「なのはなに出会って」 みつき

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成人式を終えて

 1月10日、なのはな成人式が開かれました。
 新成人は、サリーちゃんとわたしの2人です。
 朝、あゆちゃんとまえちゃんにヘアメイクをやってもらいました。ヘアメイクがどんどん仕上がっていくのを見て2人や周りのみんなが、「かわいすぎるよ!」 「ほんとに素敵!」と言ってくれました。見慣れない姿の自分に少し驚いたし、恥ずかしかったけれど、とてもうれしかったです。
 
 ヘアメイクが終わると、着付けをするために村上さんと河上さんの元に向かいました。
 お父さんとお母さんがわたしのことを考えて選んでくださった、オレンジ色の振袖。村上さんがしっかりと着付けてくれて、河上さんが、「これはお母さんのお姉さんの振袖で、とってもいいものなんだよ」と教えてくださいました。帯も、わたしのとサリーちゃんのでそれぞれ結び方が異なっていて、カメラで見せてもらったわたしの帯も、後ろから見るサリーちゃんの帯も、すごく美しくて綺麗でした。わたしの地元は成人式が8月に行われていたため、振袖を着ることはないと思っていたのもあって、いま、自分が着させてもらえていることが本当に喜ばしくてありがたいことだなと改めて感じました。

 

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 着付けはあっという間に終わって、本当に成人式が始まるのだという実感がわいてきて、緊張でソワソワしてしまいました。後から着付けに来たサリーちゃんも、緊張からか顔がこわばっていました。そこにお母さんが部屋に来られて、「みつき、サリー、本当にかわいいよ。似合ってるよ」 と言ってくれて、ずっと満面の笑みでわたしたちを見つめてくれました。それからお披露目の直前まで、わたしたちの髪飾りはどれがかわいいか考えてくれました。それで、少し緊張もほぐれて、心もやわらかくなりました。

 

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 みんなが待っているリビングに入ると、みんなが「わあ~~」と歓声を上げて笑顔で迎えてくれました。やっぱり、恥ずかしくて、照れくさくて、みんなの顔があんまり見られなかったです。

 そのあとすぐに、成人式が始まりました。体育館に敷かれたレッドカーペットを歩いていくと、背筋が正されるような、真剣な気持ちにさせられました。あゆちゃんの司会で、プログラムは「桃の歌斉唱」になりました。わたしは初めて聞いたのでみんなといっしょに歌えなかったのですが、素敵な、なのはなにしかない歌だなと感じました。次は、わたしも大きな声で歌えたらいいなと思います。

 

 お父さんやたくさんの方からのお祝いが本当にありがたかったです。須原さんと白井さんからは祝電を、河上さんと村上さんからは祝福と応援の言葉を頂くことができました。お父さんからは、なのはなファミリーの理事長として、身が引き締まるような強い力のある言葉を頂くことができました。
お父さんの祝辞をお聞きして、わたしたちは本当に大変な世の中を生きているということを思い起こされました。コロナ、地球温暖化など……。こういった世界で、自分だけがこうだったらいいとか、狭い軸で考える人間にはなりたくありません。わたしはこれから、お父さんの望むような、広い軸、広い視野を持った大人になっていこうと決意できました。

 そして、今日の成人式の感謝の気持ちや、これからの抱負をみんなの前で謝辞として伝えることができてうれしかったです。みんなの前でマイクを使って話すのは初めてで、声が震えてしまうくらいドキドキしたのですが、目の前のお父さんとお母さんが笑顔でうなずいてくれました。なので、落ち着いて最後まで話しきることができました。お父さんは、涙を浮かべていて、わたしも泣いてしまいそうになりました。

 

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 みんなでの写真撮影でも、みんながせーので「成人おめでとう」とお祝いしてくれて、退場の時のみんなの拍手と笑顔も、とってもあたたかくて、ほっとしました。

 昼食後からは、チームのみんなとともにいろんな場所を回って撮影をしていただきました。
途中から、お父さんがカメラマンをしてくださいました。お父さんの笑っている顔を見ていると、わたしも自然に笑顔になれました。お父さんの産着を使って作られたつるしびなや、傘や椅子などのいろんなものと写真が撮ることができたのも、楽しかったです。

