第47回「金盞花(キンセンカ)」
キンセンカの祖先はニンフ(水の精)、クリティだという。
来る日も来る日も、力強く燃え盛って、
万物を照らし続ける太陽神アポロンに、
クリティはいつしか恋をするようになった。
ところが、アポロンはレウコトエ王女と相思相愛だった。
アポロンを独り占めするレウコトエ王女に嫉妬したクリティは、
2人を引き裂くために、父の王様に密告してしまう。
怒った王様はあろうことか、
レウコトエを生き埋めにしてしまった。
それを知ったクリティは我に返ったが、もう遅かった。
空を行き過ぎるアポロンは1人になっても、
仰ぎ見るクリティには一瞥もくれることはない。
嫉妬した己の浅ましさを心から恥じたクリティ。
空を見続けて9日後、
クリティは金盞花へと姿を変えた。
花に姿を変えて久しい今なお、
狂おしいまでに燃え立つクリティ。
アポロンへの贖罪の気持ちからか、
それともアポロンへの止まぬ思慕からか。
〈撮影場所:吉畑ハウス下畑〉