3月17日のなのはな

育苗スペースに敷き詰められたセルトレーのお部屋で、小さなちいさな苗や芽たちが、ひとには感じられない微風にふるふると揺れて、まるで何かを話しているよう。
野菜の種まきが日々、進んでいます。これまでに蒔いた種は、ナスやトマト、ピーマンの台木や穂木となる品種、トウガラシ、リーフレタス、ロメインレタス、バジルなど。ズッキーニも芽出しを行ないました。今季の種まきはすべて、事前に吸水させ芽出しをしたうえでまいています。



面白いのは、苗床に複数設置された、小さな白いタグのようなもの。これは、スマホからいつでも、無線LANによって送られた温度などを知るための装置なのです。苗床の状況がいつでも見られて、とても便利になりました。


育苗や畑を主体となってみてくれている、さくらちゃんが今いちばん楽しみなのは、接ぎ木です。病気に強い台木に、美味しい実のなる穂木をつなぎあわせる、接ぎ木作業がもうすぐ始まります(予定ではトマトから)。作物によっては1年しか間を開けていない畑もありますが、接ぎ木苗を植え付けることで連作障害を避けることができます。うまくいったら、とても強くて美味しい株を作れます。


また、古畑のビニールハウスでは、サツマイモが芽を出し始めています。この種芋は、室内でホットカーペットの上にならべ、霧吹きで水をかけて、ビニールなどで覆い、毛布で保温。30度前後で1週間ほど芽出しをしたものです。紅はるかと鳴門金時を植えています。


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なのはなでは今季、ジャガイモにかなりの力を注いでいます。ジャガイモの芽出し、ジャガイモ特有の畝、植え付け、追肥、土寄せなどの手入れ、そして収穫までのストーリーは、お父さんやさくらちゃんの中では、完全に出来上がっているようです。そのジャガイモ栽培計画を聞かせてもらうと、すごくワクワクしてきます。
日本では米が主食ですが、ドイツではジャガイモが主食だ、とお父さんが教えてくださいました。主食になる条件は、作るのが簡単で早く収穫できることと、飽きない味であることだそうです。なるほど、ジャガイモは3か月で収穫できて、飽きない味だなぁと、思い、お父さんの話を聞き、ジャガイモとは、すごく重要な食べ物なんだ、ということを知りました。

私も今年は、ジャガイモの芽取りや、ホットカーペットでの芽出し、日光に当てて芽を丈夫にする作業、種芋のカットや、切り口に草木灰をつける作業など、今までジャガイモの作業にたくさん関わらせてもらいました。こんなにジャガイモのことを考えたことは無いなぁと思います。その中でいろいろ疑問点が湧いてくると、お父さんやさくらちゃんに教えて頂いたり、自分で調べたりして、ますますジャガイモの栽培が奥深くて面白いなぁと思います。
今日まで、様々な工程を経て、いよいよ昨日から、ジャガイモの植え付けが始りました。昨日7割ほどの植え付けが終わり、後3割ほどが残っていました。今年は、8枚の畑でジャガイモを育てる予定で、それだけでも凄いなぁと思っていたのですが、何と! 更に新たに2枚加わり、合計10枚になりました。株数は13000株から17000株に増えました。新たに増える2枚は、山畑上と、コム4(フォー)畑。それを知って、昨日須原さんはお昼ご飯を台所で立ち食いで済ませて、みんなより先に一人畑に出向き、トラクターで畝を立てて下さったそうです。昨日、昼食に須原さんがいなかったのは、そういうことだったのか、と後で知り、本当に有難いなぁと思います。
今日の午前の作業は、須原さんが耕して畝立てをして下さったばかりの畑の、畝の成形です。さくらちゃん筆頭に、パワフルなメンバーが集まりました。その中で一緒に作業をさせてもらえることがすごく有難くて嬉しかったです。やっぱり鍬を持つと、「畑作業!」という感じがして、気持が上がります。やる気がムクムク湧いてきます。
まず、みんなでトラクターや管理機がターンできる道を残して、畝の端を決めて切る作業をしました。畑一杯ジャガイモを植えたいけれど、機械が通れる道を作るというのは、今後の作業のためにはすごく重要なんだなぁと思いました。さくらちゃんが手本を見せてくれて、私もそれを真似て畝を切っていきました。それだけでも結構ハードな作業だなぁと思いましたが、まだまだ作業は始まったばかり。気持を上げて次の作業に移ります。

