【2月号⑪】「版画教室のたのしみ」のりこ

 
  木版画教室が始まりました。なのはなに来てから初めての習い事です。

  初め、七人のメンバーが校長室に呼ばれ、何の話だろうと思って行くと、新しい版画教室のメンバーだと聞かされて、とても嬉しく思いました。

  版画教室の経験者四人と、新しい人が三人です。経験者がいる安心感と、新しくゼロからスタートする仲間がいて、とてもワクワクした気持ちになりました。私が版画をしたのは小学生のときで、それ以来、彫刻刀を持ったことはありません。

  でも小学生の図工の時間に版画をしたときの無心になれた記憶が甦り、懐かしくなりました。
  

   
  あの頃は学校はあまり楽しくなかったけれど、図工の時間は楽しかったなぁ、夢中になれたなぁと思い出しました。

  今回なのはなで、また版画ができるんだと思うと、あの頃のワクワクした気持ちが甦ってきて版画教室がとても待ち遠しくなりました。

  版画自体も楽しみですが、藤井先生とお話しできるのもとても楽しみです。

  藤井先生はどんな方なんだろう、まなかちゃんからはとても素敵な方だと聞いていたので、その先生に教えていただけることも、とても嬉しくて有難く思いました。

  まず、版画の題材を何にするかを決めなければなりません。今回の題材は「風景」と決まっていて、まず自分が題材にしたい風景を撮りに行くことになりました。

 ■版画にしたい風景

  私はしなこちゃんと一緒に古吉野なのはなの周りを、どこがいいかなぁと考えながら歩きました。歩いていると、柚子の木のあたりから見下ろす風景がいいなぁ、この一本道とその両側に広がる田畑の風景がいいなぁ、桃を剪定している風景がいいなぁ、川が流れている風景もいいなぁ、ネギが元気に育っている風景もいいなぁと、次から次に版画にしたい風景に出

会いました。

  しなこちゃんと風景を探しながら歩けた時間がとても幸せでした。とりあえずいいと思ったところは全て写真に撮って帰りました。

  撮ってきた写真を見ても、どれにするか決めるには、とても悩みましたが、古吉野にはこんなに素敵な場所がたくさんあるんだということに改めて気付き、今、ここにいられる幸せを感じました。

  一月二十三日、版画教室の第一回目が始まりました。教室のはじめには、藤井先生の版画に対する思いを聞かせていただいた時間が楽しかったです。

  そして自分が選んだ題材を見ていただくと、版画にするにはかなり難しい風景だということが分かりました。

  私は一本道の両側に田畑が広がる風景を選んだのですが、あまりに広い景色なので家も電線も人も木も、何もかも小さすぎて版画にするには無理があることが分かりました。

  田畑も空も、どこを白にしてどこを黒にするのか、とても難しく感じました。

■題材選び

  雲をどう表すのか、もやもやっとした木はどのように彫れば木と分かるか、初めから難問が次々に押し寄せてくるように感じました。もっと一つに絞った題材にすれば良かったのかなぁ、と少し心配になってきました。

  でも他の人たちも同じようなことを言われていて、版画は題材選びがとても難しいんだなぁと思いました。

  でも先生は、実際にあったものをなくしたり、なかったものを入れたりしてもいいことや、写真の風景全体でなく、一部だけを題材にしてもいいことなど、自由に工夫していいことを話して下さったので、少しホッとしました。

  藤井先生の作品が載った本をいくつか見せていただき、とても感動しました。

■貴重な時間を大切に

  風景や魚や花など、いろんな版画がありました。いろんな方の版画が載った本だったのですが、版画は人によってかなり個性がはっきり違って現れるんだなぁと感じました。
  

藤井先生より、今年も篆刻の年賀状を頂きました!

   
  風景を題材にする人、人の顔を題材にする人、抽象的なものを題材にする人、題材も違えば、彫り方も全く違います。二色刷りと多色刷りとでもまったく違います。

  いろいろな作品を見ていて、やっぱり藤井先生の作品が好きだなぁと思いました。

  週一回の版画教室がとても楽しみです。藤井先生は遠くからいらっしゃり、午後九時という遅くまで教えて下さいます。帰られるときは暗くなっています。

  毎週、ギターも版画も優しく教えて下さり、とても有難いです。

  その貴重な時間を大切にしたいです。お父さんが、「版画にも人生観が表れる」と仰っていたので、自分がどんな作品を作ることができるのか少し不安もありますが、やっぱり楽しみが大きいです。

  思いを込めて作りたいと思います。