6月10日
今日は、午前、親知らずを抜き、帰って来てからは桃花の組み立てに合流しました。
午後は、フラダンス衣装の考案でした。お母さんに最終チェックをして頂いて、新しい売り理の衣装を考案することが出来ました。
制作物もありますが、詳しく書いてしまうと、ネタバレが多くなってしまうため、今日は親知らずの体験記を、徒然書かせて頂きます。
親知らずの摘出全3回戦あるなかで、今日は記念すべき第1回戦目です。
前日まで、余裕に思って過ごしていたのに、いざ当日になると、急に緊張と怖さが襲ってきました。
手術の進め方のプリントを見ると、“切開”だの、“メス”だの、“痛みのダイレクトアタック”、“抜糸”、、、、。痛そうな単語しか目に入らず、心構えのつもりで読んだはずが、もはや内容が頭に入ってこなくなり、ナースさんからのお呼び出しがかかりました。
部屋に入って、早速本番の台に乗りました。
消毒を念入りに行うこと、5,6分。台に横になり、これでもかというほど口を開けて、麻酔を歯茎の隙間、ほっぺた裏、舌の側面など、あらゆるところにチクチクして、また消毒うがいをしました。
麻酔が効いてくるまでの数分、ナースさんが緊張を和らげようと、沢山話しかけてくれました。
ナースさん「変な感じしますか?」
私「口の中が、虚無感です。」
ナースさん「的確ですね。ふにゃふにゃしちゃうよね。」
私「日本語って、難しいんですね。」
ナースさん「みたいですね。」
緊張度マックスに達していて、もう自分でもこんな応答しか出来なかったのが、今更恥ずかしかったです。
場を繋げない、たどたどしい会話を終えて、いよいよその時がやって来ました。
顔にガーゼを被せてくれましたが、透け透けで、もののシルエットがはっきり見えました。口が閉まらないように、固定して、担当の竜門Dr.から「痛かったら、左手を挙げてください。」の一言で、オペがスタートしました。
ごっくんすると喉が動いて、手元がぶれやすいため、ナースさんが常に水を吸い上げているようでした。
怖いけど、好奇心が勝って、ずっと目を開けていました。
ただ、ひたすら腹筋と、足の指に力を入れていて、両手をずっとぎゅっと握りしめていました。
竜門Dr.の「ウイーンと大きな音が出ますよ。」という一言で、歯を削っているのが分かりました。
「今度は違うウイーン行きますね。」と、ちょっと高温のウイーン音が鳴っていたときは、何だか焦げ臭くて、口の中が今どうなっているのかは、想像しないようにしようと思いました。
その後は、「強い衝撃があります、痛いかも知れないけれど、耐えてくださいね。最後だから、大丈夫ですよ、あとちょっとです。」と、言い終わると同時に、骨が折れたような“ゴギッ”という大きな音がしました。
生きてるのか死んでいるのか分からないような、重松清の流星ワゴンの主人公の気持ちが少し分かる気がしました。
「終わりです。」と、顔のガーゼを取ると、前掛けについた血しぶきに、やっぱり流星ワゴンのジャケットを思い出しました。
午前は、麻酔がよく効いていて、口が閉まらず仏蘭西人が喋る日本語みたいな発音しか出来ませんでした。
今は、常に口を少し開けて、口で呼吸しないと上の歯が、腫れた術後の歯茎に刺さって痛いうえ、ゴックンが半端なく痛いです。笑
また、お味噌汁がまさに傷口に塩状態でした。
「どうして人間は光合成できないんだろう。」と切実に思った今日でした。