「なのはな縁日
―― 誰かに喜んで欲しい、という願い」
ほのか

なのはな縁日2025 感想文

 ちょっとやりすぎなくらい、全部本気になってやること。
 それが、なのはな流。
 遊ぶときは本気になって、とことん遊びつくし、お店を開店したら、本気で盛り立てる。
 大人も子どもも老若男女問わず、本気になって全員が楽しめる、たくさんの笑顔が溢れる、そんな桃源郷みたいな場所、縁日の森の中は、やはり唯一無二だと感じます。

 誰かを楽しませるためだったら、どんな手段も厭わず、本気になって頭を悩ませて、時間を掛けて、良いものを作りたい! 本当に、誰かに喜んで欲しい、という願いは、子どもの頃からもっていたように思うのですが、今までは誰も一緒にやってくれる人がいなくて、誰かを喜ばせたい計画も、誰かを喜ばせたい願いだけで打ち切られてしまって、ずっと、空虚な、虚しい思いを抱えてきたように思います。

 今はみんなと一緒に、その願いを叶えることができます。
 そんな、なのはな流のやり方でみんなと、誰かを楽しませるために全力で動けることが、何より嬉しいと感じます。

 一人ひとりの心の中に、その願いが灯されて、一人ひとりの表情が輝いているように見えました。

 

 

 それぞれの屋台は、それぞれ全くテイストの違う持ち味で、道を歩くと、それぞれ違った世界観に飲み込まれました。
 
 ヨーヨーつりは、高さのある風船のオブジェや、カラフルな電飾、テーマの海を彷彿させる、シャボン玉のような透明な風船などを使って、奥行きがあり、ポップな、テーマパークの一角のような空間でした。
 
 輪投げ、通称「おめだまワールド」は、ぱっと見ただけで店員さんのテンションの高さが伝わってきました。目玉おやじの気味悪さよりも愛らしさが勝っていて、ヨーヨーつりとはまた違うポップさを感じました。

 私は、今回、射的のチームに入らせてもらいました。
 桃のピークと重なることも多く、準備にはあまり入ることができずに、最後のほう途中から参加させてもらう形になりました。
 その頃にはもう、ほぼ完成形になっていて、さとみちゃんが全体像や設定、作り足したい飾りなどを、教えてくれました。

 

 

「私たちは、怪しげな巫女。しかし正体は、縁日を盛り上げたいお稲荷さん(稲作の神)が化けたもので、みんなの姿を見て楽しんでいる」
 という設定で、「前向きなところにしか答えはない」「幸せのその日暮らし」、などのなのはな語録の言葉を漢字の古い文体に準えた書、お札の飾りなどで、妖力に充ち満ちた怪しげな世界感を表現しました。

 現地では、さとみちゃんの原案通りに、飾りの設置をしました。大きな木の幹に紙垂をくくり、的を並べる台に紫の不織布を張り、狙う台には紅白幕を張り、紅と白のスズランテープで作った和風の飾り、妖力が溢れださんと耐えている銃とそのレプリカたち。などなど、この日のために制作してきたたくさんの飾りで、空間を彩っていきました。
 さとみちゃんのアイデアで、お花が入っていたというカゴを再利用した提灯を作り、並べました。カゴの素材と森の中の雰囲気がマッチしていて、全ての飾りに統一感がありました。次々に様々な飾りを付け加えていっても、どんどんよくなるばかりで、準備がすごく楽しかったです。

 

 

 かなり余裕がある準備時間と思っていたけれど、時間があっという間に過ぎてしまいました。

 そして、辺りは暗がりに飲み込まれ、ついに、肝試しのお時間がやって参りました。

 運命を共にする相手は、幸運なことに、ゆいちゃんでした!
 帰ってきてくれたゆいちゃんは長かった髪の毛がショートカットになっていて、爽やかな笑顔を向けてくれました。

 ゆいちゃんも私も怖いのが苦手ではなかったので、すごく心強いな、と思っていた矢先。
 リビングでお父さんの「ほんとうにあった怖い話」を聞いた後、リビングでみんなと談笑していたときです。
 目の前が真っ暗になり、光という光が視界から消えました。
 これも演出のひとつか……? と疑ってしまうほど、タイミングがバッチリのブレーカー落ち。
 おしごと組さんやスタッフさんも真剣な顔で対処していて、どうやらこれは演出ではなさそうだと気がつきました。

