【5月号⑩】「種まき・育苗班 豊作のために」みつき

 

 ここに、種まき・育苗チームが結成!! 

 ガラスの温室の中には、所狭しと並んだ野菜の苗。朝も夕方も、育苗チームは毎日、活動しています。

 四月になり、一週間に三回は種まきをして、春夏野菜の苗を育てています。種まきに入って、芽が出てくれたときの喜びは、本当に本当に大きいです。今年、スイートコーンは、二つの種類を育てることになりました。単子葉類なので、真っすぐに細長くニョキっと芽を出して伸びていきます。品種でも茎の色が違っていて、黄緑色ではなく赤色をしているのが面白いです。

 ナスとピーマンは、発芽して間もない頃は見分けがつきにくいくらい苗の姿がそっくりなのですが、大きくなるにつれて、ナスは葉が丸く、茎が紫色になっていきます。

 ズッキーニは、固い殻を破って出てきてくれたのが納得できるような、ものすごく力強い芽を出して伸びていきます。双葉も分厚くて大きくて、すぐにへこたれることがない、頼もしさがあります。このように、それぞれの野菜にキャラクターがあるように感じています。

 種をまいたポットやトレーは、温度管理をして見ていきます。ナスやピーマンは三十度程度で発芽するため、中庭に置いてある育苗ラックに並べています。一方、バジルは比較的涼しい二十度程度で発芽するため、日陰の玄関下へ移動させます。

 この、それぞれの野菜に合わせた管理に、難しさを感じることもあります。

 

 

■先を見据えて

 

 無事発芽した苗は、それまでのセルトレーの中だと窮屈なので、植え付けられるサイズにまで生長できるように、鉢上げをします。

 鉢上げをしていて、印象的な出来事がありました。ナスは、種まきしてから温度が低すぎたり、高すぎたりする日があり、温度管理をするのが難しくて、すべての種を発芽させることができませんでした。種が発芽するまでの一週間、まだかまだかとみんなで待っていましたが、ついに発芽しないままのものも多かったです。

 無事に発芽してくれた苗を、九号のポットへ鉢上げしていきました。苗をピンセットで取っていくと、もうそこで元気な苗と、あまり元気ではない苗の差があるのが分かりました。綺麗な苗は、双葉が太く、葉が少し上向きでピンとしています。

「今の段階であまり元気がないものは、惜しいけれど……」

 今、まさに種を外して双葉を開こうとしているもの、やっと首を持ち上げようと起き上がっているもの……。周りの苗よりも遅れをとっていても、なんとか種が生まれ、生きようとしている姿を見ていると、全ての種を救いたくなってしまいます。

 けれども、この時点で生育が遅れてしまっているもの、葉に異常が見られるものは、今後も、大きく元気に育っていくことはできないだろう……。切なくて残念な気持ちのなか、ある程度の厳しさを持って、苗を選んでいかなければいけません。

 丈夫で良い苗でこそ、畑に行っても元気で居てくれて、沢山の実を着けてくれるのだな、と感じて、改めて『種まき・育苗チーム』の責任を感じました。

 種から発芽する、そして苗として育ち、畑で受粉し着果、収穫できるようになるまでが、いかに奇跡に近いことなのか……。当たり前のことではないのだなと、ハッとします。種を発芽させること、苗を育てることは、難しいです。

 苗は素直です。自分たちがその種が一番好む環境にもっていくことができれば、真っすぐに芽を出してくれます。温度や日光、水分、少しでも行き届かないと、発芽が揃わなくなったり、芽は出ないです。このことが、深くて、もっと極めていきたい、と思えます。

 自分たちが責任を持って、この野菜の種に気持ちを添わせることが大切だと感じました。種をまいたその時から、ずっと気持ちを切らすことなく、毎日野菜の姿を見守り続けて、わたしも一緒に成長していきたいです。

 本当に良い苗を育てて、胸を張って畑に送り出すことができるように、種まき・育苗チームの一員として、毎日活動し続けます!