6月8日(月)「かしゃこん、かしゃこん、田んぼに響かせてーー機械植え始まる」

6月8日のなのはな

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 播種から始まった稲作り。いよいよ育ててきた稲の苗たちが旅立つ日が来ました。
 それは、今日から、田植えが始まったから!
 そして私は、今回、お父さんとあゆちゃんチームの補助に入らせてもらいました。

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〇作物も理解することで

 ダンス練習を終えて光田んぼに行ってみると、そこにはすでに田植えが始まっているお父さんとあゆちゃんの姿がありました。
 いよいよ田植えが始まるんだ、そうようやく実感がわいてきました。
 あゆちゃんとお父さんと田植えをさせてもらうなかで、以前も田植えの補助に入らせてもらったのですが、イネに対してもだし、お父さんあゆちゃんに対しての感じ方とか距離とかも以前とは感じ方が、違いました。
 イネに対して、今までも播種とかどろんこ運動会とかもしたけれど、今思えば昨年の今ごろ、その場にはいるけれど頭がどこか別の場所へ飛んでいるような感じだったんだなと感じます。

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 イネが、どういう経過を得てここまできたとかそういうイネに対しての理解も深まっていたり、イネの苗の水やりをしたり、イネと関わる機会が多かったから、イネに対して大事な気持ち愛情があったのを感じました。やっぱり作物も理解する事が愛情につながることなんだと、感じました。
 それと、あゆちゃんとお父さんと今日、一緒にさせてもらい、仲間だな、家族だなと胸いっぱいに感じたなと思います(笑)

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〇たくさん教えてもらった事

 あゆちゃんが田んぼのことをたくさんたくさん教えてくれました。
「浅上、深植えがあって、へらが水面と平行じゃないといけない、だからもしへらが土を掘って進んでたらそれは深い」
「田植え機がいったなと思っても、打てていないところがないかをしっかり見る」
「イネの生育やコンディションによって植える深さを変える、紫黒米は長かったから深植えで良かったけれど、もち米は紫黒米に比べると短いから、紫黒米の時の深さ浅さの調整で行くと、もち米だと深すぎてしまう」
「田んぼに配られているイネの苗は1枚の田んぼに対しての適正な量だからなるべく植えきりたい」
「マーカーの所にまっすぐに立つ、あぜに惑わされない」
 書いていないだけで、もっともっとたくさんあゆちゃんから学んだ事があります。
 その1つひとつが本当に面白くて、新しく知ることがたくさんで新鮮な気持ちでいっぱいになりました。

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〇当事者として見てみると

 上記に書いたように、あゆちゃんから田植えをする際に気を付けることや気に掛けることを学び、やっぱり畑と違うんだなと感じました。
 そう田植えの際に、どこをどう見るか、次なにをするか、そういう事を学ぶと田植えの見方が応援する側、ただぼーっと立っている人からがらっと変わってくるなと感じました。
 まだまだですが、当事者としてやる側として、一緒にその場に居させてもらえたのが凄く嬉しかったです。

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〇新しい

 光田んぼ上下の田んぼにまっすぐ進んでいったり、とっても華麗に綺麗にターンしているお父さんの姿が、言葉ではうまく表せないけれどかっこよかったです。
 きっと、まっすぐに植えるってすっごく難しくて、雑味があったり別の事を考えていたら曲がったりするのかな、と思ったり神経を使うと思うのですが、真剣にまっすぐ進んでいっているお父さんが本当にすごくて、また1つお父さんの好きな姿が増えました(笑)

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 お父さんの田植えをしている姿や、あゆちゃんの補助をしている姿からすごく元気をもらい、また新しい楽しさ、新しい世界を1つ教えてもらった気がします(笑)

(かのん)

 

***

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 かしゃこん、かしゃこん。
 かしゃこん、かしゃこん。

 心地よい音を聞きながら思いました。
 ああ、私は田植え機の音が好きだな。田植えが好きだな。

 田植え(機械植え)が始まりました。
 私は、諏訪方面の田んぼのメンバーに入らせてもらっています。
 トラクターや田植え機を運転してくださる永禮さん、
 そして、なるちゃん、のんちゃん、卒業生のよしえちゃんが“チーム諏訪”です。
 機械植えの初日は、諏訪の7枚の田んぼのうち4枚を植える目標です。

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 朝4時40分。
 緊張と楽しみな気持ちで、目が覚めます。
 田植えに向けて、まずは早朝に苗運びがあります。
 といっても、苗運びは6時から。
 起床までまだ1時間以上もあるのに、なかなかそのあと眠れませんでした。