 

 

 19時36分。私たちの組の、肝試しスタート時間になりました。
 山小屋のリビングを出るとすぐに、顔色の悪い女性がこちらを真っ直ぐ見ている視線に気がつきました。
 こんなに蒸し暑い8月の夜なのに、その女性の四方だけは涼しげな空気が漂っていました。
 細く儚げな声で案内を聞いた後、呼び鈴の音で私たちはスタート地点に誘われました。
 
 思ったより道が暗く、足下の悪さに動揺しながら道を進んでいきました。
 1番のお札を探そうと思うのに、その1番のお墓参りの場所がなかなか見つからない!!
 慎重に、疑い深く、身体より口の方がよく回る私は、滅茶苦茶に喋り散らしながら、恐怖を誤魔化しました。最初に見つけた「何か」に、お札があると思いました。ゆいちゃんと動揺しながら喋りまくっていると、「ここにはお札はありません……」とお化けさんのか細い声で教えてくれました。
 道案内に感謝して、ずんずんと道を進んでいきました。思ったより坂道、急斜面が険しい!
 その後もとにかく喋り散らしながら、なんとか5枚のお札を死守して、生還しました!
 ゆいちゃんと今までにないくらい確と手を握り合い、汗だくの身体をくっつけ合いながら、生きて帰ってくることができて、嬉しかったです。
 叫んだ後、頭がぼーっとしていて食べた金太郎飴は、脳内に甘く染みて、癒されました。

 幻の前夜祭から一夜明け、ついに今日が縁日当日。
 朝もがばっと起きて、早朝作業へ。今年は、夏祭り作東やきたわけ納涼祭、海、そして縁日、あらゆるイベントのときに桃の収量が落ち着いていて、助かった……と思いました。
 朝に収穫から嫁入りまで全て終わらせることができ、安心して山小屋に到着しました。

 

 

 蒸すような暑さは山の中へ入ると一気に和らぎ、マイナスイオンが身体の中をすうっと通り抜けていきました。
 みんなでお昼ご飯を食べ、着付けの時間まで準備をしました。
 ふと時計を見ると、あっという間に15時15分! あと5分で、「オオカド美容室」の予約時間になっていました。
 急いでリビングに駆け込むと、着付け第一陣のみんなが浴衣を着ていました。
 色とりどりの華やかな浴衣が一面に広がる光景は、見ただけで気持ちが華やいで、これから始まる縁日がより一層楽しみに感じられました。
 
 あゆちゃんがたくさんのみんなのヘアセットをしていて、どの髪型も、オンリーワンの、それぞれ違う髪型に仕上げていました。
 浴衣と帯の色、その人に一番似合う髪型を、あゆちゃんが考えてくれました。優しい手つきで髪の毛を結んだり、とめたり、ひとつひとつ丁寧に、三つ編みを綺麗に編んでくれて、最後はピンク色のお花飾りをつけてくれました。
 
 リビングに戻ったとき、できあがった髪型を見て、みんなが口々に可愛い、とか、すごく似合ってる、と褒めてくれて嬉しかったです。
 
 私の浴衣は、クリーム色ベースの、ピンクや紅のお花柄の入った浴衣で、お父さんとお母さんが選んでくださいました。
 身支度が整うと、その頃にはもう開会式がすぐ迫っていました。
 食べ物屋台の人たちが調理を始めて、盆踊りの音楽が流れ始め、人手も賑わってきました。
 外へ出ると、全員がそれぞれの浴衣を着ていて、その楽しそうな、嬉しそうなみんなの表情でいっぱいでした。
 続々とゲストの方も到着されて、藤井先生も来てくださったことがすごく嬉しかったです。

 くじでひいたお面は、カモシカのような、野生動物の顔のようなお面でした。
 ゆりちゃんたちが配ってくれたちっちゃいアイスがすごくおいしくて、火照った身体を冷やしてくれました。

 

 

 さあ、どこから回ろうか。
 どこも楽しそう、おいしそうで、順序を選べないくらい、どのお店も心惹かれました。
 最初に手に取ったのは、永禮さんのかき氷でした。
 いつもシロップの味を悩んでしまうのですが、今回は直感で檸檬!
 直感は大当たりで、檸檬味が最高においしかったです。
 ちあきちゃんは初めての挑戦であるマンゴーを選択していました。
 かき氷は本当に何杯でも食べられるくらいおいしくて、暑い日は尚おいしく感じました。
 
