「わが子のように」 うたな

2月15日

 今日からついに、本格的に、糀づくりが始まりました。メンバーに入らせてもらったと分かってから、ずっと楽しみで、ワクワクして、待ち遠しく感じていました。0から菌を育てて米糀を完成させるのも、チームのメンバーで集まるのも、私たちの担当の塩糀がなのはなの外の人にも届くことも、音楽室に泊まって夜な夜な見回りするのも、全部、楽しみで胸がいっぱいでした。
 今日は蒸米と種つけの作業。なるちゃんやひろこちゃんが考えてくれて、マニュアルがあってそれに沿って進めていきました。空き時間に次の道具の準備や洗い物を終わらせるという、段取りのよさ。先読みする力があるのは、作業の上で本当に大事なことなのだ、とよく分かりました。
 朝食前には、蒸米の準備をしました。びっくりしたのが、米研ぎのみんなの力です。昨日米研ぎをしてくれた、しなこちゃんたちのプロフェッショナルさ。お米が浸かっている水に、少しの濁りもなく、透明で、透き通っていました。私は米研ぎをちゃんと教わったことがないのですが、すごく難しいし水を透明にするのが大変だと聞いていました。こんなに美しいお米で糀が作れるのがすごくうれしいことだと思いました。
 朝食を食べながら、お湯が沸くのを待ちながら、糀の名前を考えたり、このチームの特長を言ったりしました。メンバーみんな優しくてあたたかくて、すごく居心地が良いです。家族でやっている感じがしました。

 種つけは、噂には聞いていたけど、本当に「フルメニュー」でした。蒸しあがった米が台に到着、うちわで冷ましてしゃもじで混ぜる。温度が42度以下になったら急いで広げて糀菌をまぶす。傷をつけるように、米に糀をすりこませる。35度以下に冷めないうちに、なまこ型に成形して糀箱にいれて、お部屋へ移動!
 そうこうしているうちに、次のお米が蒸しあがります。間髪入れずに次々とこなして、温度管理も、もちろん質もきっちりやる。よく理解して、予定を緻密に立ててやらないとできない一連の動き。夢中になれて、すごく楽しくて、ずっとやっていたい! と思う時間でした。
 米は、蒸しあがりは「耳たぶくらいの硬さがよい」と教えてもらいました。水分が多すぎるとべたべたしてしまう。通常60パーセントだけど、糀になる米の水分量は36パーセントくらいらしいです。なるちゃんとどれみちゃんが蒸米を担当してくれました。2人で確認しあって、「この硬さ素晴らしい!」と毎回感激しながら届けてくれるのが愛嬌があってにぎやかでした。

 手首あたりを使って、糀菌をお米にすりこんでいくのが、味わったことがない感覚でした。擬音で表すと、ギュリギュリみたいな感じです笑。みんなで、「頑張れきんちゃん!」「くろちゃん、いい味噌になってね!」と声をかけながら種つけしました。
 ……あ、くろちゃんというのは「樽乃中黒太郎」という名前の糀のあだ名。黒豆を使った味噌をつくる今回に持ってこいの名前だと、ひろこちゃんが押してくれました。きんちゃんは、「塩糀金太郎」という名前のあだ名。塩糀もつくる今回。みんなで考えて、あだ名までつくって呼び合いました。チームの一体感も増すし、わが子のように断続的に見守っていくので、名前が決まったことがすごくうれしかったです。
 驚いたのは、ひろこちゃんが糀菌を振りかける速さです。正確に言うと、私が驚いたのではなく、ゆきなちゃんが驚いていました。何度か糀づくりを経験しているゆきなちゃんが、「こんなに速い人初めて見た」と笑っていました。ひろこちゃんのつくるナマコ型も、すごくきれい。やっぱりひろこちゃんは何に関しても達人だなあと思いました。途中、「誰か手を貸してください」という声がかかったとき、ひろこちゃんが、「私は今この子のお守りをしているので行けません」と真顔で答えていたのが面白くて笑ってしまいました。本当にひろこちゃんもみんなも、糀に向き合っていて、それがすごく伝わってきます。
 初めてで、認識力がまだ低い私は何度か失敗してしまいました。例えば蒸しあがった米を台に上げるとき。ひろこちゃんやゆきなちゃんはきれいにひっくり返すのですが、私は少し失敗してしまいました。そのときもなるちゃんが、「大丈夫、こんなのなんとでもなるよ」とすごく落ち着いていました。温度を保つのがスピード勝負で、次々にしなければならないことが舞い込んでくるので、焦ってしまいます。でも慣れている達人たちがすごく落ち着いているので、安心した気持ちで作業ができました。

 昨年のコンサートの音楽を流しながら、作業をしました。糀には耳がある、とよく教えてもらいます。コンサートの曲を糀に聞かせながらやると、糀も私たちと同じ気持ちで、一緒に進んでいる感じがします。
 そして何と、去年のラスト曲Show must go onが終わるとき、同じタイミングで最後の糀箱が収納されたのです! みんなで、拍手してしまいました。コンサートは終わったけど、糀にとって種つけは、人生のスタート。これから私たちの力で、いい糀に育てます。
 どれみちゃんは今日、出勤を遅らせて、種つけにいてくれたみたいです。火曜日もお休みで一緒に糀づくりができます。すごくうれしいです。
 糀は自分では歩けない、歩かせてあげることが大事。そう教えてもらいました。水曜日の味噌玉づくりまで、大事に、糀を育てていきたいです。チームのみんなと一緒に糀を見守っていける時間が本当にあたたかく、幸せに感じます。