写真:さとみ  文:たけひと

いまの季節に、なのはなファミリーとその周りで見ることのできる花たち。
それぞれの花の表情と物語を、写真と文章でお届けします。


 





第11回『ジニア』



その昔、僕たちはとても仲のいい友達同士だった。
夏休みともなれば、
どちらからともなく誘い合わせては、
毎日のように、一緒に遊んだ。

そんなとき、
僕たちのすぐ傍らには、 
百日草が咲き揃い、
いつも僕たちと一緒にいた。

いつからだろうか。
僕たちは、男の子と、女の子という違いがあることに、
気が付いてしまい、
なぜか、一緒に遊ぶのが恥ずかしくなった。

それから僕たちは、別の道を歩き始め、
最初はすぐそばにいたように見えたけれど、
永い年月が過ぎてみると、
僕たちの距離は果てしなく遠くなっていた。

いま僕は、庭に咲いた百日草に目が止まると、
遠く離れた君の姿が、つい昨日のことのように鮮やかに甦る。
そして、その白い花びらの世界に、
その赤い花びらの世界に、
薄汚れてしまった心を、今でも洗ってもらうのだ。

もっと友達でいたかった。
ずっと友達でいたかったのに――。
ジニア、花言葉は「不在の友を思う」。
ジニア、僕は心の中では百日草としか呼ばない。

2019年8月26日 第11回

撮影場所:
なのはなファミリー駐車場花壇(白いジニア)
ユーノス畑(赤いジニア)



 
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