写真:さとみ  文:たけひと

いまの季節に、なのはなファミリーとその周りで見ることのできる花たち。
それぞれの花の表情と物語を、写真と文章でお届けします。


 





第37回『木蓮(モクレン)』



この地球の上に開く花たちの中でも、
   最も古い時代から、
    きみはこの花を咲かせ続けてきたという。
 
1億年以上も昔、
 きみの先祖はティラノサウルスとトリケラトプスが、
   死闘を繰り広げるそばでこの花を咲かせ、
    あるいはステラノドンが滑空する下でこの花を咲かせてきた。
 
そして地球が氷で覆われた氷河期においても、
    寒さに耐え、太陽の光の乏しい中でも、
           子孫を営々と残し続けてきたのだ。

なぜか、近寄り難いものを感じてきた。
  神々しいまでの気品と、
    何ものも寄せ付けない佇まいに、
      僕はいまでも君を正視できないでいる。
 
いま、君はこの世界に何を思うのだろう。
  この憐れな僕たちを、
    この憐れなぼくたちを……。
      いや、いいんだ、何でもない。
        僕は口をつぐんで、
          ただ君の前にひれ伏そう。

〈撮影場所:なのはなファミリー花壇〉



 
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