「協力する姿勢の美しさ」 ほのか

7月2日 

 集合でお父さんのお話を聞く機会があって、心が充電されました。

 同じ一日を過ごしていても、お父さんお母さんのお話を聞くのと、聞かないのでは、自分の中の気持ちが全く違います。人は少し何かがあっただけで天国にも昇る気持ちになったり、地獄に突き落とされたり、それをいったりきたりするとお父さんが今日仰っていたことが、自分も本当にその通りだと思いました。

 今日は朝5時40分ぴったりに目が覚めました。最近夢見に左右されなくなりました。昨日は史上最悪の悪夢を見たけれど、全く気にしないで一日を過ごせました。

 朝5時58分頃グラウンドに行くと、すでにふみちゃんとさやねちゃんが車の前で待っていました。

 今日は3人ではなよめと、日川白鳳の収穫に行きました。今日ではなよめは四本中二本が全収穫され、残りは17アール奥桃合わせて十数玉くらいです。今日はなよめを見ると、いつもは「待つ」「待つ」「採る」「待つ」「採る」くらいのかけ声だったのが、今日は「採る」「採る」「採る」という感じでした。袋の中は時間が経って、「これぞ、完熟」という熟れ具合になっていました。黄色みを帯びたクリーム色と、そこに刺す紅色が私たちを待ちわびていたようでした。

 その後はからは、どきどきの日川白鳳の初収穫へ。今にも張り裂けそうなぱんぱんの果実袋にそっと手を伸ばして、実を傷つけないよう慎重に開きました。日が当たりやすい場所から見ていくと、その中は黄金色をベースに、眩しいくらいの鮮やかな赤が黄色を追いかけるように全体に広がっていました。見た瞬間そのオーラが飛び込んできて、採ったものは大玉でずしっとした重みがありました。種割れから熟れていくので、今日採れた日川の大半は種割れでしたが、その大きさに驚きました。いつもは2Lサイズのものだったのに、それは4Lサイズでした。

 コンテナいっぱいに収穫されたはなよめはころんと、日川はずしっとした佇まいでした。

 慎重に選果ハウスまで運び、いよいよ糖度の測定へ。

 糖度測定のやり方をさやねちゃんに教えてもらいました。

 教えてもらった後は、さやねちゃんが実演してくれました。片面ずつの糖度の平均値を四捨五入するのですが、ほぼ全て暗算で行っていて、1玉あたり1秒くらいで計算していてその速さに衝撃を受けました。まるで同じ人間と思えない、AIか何かの人工知能が入っているんじゃないかと思うくらい正確で、早かったです。次は私も交代してやってみるとのことで、私はこんな風にできない…どうしようと思いました。

 そして私が計算をする番になりました。

 これはもう、できる人を演じるしかない!と決意して、できるだけさやねちゃんを待たせないように、時間内にスピーディーに正確に終えられるように、全力を尽くそうと思いました。

 緊張しすぎて早とちりしてしまったりしたのですが、私も1玉1秒くらいで計算することができました。左右で差があるものは紙に書いて筆算したり、さやねちゃんに助けてもらいながら行いました。でもまだまだだなと思いました。

 後で話を聞くと、りなちゃんはもっともっと早いのだそうです。何年修行したらそのレベルまでいけるのだろうか…。尊敬と驚きを隠せませんでした。私ももっともっと数をこなしていきたいと思いました。
 ふみちゃんは、桃の選別をしてくれていました。日川の選別をするのは今日で初めてで、基準をりなちゃんに電話で確認していました。
 桃メンバーを見ていると、みんな自分だけで判断するのではなくて、誰かに相談したり、確かめたり、一緒にやる、ということが多いなと思います。

 メンバーひとりひとりが長年の経験や知識、技術を十分持っていると思うのですが、それを驕ることが全く無くて、謙虚に自分を低くみんなと協力する姿勢が素晴らしいなと思います。さくらちゃんもいつもお父さんやみんなに考えていることや、明日やりたいこと、明後日以降やりたいことを1人でではなくて、みんなで考えて決めています。利己心ではなくて、利他心でみんなやっているから、甘くておいしい桃ができるんだなと思いました。