 撮影チームのみんなのやさしさが、本当にうれしかったです。今日までの三日間、ずっとてきぱきと動いて、わたしやサリーちゃんのために気遣って椅子を持ってきてくれたりとか、声掛けをしてリラックスさせてくれたりとか……。「一生残るものだから」と良い写真をおさめようと動いてくれたかにちゃん、みんなに感謝の気持ちしかありません。やってもらってばっかりだったのに、「この空間にいれてしあわせ!」と言って笑ってくれて、本当に本当に、涙が出そうなくらいうれしかったです。
チームのみんなだけでなくて、リビングや体育館の飾りつけ、清掃を行ってくれたみんなにも感謝の気持ちしかありません。なのはなのみんなのやさしさ、わたしたちを祝う気持ちがいっぱい伝わってきて、あたたかくて。

 お披露目や式、校内に居るときも、みんながわたしに笑顔をくれて、祝福の言葉をたくさんかけてくれて、本当に、本当に、うれしかったのですが、照れてしまってあまり見ることができませんでした。それが少し、おしかったなと思います。
 わたしが、もっと感受性豊かで、もっと語彙力があったらこの気持ちをみんなに伝えつくすことができると思うのですが……。本当にありがたくて、うれしかったんです。

 

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 わたしなんか、なのはなの子になりきれていないわたしなんかが、こんなに着飾っていいのだろうか、盛大に祝ってもらっていいのだろうか、そういう気持ちがどこかでありました。わたしは二十歳になることがすごく怖かったのを覚えています。二十歳になって、家族や周りの人に祝福される価値なんかない、だから誕生日を迎えたくない。二十歳になりたくない、なら二十歳を迎える前に死んでやろうか。
 でも、いまその苦しい気持ちはもうさっぱりなくなりました。こんなに、幸せな気持ちにさせてもらって、たくさんの愛情をもらって、そんなこと感じるはずがありません。
 みんなが好きでいてくれるわたしを、嫌いたくないと思いました。

 夕食後、集合でお父さんの話をお聞きして、考えたこともたくさんありました。妬みとか、自分が一番でないと許せないとか、そういうドロドロした、わたしがいままで見てきた世界。
 思い出すと、どこに居ても何をするにも、競争でした。中学校や高校は仕方ない。でも大学や専門学校に進学して、環境が大きく変われば、わたしも変わることができるだろう。楽になることができるだろう。そう思っていたのに、何も変わらなかったです。いつだって、心のどこかではつらかったです。周りのクラスメイトにはできることがわたしはできない、周りのクラスメイトが持っているものをわたしは持っていない。欠点ばかり。だけど少しでも痩せていたら、みんなから褒めてもらえる。褒めてもらえて、好きでいてもらえたら、まだ、存在価値がある。

 でも、体重が30キロになっても、やっぱり何も変わらなかったです。なんでみんなはしあわせなのに、いや、わたしもしあわせなはずなのに、わたしはなんでこんなに苦しいんだろう。なんで、ふつうの人間になれないんだろう。考えても考えても、わかりませんでした。
 でもそれは、今までこういった世界で生きていたからでした。思考、感情など、あらゆるものが汚れていて、だけどそれが普通だと思いこまされていました。

 わたしはもう本来あるべき世界を知っています。仲間のことを、自分のことのように喜んで、しあわせだと感じる。ひとりになることを恐れない。ここ、なのはなファミリーの世界です。
 夜、式が終わってからも胸がいっぱいで、思わず校長室に押しかけてしまいました。お父さんお母さん、疲れているだろうに話を聞いてくださって、ありがとうございました。
 2、3か月前は、ぜったいなのはな色に染まるもんかと思っていたし、お父さんとお母さんにつらく当たったこともありました。帰りたい、帰らせてくれと何度も泣きました。でも、決して見捨てずに、帰らせないでくれて、ありがとうございました。みつきはなのはなで絶対元気になれるから、変わることができるから、って信じてくれて、引き留めてくれて、ありがとうございました。
 わたしは、本当にやさしくて、あたたかくて、希望が持てる世界に来ることができました。

 そして20歳を、人生の節目を、ここで迎えられたこと。
 今日のこの気持ちや、お父さんの言葉、目標を忘れずにこれから生活していきたいです。なのはなのみんなのようになるために、まだ見ぬ誰かのために、わたしは生きていかなければいけないと感じます。20歳を、これから先を、生きていかなければいけないと感じます。

 お父さんお母さん、みんな、いまわたしは幸せです。だいすきです。
 拙い文章で、ごめんなさい。この度は本当に、ありがとうございました。

 

◆感想文メニュー◆

「優しさにつつまれた、なのはな成人式」 サリー

「なのはなに出会って」 みつき

「あるべき家族の在り方」 やよい

「本当の意味での自立を」 ゆりか

「大切な人を守れる大人に ――成人式で感じた自分の役割――」 ゆい

「2人に出会えて」 ななほ

「未来の誰かのために」 ひなの

 

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