 うまくいくかな、水量の加減や、稲の苗の配分、機械が無事に動くかな……。
 心配なことを思い浮かべて、不安になる気持ちもわいてきます。
(いやいや、不安の先取りはよくない。いつもなるちゃんやよしえちゃんに頼ってばかりだが、今日はのんちゃんと二人でしっかりやるのだ!)
 弱気で不安を抱く自分に、カツを入れます。
 のんちゃんと2人で、稲のため、なのはなの大事な田んぼのため、そしてチーム諏訪の永禮さんが気持ちよく田植え機に乗れるよう、頑張ろう。
 あぁ、でも緊張するなあ。

 とまあこんなふうに、緊張とやる気と不安と楽しみがミックスされた気持ちで夜明けを迎えていたわけでした。

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 6時からの苗運びは滞りなく進みました。
 しっかりと根を張った稲の苗のトレーをべりべりっとはがして(このべりべりっ、が気持ちいい)、薬をまいてからラックに乗せ田んぼに運びます。
 まえちゃんが事前に反当たりの枚数からそれぞれの田んぼに必要なトレーの枚数を計算しておいてくれました。
 朝食前に、諏訪の最初の2枚(諏訪8と諏訪4)にトレーを運びました。
 そうそう、今回田植えをしていてとてもやりやすかったのは、この運んだトレーの置き場所が絶妙だったことです。
 田植え機の苗が減って、補充をするときにちょうどよい場所に苗トレーが置かれていました。
 まえちゃんが、田植え機が1往復する間隔でトレーを4枚ずつおいてくれていて、ほとんど苗を移動することなく、補充をすることができました。
 こういった段取りや準備一つで、作業の効率がまったく変わります。
 さすが、まえちゃんだなと思いました。

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〈卒業生ののぞみちゃんも夫婦で田植えの準備を手伝ってくれました!〉

 さて、朝食前の苗運びが終わり、のんちゃんと道具の準備をしました。
「じょれん、OK。レンチ、OK。CRC(オイルスプレー)、OK。ブルーシート、OK。ガソリン、OK。……」
 なるちゃんが書いてくれた準備物リストをみながら、ひとつひとつ、チェックしていきます。
 のんちゃんも私も、お互いに内心かなりどきどきしているのを感じていました。
 でも、のんちゃんとなら、なにか起きても一緒に考えてやれる、という安心感もありました。
 今日は2人とも税理士業は休業、田植えデイです!
 永禮さんと3人の作業に全力で集中しようと思いました。

 朝食が終わるころ、永禮さんのトラックの音が聞こえてきました。
「おはようございます! 今日はよろしくお願いします」
 中庭に出て永禮さんとあいさつを交わします。
 さっそく、永禮さんは倉庫に停めてある田植え機の方へと向かいます。
 一年ぶりの田植え機。永禮さんは慎重にエンジンをかけて、乗り出します。
 さあ、チーム諏訪の出発です。
 田植えの道具とお弁当を携えて、いざ諏訪田んぼへ。

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 まずは、諏訪8からのスタートです。
 田んぼの入口で、永禮さんの乗った田植え機に苗を乗せていきます。
 運転席の両サイドには、予備のトレーを載せる台が4つ。
 苗を乗せた田植え機の姿は、ふさふさの緑の苗を背負ったかわいくも頼もしい動物のようにも見えてきます。

「いってきます!」
 永禮さんが笑顔で手を振って出発します。

 かしゃこん、かしゃこん。
 機械は軽快な音で、稲を4条で植えていきます。
 かしゃこん、かしゃこん。

 のんちゃんと私は畦の両サイドに分かれて、稲の補充や轍の整地をしたり、稲が欠けることなく植えられているかなどを見ていきました。
 前夜から落としていた水の量はちょうどよく、順調でした。
 稲のトレーが半分の目安のところで、永禮さんに声をかけました。
 苗が余り過ぎたり足りないことがないように植える必要があります。
「あと1往復したらちょうど半分くらいかな、ちょうどいいと思います」
 永禮さんがこう言ってくださり、ほっとしました。

 1枚目の諏訪8は、1時間もかからず植えることができました。
 植え終わったら、深水にするために水を入れ、田植え機は次の田んぼへと向かいます。

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 チーム諏訪に暗雲が立ち込めたのは、2枚目の諏訪4を植え始めたときでした。
 永禮さんがマーカーで印をつけ、そして1往復目をしていたときのことです。
 一度止めて、再度エンジンをかけようとしたのですが、かからない。
 なんどやっても、かからない。
 なぜ。
 永禮さんが、エンジンのカバーを外して、原因を探ってくださいました。
 地域の石川さんもちょうど通りかかったところで、一緒にみてくださいました。
 私たちが持ってきた工具が合わなかったところ、石川さんがレンチを貸してくださいました。
 また、点火プラグを外して、そこが問題ではないか、となったら、自分の田植え機からプラグを外して使ったらいいとも言ってくださいました。
 田んぼ作業も、こうして本当に地域の方にたくさん助けていただいてこそ、できていることだなと日々感じます。

