
5月16日のなのはな
種籾の播種が一段落。けれど桃の実は日に日に大きくなり、畑に植えたい野菜、まきたい種、刈りたい草は後を絶ちません。夜からは雨が降る予報があり、それに備えて、みんなで協力して農作業をしました。田畑や作物に自分を映しながら気持ちを作る、今日も大切な1日です。
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2種類のトウモロコシの定植をしました。1つ目のスイートコーンは、4月23日に種まきしたものです。2つ目はご厚意で種を頂いた「味来」という品種で、4月28日に種まきしたものです。
トウモロコシの種は、食べる時の一粒一粒がしわくちゃになったような形をしていて、とんがったほうを下にして植えるとと発芽率がいいそうです。そのようにまいたおかげか、95パーセントほどは発芽して、ピンと元気な苗に育っていました。今日は、その苗を1つずつセルトレーからピンセットで取り出し、畑に植えていきました。
前者のスイートコーンは3回に分けて種まきしており、既に第1弾、第2弾が、ゆず畑に植わっています。大きいものは草丈40センチ以上に育っています。今日植える苗は、7~8センチでした。
野菜の種をまいたり、苗を定植するときは、たいていの野菜は畝を立てるのですが、トウモロコシは畝を立てずに植えていきました。畝立てをしない分、作業はあっという間に終わってしまいました。植わった最初は、株の周りの土が平らな状態で何となく頼りなげに感じるのですが、追肥をするときに土寄せをするので、その時に畝が立った状態になります。
今までの定植と同じで、幅140センチの範囲を後の畝幅と定め、そのなかに2条植え、条間20センチ、株間は30センチで植えていきました。
続いて、「味来」は崖崩れ畑に植えました。「味来」は第2弾の定植です。今日は90株ほどを植えました。そして第1弾に定植した「味来」に鶏糞を追肥し、土寄せをしました。 トウモロコシは4月19日から今日まで何回かに分けて植えてきて、今日が最後の植え付けでした。全部合わせると1200株ほどを植えたことになります。一度に全部植えるのではなく、時期をずらして植えることで、長い期間トウモロコシを楽しめるのが嬉しいです。
去年、なのはなのトウモロコシを初めて食べた時は、甘くて味が濃くて、何!? トウモロコシってこんな味だったの!? と衝撃を受けました。今年もそんな甘くて感動するトウモロコシに育てたいです。今年もトウモロコシの季節が来るんだなぁと思ったら、ワクワク嬉しい気持ちになりました。
(のりこ)

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午後に、私は、初めての種まきをしました!
最初、午後の作業発表で、種まきに自分の名前が呼ばれたとき、
(多分、言い間違いだろうな。それか、もし行ったとしても、皆が種をまいた上に籾殻をまくとか、不織布を出す人だろうな~)
と思い、畑に向かっていました。種まきは、その野菜のスタートを決める作業なので、自分は、まだ担当にはならないと思っていました。
ですが、畑に着くと、さくらちゃんが種まきの説明をしてくれて、なんとなんと種まきができるという事でした!
すっごく、すっごく嬉しくて、まさか自分が種をまくときが来るなんて思っていなかったので、びっくりな気持ちでいっぱいでした。
今日、種をまくのは、小松菜の第3弾でした。
初めて小松菜の種を見たのですが、ものすごく小さく、びっくりしました。こんな小さい種から、大きな立派な小松菜になるのかと思うと、本当に凄いなと感動し、心がぎゅっとなったなと思います。この種から芽が出て、どんどんと大きくなって野菜が成長し収穫するところまで見させてもらえるのかと思うと、改めて嬉しい気持ちになったし、楽しみな気持ちで心が満たされました。
最初に、種まきをする畝の上を棒で均しました。条間が10~15センチで、株間が20センチ。畑用の定規で測り、種をまくところを本当に浅く掘り、種まき培土を少しだけ置き、ポンポンと手で圧縮させました。
それだけでも凄く緊張してしまい、「どうか種が出ますように」と、その思い1つで種まきを進めていました。種まきは、野菜にとって最初の工程で、すごく大事と知っていたので、なおさら緊張していました。
1畝に4条ずつまいていきます。向かい合い、1人2条ずつ種まきを進めていきました。
毎回、向かい側に来る人に、何度も、これで大丈夫かな、これは浅すぎるかな? とか、深すぎるかな? と聞いてしまったのですが、何度聞いてしまっても、種まきメンバーの皆が優しく答えてくれて、すっごく嬉しかったし、心強かったです。
そして、種まき培土の敷布団ができると、その上に小松菜の種を2個、少しだけ離して置きました。種を置くだけでも、なにかすごく楽しくて、手で小さい種を持った時に、