ジャガイモの畝は、ほかの野菜の畝のようにかまぼこ型ではなく、その反対で、中心をへこませるM字型の畝を作るそうです。先日畝立てをしてくれたメンバーからその話は聞いていましたが、私はそれが実際どんな形になっているのか、どのように作るのか知らず、興味津々でした。M字型にする理由は、一つに乾燥対策です。畝の頂点を凹ませることで、水が株元に集まりやすくなります。二つ目に、地温の確保です。凹みの部分は風の影響を受けにくく、地温が安定します。植え付け直後のデリケートな時期に、両サイドの盛り上がりが壁となり、冷たい風や霜から新芽を守ってくれます。三つ目に、土寄せの作業効率がアップします。そのようなメリットがあり、M字型の畝にすることになったようです。本当に理にかなったテクニックなんだなぁと思います。育てる野菜によって、畝の幅も形も様々で、すごく面白いなぁと思います。昨日も少しだけM字型の畝づくりをさせてもらったので、やり方は分かっていましたが、もう一度さくらちゃんにM字の深さを確認してから始めました。一人一畝に入って、手早くM字型を作っていきます。私はさくらちゃんの鍬や身体の使い方や、スピードを真似て進めていきました。コツをつかむまで、最初は少しぎこちなかったのですが、分かってくるとさくらちゃんと同じようなM字型の畝ができていき、自分の作った畝を見て、なかなか上手くいったぞ! と少し満足しました。昨日は深く掘りすぎたのですが、今日はいい感じでM字型ができて嬉しかったです。
山畑上の畝の成形が終わり、次はコム4に移動しました。近道をするため、ちょっと遊び心で、よしみちゃんと一緒に斜面を滑り台のように滑り落ちた時、すごく楽しくて子供に戻ったような気持ちになりました。こんなにワクワクした気持ちで作業に向かえることが、本当に嬉しいなぁと思いました。コム4に着くと、同じように畝の端を切ったり、中央を凹ませてM字型の畝を作りました。これで、午後からジャガイモを植え付ける準備は整い、晴れやかな気持ちで午前の作業を終えることができました。
午後は、ジャガイモの植え付けです。明日、雨予報が出ているので、今日中に絶対終わらせたい! とさくらちゃんから聞き、ますます気合が入ります。昨日は主にメークインを植え、アンデスや北海コガネも少し植えました。今日植える種芋を見ると、ほぼデストロイヤーのようです。今年は種芋が高い上に、そもそも売っていない品種もある、という話を度々聞きます。デストロイヤーも希少価値があるそうですが、軽トラに山盛り積まれたデストロイヤーの、自家採種した種芋を見ると、本当に凄いなぁと思います。こんなにもたくさん植えられて贅沢です。芽出しも順調にいっていて、他の品種と比べると圧倒的にがっしりとした芽がたくさん出ています。これは絶対にいい芋ができるだろうなぁと、植える前から期待が膨らみます。

まず最初に、山畑上の畑に行きました。アンデスの芋が少し残っていたので、最初の3畝弱はアンデスを植えていきました。私はえみちゃんとペアになって、芋を23センチ間隔で置いていきます。さくらちゃんから、小さすぎる芋は、もう少し狭めて置いてもいい、と教えてくれました。えみちゃんが持ってくれたコンテナから、私が芋を取って置いていきます。えみちゃんと「ハイ!」「ハイ!」と掛け声をかけながら、手早く置いてくと、だんだんリズムに乗って楽しくなってきます。えみちゃんも最初はコンテナが重たいのですが、芋が減るにつれ軽くなってくると、手渡しで芋を渡してくれます。そういう優しさも嬉しいなぁと思いながら、アンデスの芋を全て置ききりました。

アンデスが終わると、次はデストロイヤーです。デストロイヤーの芽を見ると、みんなその逞しさに驚きと喜びの声を上げます。直径2センチくらいのすごく小さな芋から、30センチ近い芽がグングン伸びているものもあります。小指サイズくらいの太い芽が出ているものもあります。芽が大きな塊となってついている芋がたくさんあります。芽も色も黒ではなく、紫で綺麗です。こんな状態の芋を見たことがないので、収穫の時がどうなるのか本当に楽しみになります。
植え付けは、移植ごてを土に突き刺して少し傾け、開いた場所に芋を入れて、移植ごてを抜きます。そのワンアクションで次々と芋を植え付けていきます。私はさくらちゃんのやり方やスピードを真似しながら植えていきました。さくらちゃんを見ると、1つ2秒くらいの速さで、本当に速いです。でも、速くていい作業ができると本当に楽しいなぁと思います。山畑上の畑にジャガイモが植わった時、さくらちゃんが満面の笑顔で、「この畑にはおよそ2800から3000個の芋が植わりました!」と教えてくれました。そんなにたくさん植えたのか! と驚き、次の畑に移動します。
次は山畑西です。山畑西に着くと、最初に、先日お土産でいただいた「北海道産の芋」を10個ほど植えました。品種が分からないそうですが、黒っぽいがっしりした芽が出ていて、期待が膨らみます。その後は再びデストロイヤーです。先ほどと同じように、えみちゃんとペアになって芋を置いていきます。途中から芋を置く人と、植え付ける人に分かれ、私は芋を植え付ける役目になりました。置いていく人を追って、テンポよく植えていきます。一人一畝に入り、終ると「次の畝に行きます!」と言い、みんなも「ハイ!」と答えます。そのやり取りからみんなのやる気や喜びや、優しさを感じて、すごく嬉しくなります。
およそ30畝ほどの植え付けが終わりました。最後の4畝はメークインを植えました。


