11月3日のなのはな
ついに! やっと! ちの、ゆめの、じゅりの手相が見ることができる。
私は、手相見妖怪です。この日を待ちに待っていました。

先週から本格的に演劇練習がはじまっています。
8日に行なう、前半の通しに向けて、まずは前半を形にすることを目標に進めています。
ウィンターコンサートへ向けた音楽合宿第9弾、最終日の今日は、午前からたっぷり演劇練習の時間をとることができました。
この日は、今年の主人公3人組を演じる、あやちゃん、そなちゃん、ゆうなちゃんと、前半のはじめから演技を細かくつめていきました。
実は、練習のはじめは、出はけの練習に向けてざっくりと、立ち位置や出はけを確認する予定でいました。
しかし、実際に練習をはじめてみると……。なかなか進まない。
まず女の子3人と手相見妖怪が初めて出会うシーンの練習をしたのですが、あっという間に時間が過ぎていきました。
「この、じゅりのセリフについて、どう思っている?」
「わたし、ここでこんなポーズしたいんだけど、どうかな?」
止まる止まる、練習が止まる。
セリフの一言一言について、私(手相見妖怪)はどう感じているのか。
ちのは? ゆめのは? じゅりは?
そんな風に数行のセリフを深掘りしていると、気づくと30分、40分がたっています。

もっともっと、細かく詰めていきたいと思いましたが、これでは午前にやる必要がある練習が終わらないと思いました。
泣く泣く、演技のつめは横において、必要な出はけの方向やタイミングに絞って午前の練習は進めていきました。
出はけも、簡単ではありません。
セリフが終わり、曲にバトンタッチするとき、どんな間ではけるか。
曲が終わり次のシーンに入るとき、役者がどんな表情で、どんな速さで出てくるか。
セリフと同じくらい、もしかしたら、セリフ以上に多くを語るのが『間』だと思います。
どんなに良いセリフを言っても、役者がはける間が悪かったら、そのセリフは死んでしまいます。
ここしかない、というタイミングをとらえるには、シーンへの理解とみんなが向ける意識をひとつにすることが必要です。
出はけについても、この日はまだ第一段階です。
上手下手、どちらから出てどちらにはけるのかを確認していきました。
その確認をしながら、役者の出はけも、1シーン1シーン、質を高くしていきたいとあらためて思いました。

夜もまた、女の子3人と練習をしました。
1シーンの1部分。
ゆめのちゃんとセリフを聞いているときの動きのアイディアを出しました。
「いいね! 絶対それやりたい! 明日あやちゃんと相談しなくちゃ」
ゆめのちゃん役のゆうなちゃんが嬉しそうにそう言ってくれました。
さあ、その動きがうまくいくか。私も、1アクションにわくわくしました。

脚本を読んで自分の中で描いていた景色や動きをどう舞台上に実現するのか。
イメージしていたことをやってみたらイマイチだった、といことはしょっちゅうだし、練習をしながらみんなとぽんと別のアイディアが浮かぶこともある。反対になにも浮かばずに煮詰まってしまうこともある。
難しいけれど面白い、面白いけど難しい。
みんなで作ったシーンが、うまくいっても、解釈を間違ってしまって修正が出ても、私にとってはすべてが演劇の楽しさです。その時間が役としても自分自身にとっても血肉になるなと感じています。

コンサートに向けて、演劇のひとつの目標があります。
主人公の女の子一人ひとり、妖怪の一人ひとりにファンがつくような演劇を作っていくことです。舞台で演じる誰かが輝いて、お客さんを魅了するということは、なのはなファミリー全体が輝いて魅了するということです。
魅力的な登場人物ができあがれば、私たちの伝えたいことがしっかり伝わります。
そのためには、演じる個人が自分の役を深めていくことは、もちろん大事で基本です。
でも、役者が一人だけでその役を演じるわけではありません。
みんなで、ちのちゃんを立たせたい、ゆめのちゃんを魅力的に見せたい、じゅりちゃんのセリフを聞いてほしい、そう願って気持ちを向けることで、その役が輝くのだと思います。
今年のモチーフである妖怪も、とびきり魅力的にしたいです。
人知を超えた存在で、私たちの常識や価値観の枠の外にいる妖怪。
つかみどころのなくて、非現実的で、妖しくて、とんでもない奴だ! でも心惹かれずにはいられない、そんな妖怪たちを作り上げたいです。

