「わたしたちもお米と同じ」 みつき

9月22日
 
 ●力が集まって
 
 午後、お父さんお母さんとみんなと一緒に、石生3反田んぼで過ごせた時間が嬉しかったです。嬉しくって嬉しくって、お母さんも話されていたのですが、わたしも少し気分が高まりすぎています!
 日記に書きたいと思って、急いでお風呂から上がってきました。
 
 
 稲起こしを初めてさせてもらったのですが、稲が倒れてしまうことが、こんなにも深刻なことなのだと知りませんでした。
 稲があちこちへ倒れてしまって、その下敷きになってしまった稲は茶色くなってしまっていて、籾から芽が出ていました。茶色くなった稲はぐずぐずしていて、さらに田んぼの土も柔らかくぬかるんでいて……コンバインのモンローちゃんも、それを操縦するお父さんも、補助のさくらちゃんたちも、大変だったろうな、と感じました。
 稲起こしをやり始めて、ひとりでやっていると、自分がどの2条の列を起こしているか、分からなくなってしまうことがありました。けれど、みんなで並んで列に入ったら、すごくやりやすかったです。自分の足は必ず両隣の人の片足と同じ列に入っていることが分かれば、あとは2条の稲を起こしていくだけで、迷うこともなくなりました。
 それが分かってから、かのんちゃんやそなちゃん、うたなちゃんたちと横に並んで、稲起こしをしていきました。途中でぬかるみがひどい地点に来て、ここは手刈りが必要だというときには、みんなで立ち止まって、乗り越えていきました。
 稲を持つのや刈るのを補助したり、刈った稲をバケツリレーで運んだりしながら、助けあって進んでいきました。
 誰が飛び出て先へ進むこともなく、お互いが順調かどうか気にかけながら、進んでいきました。後ろを見ると、2条ずつ綺麗に分けられた稲の列。楽しくて、みんなとなら、このままどこまでも進んでいけるな、と思えました。
 
 途中から、お父さんの運転するモンローちゃんが、すごい勢いで進んでいくのが見えました。順調に刈り進めてくださっているのが分かって、本当に嬉しかったです。
 ああ、良かった、と心の底から感じました。
 自分は機械を操縦できるわけでも、修理できるわけでもない。大きな力は持ち合わせていない。
 でも、少しでもお父さんたちの力になれたらいいな。
 そう願ってみんなと稲起こしをしていました。ここに居るみんなが、きっと同じように、「少しでも力になれたら」と思っていて、順調に動くモンローちゃんの姿を見て、手を叩いて喜び合えたとき、幸せな気持ちでいっぱいでした。
 
 お米が頂けるまでにどれだけの手がかかっているのか。
 お米の1粒1粒がどれだけ大切なものなのか。
 この小さな1粒のお米が集まって、あんなに美味しいご飯をお腹いっぱい頂くことができています。
 わたしたちもお米と同じだと感じました。
 ひとりひとりが在ること、自分が在ることに誇りを持って、生きたいです。
 それぞれが小さな力であったとしても、集まったら、こんなに大きな力へと変わる。わたしが今まで感じていた、「自分なんか」「どうせ自分なんて」という気持ちは、本当に持つべきものではなかった。この身体を与えてくださった者に対して失礼な考えでした。
 
 今日みんなと過ごしていて、わたしはこの身体があることが誇らしく、嬉しくて、
 わたしは、自分が持つ力を出し惜しみしないで、この自分の身体を全て使い尽くして、生きたい。
 そうでなければ、やっぱり生きていくことはできない、と改めて思いました。
 
 嘘のようにさっぱりと刈られた田んぼに立って、残り僅かの稲を刈っているお父さんを見守っているとき、ちょうど夕日が沈んでいくのも見えました。
 そのとき、わたしはこれから先、今のこの瞬間をずっと忘れることはないだろうな、と思いました。
 
 
 
 古吉野なのはなに帰ってくると、東京へ行っていたあゆちゃんたちが帰ってきてくれたようで、声が聞こえてきました。
「会いたい!! 行こう!」と、かのんちゃんと走って声のする方へ行くと、まえちゃんとあゆちゃんたちが居室から出てくるところでした。
「おかえりなさい!!」と言うと、あゆちゃんが、「ただいま! ありがとう! 帰ってこられて、本当にほっとしたよ~!」と、大きく抱きしめてくれました。
 たけちゃんを抱っこしていたまえちゃんも加わって、みんなでぎゅっと固まって抱きしめ合っているとき、少し涙ぐんでしまいました。
 作業をしていても、「この撮影した写真、あゆちゃんたちも見ていてくれるかな」と思ったり、
 コーラスを歌っていても、「ああ、早く帰って来たあゆちゃんたちに話したい、聞いてもらいたいな」と思ったり……。ずっと心の中に、東京に行っているあゆちゃん、まえちゃん、さやねちゃんの存在がありました。
 話したいことも共有したいことも沢山あって、こうやって会える日を楽しみにしながら過ごしてこられたことも、無事に帰ってきてくれて、また会うことができたことも、本当に嬉しかったです。
 わたしはなのはなのみんな、ここに居てくれる仲間のことが本当に大好きです。