
6月12日のなのはな
僕は、いいとこ下畑のズッキーニ。
なのはなファミリーでは、みんなが野菜のお母さんとなって、僕たち野菜を育ててくれているんだ。
僕のお母さんは、えつこちゃん、みつきちゃん、かのんちゃん、なつみちゃんの4人。
マミリーという名前の一家で、僕もその一員。
僕がまだ本葉3枚の、まだ定植されたばかりのころから僕を見守ってくれている。
ポットから畑へ引っ越したとき、引っ越し先には僕が吸収できるご飯がなくて、何とか水で生き延びていたところへ、マミリーのみんなが、なのはなのお父さんやまえちゃんに相談をしてくれて、僕にたっぷりの牛肥を畝肩に施して、2日に1回、3000リットルの水をくれた。
僕はどんどん大きくなっていき、しかし同時に、僕をむしゃむしゃと食べる、ウリハムシもやってきた。
お母さんたちは、パシッ! と手を叩いて退治をしたり、「ハアッ!」と気合を入れて退治していて、その時は、何事かとびっくりして震えたけれど、毎日、7時5分に僕たちの畑に通って、必死に、あの手この手を使って僕たちを虫から守ってくれて、今はもう、虫なんかまったく怖くないくらい、僕たちは元気いっぱいになったんだ!
かのんちゃんとなつみちゃんは綺麗好きで、舐めるように僕たちの畝の上の草を、とって、水やりの時の泥はねを神経質に気にしていた。
「草は根っこから抜いてほしい」
「泥はねが病気の元になるから、こうやってズッキーニに泥がはねないようにやってほしい」
なつみちゃんは、かのんちゃんにも厳しかった。
かのんちゃんは、「そうしたらいいのか、分かりました! ありがとう」と言って、本当に丁寧に水やりをしてくれていた。僕は、大事にされているのを感じた。
毎日、会いに来てくれて、畑が綺麗になるようにいつも気にかけてくれていて、黄色い大きな花を咲かせて、赤ちゃんの実が出来ているのを見つけたお母さんたちは、「わぁぁぁ!」と言って、喜びと感動でいっぱいになっていた。
お母さんたちの笑顔を見て、僕も嬉しくなったなあ。
そして今日、僕はお母さんたちとその仲間のみんなに、大収穫をしてもらった。
全部で、約110キロ。
深緑のツヤツヤとした大きなズッキーニを見つけるたびに、みんなが、「見てー! 立派だよ!」「こっちも大きいのがある!」と口々に見せ合っていて、それがとても誇らしかった。
一本一本が立派で、持ってきた収穫かごの数が足りなくて、困るくらいだった。
「幸せの重みだね」と言いながら、みんなは重たそうに、でもとっても嬉しそうにかごを運んでいた。
小さな3歳の女の子も来てくれて「キュウリに似てるねえ」と言っていた。
僕は、ズッキーニだよ。
「ズッキーニ、好き?」とみんなが聞くと、「うん、おいしいねえ」と言ってくれていた。
かわいい女の子だった。
僕が立派な株になるまで、お母さんたちは本当に出来ることを一生懸命やって、手入れをしてくれていて、僕はこうやって、たくさんの立派な実を成らすことが出来て、とても嬉しい。
僕の人生の目標は、「目指せ! 1株から35本とれるズッキーニ!」。
それが達成できるように、マミリーのお母さんたちに助けてもらって、僕も精一杯成長していきたいと思っているんだ。
(なつみ)
***
「♪来る日も 来る日も 桃畑
草刈り 防除に袋掛け」……。
なのはなファミリーオリジナル曲、『桃の唄』の一節です。
今、桃の樹は春の摘雷、摘果を経て、実が日に日に大きく肥大しています。一番収穫が早い早生品種の「はなよめ」は収穫予定日まで2週間をきりました。
桃の実が熟すまで、袋をかけて病気から守ります。病原菌は主に雨水から侵入するため、袋の口をきっちりと隙間無く閉めておく必要があります。
桃の実の表裏を確認し、変形や虫の被害が無い、綺麗な形の実を選びます。
理想型は、縫合線を境に4:6くらいの比率でふくらんでいる楕円形のもので、しわや日焼けが無いものがベストです。縫合線がくっきりつきすぎていたり、横にはっているピンポン球のような丸い形は種割れや、胚が2つ存在する「双胚果」で、変形と見なされます。
また、全ての実に袋をかけてしまうと実の間隔が近すぎて競合し、実が大きくならず、糖度が乗らないため、およそ手のひら2個分くらいの間隔をあける必要があります。
樹の上のほうの日当たりの良い部分は120パーセントくらい強気に掛けて、下のほうの内側の部分は80パーセントくらいの割合でぱらっと掛けます。桃は積算温度で糖度が乗るそうで、日当たりの良い部分は甘い桃ができるそうです。
このように、様々な前提を頭に入れつつ、眼の前の樹、枝についている実を見ながら臨機応変に考えていきます。
今日は、後回しにしていた石生桃畑の「浅間白桃」「なつごころ」と、新桃畑の「紅清水」を終えることができ、生理落下が無い早生~中生の品種の袋掛けを今日で全て終えることができました。
今日から、晩生品種のひとつである「白皇」の袋掛けに入りました。
開墾26a畑にある白皇は、縦にも横にも大きく広がった大きな樹で、桃メンバー7人でとりついてもかなりの時間を要しました。
