第40回『チューリップ』
そのかたちは、舶来のワイングラス。
遠い、遠い、見知らぬ国で、
金色の髪をした娘達に愛でられ、
音楽の調べのような言葉を聞き、
優雅に咲き誇ってきた歴史が誇り。
ところが、ごめんよ。
花開いてみたら、こんな異国の庭の片隅で、
知っている人もなく、
言葉もわからない人ばかり。
悲しまないでおくれ。
そんなに黙りこくっていたら、
僕まで悲しくなってしまう。
〈撮影場所:なのはなファミリー花壇〉