 私たちチーム諏訪の田植え機の運命はどうなるのか。
 どうにもこうにも、動く気配のない田植え機を囲んで、永禮さん、のんちゃん、私の3人は、しばし沈黙。
 このまま、私たちは、目標の4枚を植えられず、1枚で終わってしまうのか。

 でも、田んぼの神様は、私たちに微笑みました。
 機械は、故障していませんでした。
 エンジンがかからなかったのは、操作方法の問題でした。
 あろうことか私は見落としてしまっていたのでした。ブレーキペダルの安全ロックがかかっていなくて、エンジンがかからなかったのでした。
 そこを解決すると、ブルルルルンッ! とエンジンは力強くかかりました。

 本当に、本当に、その音を聞いたときには安堵しました。
 永禮さんがいろいろと試して、確認をして、諦めることなく解決してくださったおかげです。
 のんちゃんも私も、田植えをがんばるぞ、とあらためて気合を入れました。

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 それからロスした時間を巻き返して、午後1時過ぎには、3枚目の田んぼに進むことができました。
 ここで、昼食の時間です。
 チーム諏訪がいつもお弁当を食べている場所があります。
 諏訪の上中下という3枚の田んぼの入り口のスペースにある、小屋の前。
 今日も、3人で座ってコメントを回しながらお弁当をいただきました。
 永禮さんは、諏訪の田植えで起きたとあるアクシデントの話や、諏訪の稲刈りの話などたくさんしてくださいました。
 そして、今日はレアなチーム税理士の2人と田植えができて嬉しい、と。
 私も、のんちゃんと同じ日のお休みをとって、はじめての永禮さん、のんちゃん、なおのトリオで田んぼの作業をできたスペシャルな時間となりました。
 早朝にあった不安は、私の背後へと去っていき、着々と苗が植わっていく充実感に変わっていました。
トラブルもあったし、ちゃんと見られているかな、深さは大丈夫だっただろうか、という緊張感はずっとありました。
 それでも、田んぼにいると心地よく、満たされた感覚になります。

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 午後の初めに植えたのは、諏訪の上田んぼ。
「ここは、一番緊張する田んぼです」
 永禮さんが、まるで秘密を打ち明けるように、こう話されました。
 その理由は、諏訪田んぼの中で一番人目につく、道路に面した田んぼだから、ということです。
 たくさんの人に見られるから、『なのはなの田んぼ』として恥ずかしくないように、まっすぐに植えたいんです、と永禮さんは言ってくださいました。
 もちろん、他の田んぼもまっすぐに植えるために神経は使っているけれど、その中でもここは一番なんです、と。
永禮さんのその気持ちがほんとに嬉しかったです。

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 田んぼの畦に立っていると、永禮さんの運転する田植え機がまっすぐにこちらへ向かってきます。
 永禮さんの表情は真剣です。
 お父さんも話してくださいましたが、泥の中の小石ひとつで、田植えは傾いてラインが曲がってしまうそうです。
 永禮さんは、ちょっとした泥のでこぼこを感じながらハンドルを操り、まっすぐになるようにと運転をされていました。

 畦に到着しトレーを交換すると、永禮さんと私は笑顔で「いってきます!」「いってらっしゃい!」と声を交わします。
そして、永禮さんの背中を見送り、私は鋤簾をもって轍を整えます。

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 かしゃこん、かしゃこん。
 かしゃこん、かしゃこん。
 向こうの畦ののんちゃんが、永禮さんと何か言葉を交わしている様子が見えます。
 そして、永禮さがターンをしてこちらへまっすぐに向かってきます。
 かしゃこん、かしゃこん。
 かしゃこん、かしゃこん。
 こちらの畦で、トレーを交換。
 ターンをする永禮さん。
 かしゃこん、かしゃこん。
 かしゃこん、かしゃこん。

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 その繰り返しの中で、私は「田植えが好きだな」としみじみと感じました。
 一定のリズムで刻む、かしゃこん、かしゃこん、の音が、穏やかな気持ちや、満たされた気持ちにしてくれます。
 私にとって、田植え機で稲が植えられていくあの機械音は、特別な音のようにも思いました。
 かしゃこん、かしゃこん。
 なぜか、理由ははっきりとはわからないです。
 朝から夕方まで田植えをしていたこの日、私は自分の中にあった、解決したいけれど保留になっているあれやこれや(いわゆる雑念というものか、心のモヤモヤでしょうか)が心の中に見当たらず、ただただ目の前の田植えという作業を一身にできたなと思います。
 かしゃこん、かしゃこん、という音の中で。

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 そんな一日が、嬉しかったです。
 諏訪初日は、目標通り4枚の田植えができました。
 この日植えた苗たちが、しっかりと活着していくといいなと思います。

(なお)