第14回『ボタンクサギ』
薮の中から赤いマッチ棒がたくさん頭を出し、
次から次へとピンク色に弾け、
ひと塊となった花は牡丹に似る……。
しかし、1つひとつの花は別のドラマを形づくり、
ニョッキとクビをもたげた4本の雄しべは、
キョロキョロと周囲を見回して、
自分が産まれた世界を確かめると、
隣の雄しべにささやきかけては頷き合う
臭い木でクサギ。とはいえ、葉は山菜、茶にもなり、
リューマチ、高血圧、下痢の薬であり、果ては痔の薬にもなる。
葉や枝に触りさえしなければ、
甘くフルーティな香りをその花に見つけることができるのだが。
花言葉は「運命」。
その名前と、本質との隔たりに、運命、を思う。
撮影場所:吉畑ハウス下畑