「凄く小さいけれども、これが野菜の命で生命なんだな」
と感じると、ぎゅっと気持ちがあったかくなりましたし、生命って凄いなと感動しました。
種を置き、それからまた培土の掛布団を少しかぶせて、またポンポンと圧縮して、その上から籾殻をかけ完成です。なにか種が布団で寝ているみたいだなと思い、野菜は種から、もうすでに可愛いなと感じました。
それに、種まきをしていて、これまで感じたことのないような皆の真剣な空気を初めて実際に感じさせてもらいました。
種まきは芽がでるか出ないかで真剣な作業とは知っていたのですが、思っていたよりも真剣な空気があり、感じたことのないような空気でした。その真剣な空気の中で集中して種まきをさせてもらえて凄く嬉しかったし、何より、すっごく楽しかったです。

芽が出るか、出ないか不安な気持ちもあるのですが、どうか出ますようにという願いが、小松菜に届きますように。
そして、全畝の種まきが終わったとき、みんなで「やった!」と喜べたのも嬉しくて、幸せな気持ちでいっぱいでした。
ですが、いつもの幸せという気持ちとは、またなにか種類が少し違うような、ドキドキわくわくな気持ちが混じった幸せな気持ちで胸がいっぱいだったなと思います。
それから、思っていたよりも集中していたのか、気づいたら時間が約2時間半経っていて、びっくりしました。自分ではまだ1時間経ったか、経っていないかだと思っていたのですが、そんなに集中していたのかと思い、集中力がこれまでなく、今もないと思っていた自分が、こんなにも集中できていたことも驚きで、嬉しい気持ちでいっぱいでした。
初めて種まきをさせてもらい、一つひとつの工程に緊張感もあったのですが、それがまた面白く楽しかったです。
それから、「野菜ってすごく面白いな」という、野菜に対しての、農業に対しての興味、面白さ、楽しさに、また1つ何か惹かれたなと感じます。
(かのん)
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桃畑では、予備摘果という手入れを進めています。今日は、清水白桃と、白皇の2品種を進めました。
どちらも繊細な品種なので、いつもよりも緊張しました。
清水白桃は、生理落下をする品種で、どのぐらい実が落ちるか、ということも、年によって差があります。そのため、どのぐらい実を残すべきか、読むのが難しいなと思います。なのはなの桃畑のなかでも、清水白桃は、いちばん本数が多い品種です。繊細で、手入れも難しいけれど、収穫する時の香りや、見た目は格別で、品があります。
綺麗な形の、良い実を収穫するために、摘果はとても重要な作業です。
予備摘果は、仕上げ摘果の前段階で、最終着果数の2倍の数に絞ります。摘果の段階を2回に分けることで、一度に大量に実を落とすことを防ぐ効果があります。一度にたくさんの実を落としてしまうと、樹に残った実に、突然養分が多く流れることになるので、種が割れてしまったり、異常をきたしてしまいます。桃の実にショックが起きないように、慎重に、摘果をする必要があります。
清水白桃は、生理落下をすることを踏まえ、予備摘果の段階でも、すこし多めに実を残しました。小さい実や、虫食いの実、形が歪なものなどを優先的に落としていき、だいたい拳一個分ぐらいの間隔に実がつくようにします。落としてしまったら、もう後戻りが聞かないので、責任重大です。形が良く、綺麗で大きい実を、良い位置に残すようにします。
今、桃の実は直径3センチぐらいに大きくなっていて、かなり収穫する形の原型が見え始めてきています。ついこの間まで、赤ちゃん桃だったけれど、今は、もう中学生ぐらいの存在感になってきていて、落としてしまうのが、少し心が痛いような気がします。けれど、大きくて甘い桃を採るために、意を決して、実を選別します。
白皇は、品種の性質上、果梗内亀裂して、収穫に結び付けられない実が多く出ます。そのため、摘果も緊張しました。
白皇は晩生品種で収穫は遅いのに、花は真っ先に咲きました。そのため、実も他の品種よりも大きくなっていました。また、結実が良く、大きな実が枝にたくさんついていて、今も、少し枝が重そうに見えました。摘果をすると、枝がほっとしたように見えました。
満開から50日後に、硬殻期といって、種が固まる時期に差し掛かります。硬殻期は、人間でいうと妊婦さんのような時期で、とてもデリケートになります。その時期までに摘果を終わらせる必要があります。今年は、4月13日ごろが満開だったので、硬殻期は6月初めからの予想です。それまでに、仕上げ摘果まで終わらせられるよう、引き続き進めていきたいです。
(りな)
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