10月30日
●自分が教える側に
1日演劇練習をさせていただいて、頭に情報が詰まっていてポーっとしています。お父さんから何度も教えていただいたり、修正していただくことばかりで、正直、「チーン……」という気持ちだったのですが、
こんな自分が何言ってるんだ! きっとお父さんの方が「チーン」だろうなあ、とふと感じました。
長い時間、ずっとわたしたちの動きを見ていてくださって、本当にありがたかったです。お父さんを「おっ」と思わせるくらい面白く見ていただけて、さらに上のレベルへ進むことができるような演劇を、これからみんなと作っていきます。
お父さんに教えていただくばかりじゃなくて、次は自分が教える側にならなくてはいけない、と感じました。今日の自分は責任感が欠けていました。自分はこの役者じゃないから、と、思い切り演じること、自分がその役になって、作りこむことで非難されるのを怖がって、動きやセリフを抑えてしまいました。そんな自分は弱くて情けなかったと感じました。
誰を良いなとか、すごいとか思うのではない。みんなの年頃では「自分だって、もっとやれば、あのくらいはできるはずだ」。そんな気持ちで、向上していこうとするはずだよ。
お父さんがそう話してくださいました。そのくらい強い気持ちや上を目指す気持ち、とがった気持ちで取り組みたいです。わたしはお父さんになります。
自分の気持ちの欠落に問題を感じることもあるけれど、ひとつ嬉しかったことがありました。
夕方、作業終わりに歩いているうたなちゃんに声をかけたときのことです。うたなちゃんの日記を読ませてもらって、そう思ってもらえることもあるのだな、と感じました。
わたしはあのとき、こんな自分に何ができるんだ、と感じていました。わたしは言葉も心も足りていない、その子の力になることはできない。寂しそうな顔をしたうたなちゃんに、ちょっと声をかけただけで、ああ、これくらいのことしか言えない、してあげられなかったな、と自分の無力さを感じていました。
でも、うたなちゃんはこんな自分から何かを受け取ってくれた。
自分に何ができるのか、自分の役割というものがまだ今のわたしにははっきり見えているとは、正直思えないです。でも、自分が今できることをただ全力でやり、精一杯でやります。今は見えなくても、霧が晴れるように、絶対にはっきりと見えてくるときが来ることを信じます。
