第6回『フレンチマリーゴールド』
きみがいつも笑っていたから。
きみはいつだって、僕のそばにいたから。
きみは、いつまでも笑ってくれていると思っていた。
きみはいつまでも、僕のそばにいてくれるものと思っていた。
いつだって、ちっとも気取らずにその場を盛り上げてくれて、
明るく、華やかに、僕たちを和ませてくれた。
そんなきみがいつもそばにいることを、当たり前に思い、
きみのことを、あまり気にとめることもなく、
これまで過ごしてきて、僕は、
いま、急に、気付いたんだ。
きみが、かけがえのない美しさを備えた娘だったことを。
きみがどんなに誠実な娘だったかを。
ごめん。
いまごろになって……。
これからも、ぼくのそばにいてくれないか。
いつまでも、ぼくのそばにいてくれないか。
きみが、ぼくにとってどんなに大切な存在なのか、
もう、ぼくは、忘れることはないよ。
フレンチマリーゴールド。