次は最後の畑、コム4に移動です。コム4の畑は少し小さめです。メークインを植えていきます。最初はやっぱりえみちゃんとペアになり、芋を置いていき、途中から植え付けに入りました。畑も狭いのであっという間に終わり、これで今年のジャガイモ畑10枚全てに、植え付けることができました。終った時は、すごく達成感があり、満足した気持ち、これからのジャガイモの成長に期待が膨らみます。実はまだ種芋はたくさん余っているそうです。余っているなら全部植えたい! と思いますが、その後の手入れに手が回らなくなったり、できた芋の保存場所にも困る、という問題があるようです。種芋がこんなにも余るくらいあるなんて、本当に凄いなぁと思います。
食事の席でも、お父さんがジャガイモについて、いろいろ説明をしてくれました。今日は追肥についての説明です。今度の追肥は、畝へ筋状に撒くのではなく、株のそばに穴を掘って埋める方針だそうです。それもすごく理にかなったやり方で、リン酸は土に混ぜるとすぐに土の中の成分(鉄、アルミニウム、カルシウムなど)と結合して、カチカチに固まってしまう性質があるそうです。根が栄養を吸う前に、土の成分と合体してしまい、水に溶けにくい状態になって、植物が利用しにくくなるそうです。しかし穴に牛肥を埋めることで、土に触れない養分は、作物が根を伸ばしたときに吸収することができます。また、土の表面に牛肥が露出しないので、虫を呼び寄せる心配もありません。お父さんは本当に何でも知っているんだなぁと驚くし、初めて聞く話にびっくりします。私もしっかりと勉強して、理屈を知った上で、野菜を育てていかなければいけないなぁと思います。
植え付けは終わりましたが、これからも追肥や土寄せなど、大切な手入れがあります。豊作になるように、これからもしっかりとジャガイモを見ていきたいです。
(のりこ)
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デュランティ畑での作業をしました。この“デュランティ”は有名なヴァイオリン「Stradivarius(ストラディバリウス)」の1つはDuranty(デュランティ)からきています。
その名の通り、梶谷池に面した景観もすばらしく、これだけのいい畑を使わないのはもったいない――、けれど地形の関係上、なかなかうまく弾きこなすのが難しいのです……。

将来、広大な果樹園になる予定のデュランティ畑ですが、どうして今日はここに来たのか。排水路の設置です。これは暗渠排水とも言うそうです。
デュランティ畑は、梶谷池という貯水池に面しています。そして、他三方の山、斜面から降りてきた水がちょうど集まってくる場所が、この畑です。そのため水持ちがよすぎる、水分たっぷりの土地。水はけが悪く、ぬかるみやすい。
そこで大規模な暗渠排水工事を行うようなのです。それ、業者さんに頼んだりするものなんじゃない!!?? って初めはすごく驚きました。でも、ユンボを操る須原さん。竹とりも自分たちで行けば、お手製竹割機だってグラウンドにはある。
そうだ、なのはなではどこまでも自分たちの手でやるんだ……。その工事の全貌を聞くと、ものすごく気になってしょうがない。私だって、やってみたい。
そういう凄い事を、大変そうなことも、自分の手でちゃんと経験したい。こんな事も出来ちゃう、と驕るわけじゃないけど、これはすごくいい経験になるだろう、と直感的に思いました。
私は大工系のお仕事も、畑でバリバリ動くのが得意な方でもないですが、前回、この作業で必要な竹をここに運搬した時から、とても興味のある工事でした。
出来る事なら、ぜひこの作業に最後まで携わらせていただきたい。密かにそう思っていたところでの、思わぬサプライズでした。
初めは摘蕾作業の予定だったのですが、急遽デュランティ畑に行くことになり、なにかなにかと思っていたら、軽トラに乗った須原さんとなつみちゃんの姿がありました。

まずはユンボで掘った溝の水流をなだらかに、スムーズに上流から水が流れるように、鋤簾で泥をすくいあげていきました。裸足に泥はひんやりとしていて気持ちよかったです。

次に、4分割した竹を溝に敷き詰めます。そして、つなぎ合わせて長くした有孔管を、竹の上、真ん中に置いていきます。さらにその上から、地表から30センチほど下まで厚く竹をしきつめていきました。


そしてユンボで土を戻して、ならし。という工程でした。グラウンドにある残りの竹を運ぶところまで進み、残りの半分の溝をさらうという段階を須原さんが進めてくださっています。
この有孔管は集水パイプといい、この網目に泥がつまらないようにするために周りを割竹で覆うのだそうです。知らないことだらけで、面白い豆知識、ニュースがたくさんあって、本当にずっと楽しい時間でした。
まだ工事は完了ではないですが、1段階目の工事は今日できりよく進みました。充実感がありすぎる、実りのある作業でした。はあ本当に良い作業でした。次も、頑張りたいです。
(そな)
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