9月9日
ずっとずっと憧れていた、機械刈り……。今日は稲刈りの初日! なんと稲刈りの補助に入らせてもらいました!
前日に稲刈りに行かせてもらえると知ったときから、うれしくてしかたありませんでした。
雨が少ない夏。水取り合戦。田んぼを干したい時期に雨が続いた。スズメが稲を食してしまう。いろいろなトラブルがあって、田んぼを管理してくれているチームがピンチを切り抜けて稲刈りまで漕ぎつけました。
お仕事組さんも、仕事前に田んぼの見回りをしてくれたという話も聞いて、いろんな人の努力がつまった田んぼ。その稲刈第一回に入って、一言、「楽しすぎる!!」
あゆちゃんとどれみちゃんと、そなちゃんと一緒に作業でした。朝食のとき作業発表があったあと、そなちゃんと顔を見合わせて「最高すぎる!」と笑顔になりました。そなちゃんとは、本当にうれしいポイントが一致していて、なぜかおそろいの帽子を被って(笑)、あゆちゃんの待つ光田んぼ下へ。
田んぼに着いたら、あゆちゃんが笑顔で「ありがとう~!と迎えてくれました。「稲に紛れている雑草を刈る」「稲刈り機が入れるように四つ角を手刈りする」「稲刈り機の袋を変える」補助の役割を教えてくれました。
ノンストップで作業が淡々と流れていくことの面白さを体験してほしい、と輝いた表情であゆちゃんが語ってくれて、あゆちゃんの田んぼへの愛が伝わってきました。そのとき、「この稲刈り機は盛男じいちゃんのもので、私もり2歳年上なんだ」ということも聞きました。のちにこの稲刈り機がドラマを起こすことになります。
どれみちゃんも来てくれて、さっそく稲刈りスタート。なのはなでは、もち米と紫黒米は籾摺り小屋で脱穀するので、「袋刈り」になります。そなちゃんが、袋をチェンジして藁がつまらないように点検する役割、私が雑草を刈って取り除いていく役割になりました。雑草がたくさんあると機械を詰まらせてしまうので、重大な任務でした。実際に稲刈り機が動き出したとき、これくらいのスピードならなんとかなるかも、と見くびってしまっていました。
しかしよく見てみると、いたいた、イネ科やマメ科の雑草たち。後ろからくる稲刈り機と追いかけっこしているみたいに、無我夢中で逃げるように刈っていきました。でも、この「自分が止まったら作業に支障が出る!」という使命感に似たものが、ゲームのようで、すごく楽しかったです。
12時の鐘が鳴ったときは、時間のたつのが早すぎてびっくりしました。
すごいと思ったのが、あゆちゃんの指示の出し方です。私が少し作業に慣れてくると、「吐き出された藁を邪魔にならないところへどかしてほしい」と。それもできてくると「粟と稗は燃やしたいので別にしておいてほしい」など。
一気にたくさんの指示をされたら混乱してしまったと思うけど、段階的に教えていただけるとすごくやりやすくて、どんどんできることが増えていくうれしさも感じられました。やっぱりあゆちゃんが考えることは一つ上だなあと感じました。
稲刈り機を運転するあゆちゃんも、かっこよかったです。機械のことも運転のことも何も知らない私だから、何が難しいのかさえ分からないけど、不安定な田んぼの中で、立ちながら前かがみになって、炎天下の中操縦するすがたは本当に勇ましかったです。こんな強い女性にあこがれる、と思いました。
……と、ここで稲刈り機の様子がおかしくなりました。雑草が詰まった? オイル不足? あゆちゃんやどれみちゃんがいろいろな手を施してくれましたが、稲刈り機は再始動せず、ヤンマーさんに来ていただくことになりました。
工具でいろいろな箇所を開閉し、何が原因か調べてくださいました。ベルトが劣化している。ゴミが吐き出されず詰まっている。問題を様々解消していく中で、ヤンマーさんが「僕、この稲刈り機見たことがあるよ」と。盛男じいちゃんをご存じでした。