自分で書いていて、なかなかこれは難易度が高いぞ、と思っています。
大きなことを言ってしまったか? でも願えば叶う。求めれば叶う。
ユーモア溢れるシーンも、悲しいシーンも、真剣なシーンも、希望あるシーンも、脚本のすべてのページを余すことなく味わい尽くして、本気で遊び、本気で深めていきたいです。
(なお)
***
気持ちを一つに向かうウィンターコンサート……コンサートまで残り48日。来週には第1回目の前半の通しを行ないます。一瞬、一瞬を確実に積み上げていく! その気持ちで今日も音楽合宿へ向かいました。
ウィンターコンサートの脚本を正しく、そして深く理解するために、午後のはじめに脚本の読み込みの時間をもらいました。あゆちゃんが用意してくれたステップアップシートに、各シーンごとでの主人公たちの気持ちや、何を言いたい場面なのか、書き留めていきます。 一人ひとりが真剣に脚本に向かっていく空気感の中にいるだけで、背筋が正されます。脚本に込められた想いを。自分で感じ、考え、正しく理解しようとする、その時間が本当に大切な時間だと思いました。

読み深めていく中で、私たちが何のためにウィンターコンサートをするのか。その本質が真っ直ぐに見えて来るように感じました。
主人公たちが感じている気持ち、今の世の中にどのような生きにくさを感じ、どう感じてきたか。そして、今、優しい世の中に変えられるような生き方がしたい。人間らしい希望を持って生きられる世界に変えるために、そのために出来ることがしたい。そう思う気持ち。まさに、私たちの気持ちそのものです。
お客さんに伝えたいこと、今の時代に言われるべきこと。私たちがどのように生き辛さを乗り越えて、希望を持って生きていくのか。それらがぎゅっと脚本の中に込められています。
ウィンターコンサートでそれをお客さんに伝えるためには、私たちが脚本を深く理解して、気持ちを一つに同じ方向を向いてステージ作り上げていく。そのことがとっても大切です。

これまで、このシーンはこういう話、という大きなまとまりでしか分かっていなかったのですが、脚本を読み込んでいく中で、各シーンの、そしてその中の役者さん一人ひとりのセリフと気持ちを一緒に追って、何が伝えたいのかを考えていくと、そうだったのか、と気がつく場面がたくさんありました。

そして前半の脚本を読み込みをしたところで、次はあゆちゃんに見てもらいながら、前半の出はけの確認をしました。
劇のはけから曲の出、曲のはけから劇の出。劇をする人も、ダンスをする人も、コーラスをする人も、物の出し入れをする人も、幕で控えている人も、それぞれ役割が違っても、気持ちはいつだってステージの上にあって、みんなで気持ちをステージに向けています。


コーラスで出るときも、次のシーンをイメージしてその曲の表情をつくること。曲が終わったら、どんな曲であっても、お客さんに目線を合わせて笑顔を向けてはけること。気持ちや表情、タイミングや流れを、あゆちゃんに教えてもらって、見てもらって、そしてみんなが考えて、少しずつ形になっていくことを感じました。
中には劇に使う小道具を運ぶためにヘルプが必要だったり、初めてコンサートに出る子もいたりします。そんな中で、みんなで助けあっていく、伝え合っていく、そんな空気にも、温かい気持ちになりました。
また、脚本の読み込みが浅いと、次のシーンや曲を理解出来ていないので、曖昧でとんちんかんな表情や気持ちで出てしまうことになります。そしてそれ以前に、今どこにいるべきなのか。次はどういう動きなのか。全体がどう動くのか。それも理解出来ないため、気持ちに大きな迷いや雑味が生まれてしまいます。脚本を読み込むことの大切さを、こうして出はけをすることで、より身をもって感じました。
今日の読み込みの時間、そして前半のではけの確認の時間、またみんなと新たに一歩を踏み出したような、そんな気持ちになりました。

最後にあゆちゃんが話してくれました。
「普段だらっとした気持ちでなぁなぁに過ごしていたら、コンサートで非日常の気持ちになる! となっても、なれないよ。普段からコンサートの気持ちで、自分を持って、『相手に対して自分は何者か』それを演じ続けるんだよ。そうしたらもっと生きやすくなるし、コンサートでも直ぐに非日常の気持ち、表情が出来るようになる」
と。普段の生活から、ウィンターコンサートに繋がっています。そのことを胸に日々の生活も過ごしていきたいです。
そして、脚本を読み込み深く理解して、本物にしていきます!
(ももか)