 かき氷だけ食べて遊びに行こうと話していたけれど、横から香る、からあげの香ばしい香りと、それにかぶりつくみんなの幸せな表情を見て、からあげをもらいに行かずにはいられませんでした。
 弾力のあるボリューミーな鶏肉が、噛むほどうまみがあふれ出すサクサクの衣を身に纏い、揚げたて・熱々のそれは、幸せそのもの!! 今まで食べてきた唐揚げは何だったんだ??
 今まで生きてきた21年間で、ダントツおいしい、最高の唐揚げと出会いました。
 幸せは味として、食べ物として出て来るのなら、こんな形になるんだなと思いました。
 
 1時間ごとにお店番を交代して、1時間ごとにお店を回りました。
 
 私は陰ながら、夜遊びクイーンの座を目指そうと志していたのですが、ヨーヨーと輪投げが壊滅的で、夜遊びクイーンの座は一気に断たれました。チーン。
 
 ヨーヨーはこよりが開始1秒で切れて0点。金魚も逃げられて2点。輪投げは練習しておけばよかった!!! 6点。
 だけど射的と吹き矢だけは好きで、吹き矢は満点の55点。
 バランスを欠いていますが、的を狙う系は向いているのだろうか。と思います。
 
 他のお店に遊びに行った際、みんなの接客の仕方を見て、とても勉強になりました。
 ヨーヨーつりを通りすぎるときは、美人のお姉さん(あけみちゃん)が笑顔で、
「いらっしゃいませ~いかがですか~?」
 と積極的に営業していて、思わず立ち寄ってしまいました。

 

 

 輪投げは、店員さんのテンションの高さが良い。私たちが行ったときは、店員さんはそなちゃん1人だけでしたが、滅茶苦茶可愛い。私の輪投げがどんなにへたくそでも、笑顔で盛り上げてくれました。
「ナイスおめだま~!」
 と言われたときはものすごく嬉しくなって、調子に乗り、また外し、最後までなかなか入らなかったのですが、それでもテンションの高い店員さんの接客で、悲しい気持ちにならずに済みました。
 こんな風に、日常から逸脱した、底抜けの明るさとか、エンターテイメント系のテンションを作ればいいのか、と思いました。
 
 その後のお店番は、自分のテンションのギアを上げ目にしてみました。
 得点を記入する係だったのに、喋りすぎたかもしれません。
 ですが、射的は真剣な空気で、静かに進行することが多いので、ちょっとオーバーリアクションで、実況中継のような盛り上げ方ができたかなと思い、それでみんなが楽しんでくれていたらいいなと思います。
 巫女の役になりきって、点数が取れたときは「お見事!」と言う言葉を使ったり、ひとつひとつ細かい部分まで世界感を統一することができたかなと思います。

 

 

 りゅうさんのまぜそば、なっちゃんの桃スムージー、あゆみちゃんの鈴カステラ、台所さんのフライドポテト……この世の贅沢を一気に味わい尽くしたようでした。

 楽しんで、楽しさを提供して、誰かを喜ばせるために、誰かの笑顔が見たくて、自分も笑顔になって。その、笑顔の連鎖がみんなにも、自分の中にもあるような気がして、笑顔に包まれた一夜が、幸せでした。

 盆踊りを踊るとき、みんなで輪になって踊りました。
 はじめは小さかった輪が、どんどん仲間が増えて、りゅうさんや、おーちゃんまで、国籍を超えて、たくさんの人が輪に入って、最後は大人数で踊りました。
 その様子は、なのはなの輪がさらに広く、どこまでも広がっていくように思える、希望を感じる光景でした。
 踊りが分からない曲でも、知っている人の動きを真似して、自然にみんなで踊れるようになって。みんなでひとつになって、盆踊りを踊った、縁日の締めの時間が嬉しかったです。

 

 

 お祭りではなくても、日常でも、誰かを喜ばせるための、おもてなしの心を持つこと。どんな自分でいるのが、まわりにとっても、自分自身にとっても良いことなのか。そう自分に問いただすこと。気持ちと力をうまくコントロールして、みんなを笑顔にできるように、自分自身も自然と笑顔であれるように。与えられた環境の中で、いつも前向きなほうを探して、力が小さくても、少しでもみんなに貢献できるように、前を向き続けて、これからも過ごしていきたいです。