写真:さとみ  文:たけひと

いまの季節に、なのはなファミリーとその周りで見ることのできる花たち。
それぞれの花の表情と物語を、写真と文章でお届けします。


 





第41回『花水木(ハナミズキ)』



この花は、本当はこの世のものではない
  そう思えて仕方がない
   その花は雄弁に幻想的な物語を
         いまだに語り続けている
      それは空から舞い降りてきた天女たち

一青窈が「ハナミズキ」で、
   君と好きな人が 
      百年続きますように と歌えば、
お母さんは、なのはなファミリーに
   そんな思いを込めて
        「ハナミズキ」を植樹した

ハナミズキは、別名アメリカヤマボウシ
  日本にも古来からある山法師はミズキ科ミズキ属で、
        万葉の古人もこのヤマボウシに天女を見た
 吉野川で鮎を穫る梁(やな)を仕掛けていた漁師が、
   梁にかかった柘(つみ・ヤマボウシのこと)の枝を持ち帰ったら
    美しい女性に変身したので妻にしたところ、
        不老不死の極楽世界を味わうことができた
         しかし、その女性は突然、天に登ってしまう

   この夕(ゆうべ) 柘(つみ)のさ枝の流れ来ば
          梁(やな)は打たずて取らずかもあらむ

 
 この夕暮れに、ヤマボウシの枝が流れてきたとしても、
   私は梁を仕掛けていないし、きっと取ることはないだろう
     たとえ美しい女性に変身したとしても、
        突然の別れが来るのは耐え難いだろうから

〈撮影場所:なのはなファミリー花壇〉



 
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