なのはなファミリーが、盛男じいちゃんのおかげで存在していることも知ってくださっていて、稲刈り機からつながっていくのが温かいと感じました。しかしそんなほっこりしたエピソードの中、「ゴミの通り道に穴が空いている」という衝撃の事実が発覚。「残念だけど、動いてもまた止まると思うよ。久しぶりに盛男さんの名前が聞けてよかった」と伝えてくださいました。うれしい話と悲しい事実が重なってしまいました。
あゆちゃんは、楽観的だから直ると思ってしまうけどな、と言っていましたが、やっぱりつらかったと思います。まなかちゃんが「あゆちゃんの大事な稲刈り機…」と涙しているのを見て、本当に大事な、思い出のつまったものなのだ、と思いました。年季が入っているけど、かつては盛男じいちゃんが操縦してあゆちゃんが補助をしていたという稲刈り機。「ものをやすやすと捨てたり手放したりしない人は情緒がしっかりある人」というお父さんの言葉を思い出しました。
ヤンマーさんにはそう言われてしまったけど、残りあと5分の2くらい。雨もパラついてきたけど関係ない、やるしかない! 強行突破で、再開しました。何度か、重そうな音を立てて止まってしまいました。でも、そなちゃんが粘り強く詰まりを点検してくれて、どれみちゃんと一緒に雑草をこまめに刈って、あゆちゃんが懸命に操縦して、ついに最後の往復に。稲が倒れて、少し地面が湿っていて刈りづらいコンディションだったのに、頑張ったね。もうすぐゴールだよ。
みんなに迎えられて、拍手喝さいでフィニッシュ!きれいさっぱりな田んぼと、もち米でいっぱいになった40近くの米袋。約5時間刈り続けて、光田んぼ下の一枚が終了しました!!
本当にすがすがしく、田んぼも自分の体もすっきりした感じがあって、達成感が尋常ではありませんでした。最後の方は、まだ刈られていない稲が少なくなっていくことに虚しさ、寂しさすら感じてしまうほどに、くせになる作業だったな、と思います。
4人で田んぼを眺めながらお弁当を食べられたこと、田んぼがどんどん刈られていって、稲の面積がきれいに減っていく光景、最後まで力を振り絞って頑張ってくれた盛男じいちゃんの稲刈り機、すべてのシーンが私にとって忘れられない瞬間になりました。なのはなでの生活は、新鮮な出会いばかりですが、今日は特に、日常に一筋の光が差したかのような、世界が広がったような感情がわきました。
今までは知ろうとも関わろうともしなかった稲刈りの世界。あゆちゃんみたいに稲刈りに思い入れがあって大好きな人と一緒だったから、多くの人がかかわって丹精こめて育て上げた田んぼだったから、とても貴重で大切な体験になりました。
あゆちゃんが「稲刈りの面白さを知ってもらいたい」と始めに言ってくれましたが、十分面白さを味わうことができました。ほかの人にもこの面白さを味わってもらいたいという思いもありますが、胸の内は、ぜひもう一回、いや、何回でもやりたい!なんて思ってしまっていました。大好きな作業になりました。
昨日の夜はダメもとで、まなかちゃんに「『Bohemian Rhapsody』の練習をしたいので、編集で忙しいと思うのですがとなりで歌うのでおかしかったら指摘してもらえませんか?」とかのんちゃんと一緒にお願いしに行きました。やさしいまなかちゃんはもちろんいいよ!と笑顔で答えてくれました。
編集しながらだから申し訳ないな、と思いながら横で歌っていると、細かく「そこはもう少し上の音!」「もっと流ちょうな発音だといいよ」とたくさんアドバイスをくれました。忙しいだろうに、練習に快く付き合ってくれるまなかちゃんの気持ちが本当にうれしかったです。