 夕方からは、26アールの草刈りに出ました。

 外周にちょろっと生えているニラを、もし生えていたら採ってきても良いかまことちゃんに聞きたいなと思っていたら、たまたま子ども玄関にまことちゃんがいてくれて、スイカスムージーをあゆみちゃんと手渡してくれました。ニラも、「いいよ」と言ってくれて、そのときのまことちゃんの笑顔がかっこよくて、優しくて、いつか一緒にお化け屋敷「はっぴーはうす」で出口の案内人をやっていたまことちゃんを思い出しました。

よし、みんなでニラをいただけるなら、どんな風にできるかな?スープかな?ふみちゃんはニラ玉が食べたいと言っていたな。できるだけ新鮮な状態にしたいから、作業が終わる頃に採ろう!と思い、ワクワクで手刈りをしました。こんなにうきうきで草刈りをしたのは初めてでした。今まで畑があまり好きでは無かったけれど、手刈りの草刈りがこんなに楽しめるようになったとは。畑のお掃除をしているようでどんどん綺麗になるのが嬉しいし、カマの切れ味が最高で、刀を扱う武士みたいな気持ちになれて、本当に楽しいです。26アールに1人だけれど、1時間30分で外周を終わらせたい!と燃えたし、ニラも採れたらいいな。とうきうきしていました。

 私は草刈り機を使えないし、エンジン噴霧器も、種まきもできなくて、それがちょっと心配なのですが、いつかみんなと畑作業したときには「なんか変わったね」と思われるくらい成長したいです。きっと私は大多数の人に動けない人と思われていると思います。というか今までそうだったので。そう思われるのはもう嫌です!できない人からできる人に進化したいです。

 ですが人からの評価を求めることは間違っているのかなと思い、私はできる人を演じます。

 手刈りを開始して15分後。今日も雷と雨に邪魔されてしまいました…。遠くからふみちゃんの呼ぶ声が聞こえて、ブルーシート敷きに入りました。(ニラが採れなかったのが残念です…。)

 空の雲は昨日より黒くなくて雨の臭いもしないし、雷がおどかしているだけですぐにやむだろう、と思いつつ、でも敷く指示なので敷こうと思いました。

 桃の作業をしていると、イレギュラーに冷静に対応して、腰軽く動く力持ちになれそうだといつも思います。

さやねちゃんと池上をしきはじめたとき、「やっぱりはぐります」の指示が出ました。雨はやんでいて、雷だけが鳴っていました。

 自分の野生のカンの良さにちょっと驚きました。昨日は水やりをする前に黒い雲を見て、雨が降りそうなことをさくらちゃんと話していると本当に降りました。

 天気予報はころころ変わるから、これからもこんな天気は続くだろうし、自分も臨機応変に動いていきたいなと思います。

 夜は、今日は朝食当番片付けのヘルプに入り、まちちゃんとまことちゃんと作業しました。洗い物や掃除がたくさん残っていて、私はまだ不慣れなところもあるのですが、まちちゃんがその都度聞いてと言ってくれて、物を片付ける場所、デッキブラシでこするルートなど、毎回親切に教えてくれました。新人だから、下積みをする!と言って、まことちゃんとまちちゃんの指示に快活に返事をして動き回りました。台所の掃除とか、暗黙のルールとか、なのはなにいて時間が経たないとわからないことって、たくさんあるよな…と独り言を言っていたら、まちちゃんもまことちゃんもすごく共感してくれました。

 久しぶりに台所の掃除ができて楽しかったし、二人と作業できて嬉しかったです。

 お父さんが今日教えてくださったこと。良くも悪くも状況はみんな同じだから、自分のやるべきことをひとつずつ分解して、100%の力でおもしろく効率良く終わらせていく。それをやり続けているうちに、ご褒美が絶対に来る。その言葉を聞いて、より一層作業に精が出ました。明日もできることをがんばりたいです。