白皇に掛ける袋は少し特殊で、内側が黒、外が灰色の遮光に特化した二重袋になっています。
手触りがなめらかで、しっとりしているのも、他の袋とは違う特徴だなと感じました。
桃の木にかけられた灰色の袋が、地面に置かれている雨よけのブルーシートの青色を反射して、灰色がかった青色に見えました。それはまるで洞窟の中の宝石のようで、とても幻想的でした。
今はまだ他の品種より実が小さいのですが、白皇は収穫が8月頃でまだ時間があるため、これから時間をかけて大きくなっていくのかなと思いました。
これから袋を掛けたい清水白桃や白麗などの晩生品種もあります。今日で一区切りと思っても、まだまだ先があるなと思います。袋掛けは晴れの日にしかできないため、この梅雨の時期は足止めをくらいがちなのですが、今日は晴れてきて袋掛けを一日行なうことができて嬉しかったです。
頭と心をたくさん使う桃の作業はとても緊張するのですが、充実していて、毎日時間が過ぎるのがあっという間に感じます。良い桃が実るよう、明日もできることをがんばりたいです。
(ほのか)
***
しばらくは雨が続くから畑作業が進められない……。すべきことは日を追うごとに出てくるのに畑に出られない……。
そう思うと少し不安だったのですが、今日は、なんと1日、雨が降らずもってくれています。
お天道様ありがとうございます。おかげさまで、なのはなの皆は歓喜乱舞。畑作業を進めることが出来ました。
我ら、元“ソマル”チームの担当であるキャベツ第2弾の2回目の追肥を行ないました。
チーム作業の時間で、バディであるすにたちゃん・ゆうなちゃんも初めから手入れに来てくれました。
初めにネットを開けて、三角ホーで草取り、草回収。畝方へ筋状に追肥、三角ホーで中耕、土寄せ、ネット掛け。
強い日差しが差し込む中、とまではいきませんが、陽の光を浴びながら保育園前畑の長い畝を、1人1畝ずつ入って草取りをしていると、初めのたった10分ほどで、もう汗だくになりました。
よし追肥をして、ささっと肥料をやって、サトイモの草取りまで行くぞ! と思っていたのですが……。
「しまった! これじゃ牛肥が足りない!」
作業初めに忙しいなか、ひろこちゃんに軽トラを出してもらって牛肥13袋を運んでもらったのですが、半畝ぶんだけ肥料が足らず、追加で5袋運んでもらうことに。
大体これぐらいだろう、不必要には出さないでいいだろう。私はそんな甘い考えばかりで、その甘さで今日は皆に負担をかけることに。
なのはなに居ると、よく、多めに持っていこうとか、大きいものを使おうとか、そういうことが多いです。大は小を兼ねる。それがいかに大事なことか思い知ることになりました。
はあ…やっぱりだめだな……とことんだめだ。迷惑ばかりかけてしまう。古吉野なのはなに戻り、ひろこちゃんに声をかけ、帰りついでに、お茶の入ったジャグを皆に持っていこう!
私の頭の中での優先すべきことが、牛肥からジャグに入れ替わって、スコップはあるのに、次は肥料袋を忘れる始末。
畑に戻ってお茶を渡して、畑にあった肥料袋を拾って、崖崩れ下ハウス前の牛肥を積んで、ようやく問題解決。
草刈りを終えた、るりこちゃんも駆けつけてくれていて、私が戻ると、もうネットもかけ始めていて、皆の素早さに圧倒されました。
目標だった16時ぴったりにネット掛けまで終えました。
残り時間は1時間。サトイモの畑では草取りを進めました。
草は必ず根から抜くように、尚且つスピード感をもって。その、すにちゃんの熱に応えるように、3畝ほど草取りを進めることが出来ました。
本当は、時間も半々でいくべきでした。それでも2人は時間を過ぎても畑を出ないで、最後の最後までキャベツの作業に入ってくれて、私たちの作業を優先してくれました。寛大な心で、大きな利他心でいてくれる2人が本当にすごいです。
(ただ、すごいで終わらせちゃいけない。自分もそうであろうと思います)
次のチーム作業の日は何があっても、必ず、すにたちゃん達の作業ファーストでいこうねと約束しました。
絶対にそれは破ってはいけない、そう思います。互いに助け合う。協力し合う。お互い様の関係でいなくてはならないです。
今日に限らず本当に、いつも、いつもチーム作業でたくさん助けられていて、申し訳ない……もう本当に感謝しきれないほどです。
おかげ様で、2弾のキャベツの最後の手入れも終わりました。皆の熱意と愛情と牛肥とで、きっと大きくなってくれることと思います。
今、1弾のキャベツは、とても立派です。(永禮さん、先日は一緒に追肥の作業が出来て嬉しかったです、おかげさまで立派に成長しています)
そして、なんとなんと、明日から収穫野菜の仲間入りをします。
立派なキャベツがこれからたくさん獲れるのかなと思うと、すごく嬉しいです。
りゅうさんお手製の回鍋肉、まえちゃんが好きなコールスロー、まちちゃんの好きな卵とじ。
大きく育ったキャベツ達が、なのはなの皆に幸せをもたらしてくれそうです。
(そな)
