成感の波で、「本当にみんなで一つになって走り切ったんだな」と心から実感しました。
 それは、言葉にできないほど本当に嬉しい瞬間でした。
 頂上でやりきってフッと力が抜けて、そこからゴールまでの道のりは、また少しきつく感じてしまいましたが(笑)、それ以上に、皆と一緒に坂を越えた達成感が何倍にも何倍にも自分自身の力になっていると感じて、誇らしくて仕方がありませんでした。
 どんなにキツイ坂道でも、カメラマンのなつみちゃんとももかちゃんがずっと笑顔でレンズを向けてくれたこと、そして実行委員さんの明るい掛け声がずっと背中を押してくれたこと。
 今日は皆のパワーを沢山もらって、心も身体も、そして魂も少し熟成できた1日でした!
 明日もこの充実感を胸に、頑張るぞ!