「利他心の輪」 ゆうは

5月14日

 今日は午前も午後も、そして朝の作業も桃の摘果をしました。
 最近の作業はほとんど摘果に参加させていただいています。桃の摘果は一見簡単そうだなと思っていたのですが、いざやってみると、とても大変な作業でした。意外と体力がいります。
 そして何より必要なのが集中力。

 ただ実を取っていけばいいのではなく、虫に食われてはいないか、受粉不良ではないかなど落とすべき実を、その木の実の付き具合によって臨機応変に間隔を調節しながら落としていきます。

 一番大変だったのが変形果の見分け方。
 品種によって特徴も違うし、正常な実と見比べても違いがなかなか分からないほどの小さな変化を見極める必要があります。
 しかも桃の木はたくさんあるのでゆっくりはしていられません。見落としがないように慎重に、かつ硬核期に間に合うようにスピード感を持っての作業。

 一日中そんな頭も体力も使う作業をできるほどの集中力や忍耐力が私にはまだ欠けていて、初めのころはたまにぼーっと枝を見つめてしまったり、桃に気を取られすぎてしまったり、と足を引っ張るばかりでした。
 なのはなの桃のファンはたくさんいると聞いているし、みんなからも桃への熱意はすごく伝わってきて、
 高い脚立も使えないし、私よりも向いている人がいるのに、私が参加させてもらっていいのかなという後ろめたい気持ちもありました。
 でも回数を重ねるにつれ残す実の判断が早くなってきて、ゾーンに入ったみたいに集中できるようになってきました。
 桃メンバーや他のみんなと一斉に桃の木に取り付いて、一日に沢山の木の摘果を進められた達成感はとても気持ちよくて、今では大好きな作業です。
 いつからか私でいいのかなという後ろ向きな気持ちは、私もおいしい桃を作ることに貢献させてもらえるのだという前向きな気持ちに変わっていました。
 そう思うようになってからは作業へのやる気も大きくなり、より真剣に、より集中してできるようになっていると感じています。

 とはいえ、1日、摘果の作業となると、夜はやっぱり疲れを感じてしまいます。
 ぐっすり眠れる心地よい疲労感なのですが、これ以上はしんどいだろうなと感じてしまいます。しかし、桃メンバーの人は、お弁当を持って、集中的に作業をしている姿は、本当にすごくてかっこいいです。
 美味しい桃ができるようにみんなよりも長く作業をしてくれる子がいて、その子たちの当番を他の子がカバーする。
 なのはなでの桃づくりはみんなの利他心でなりたっていて、だからこそおいしい桃ができるのだろうなと思っています。
 私もその利他心の輪に入ってみんなと一緒においしい桃を作ってみんなと一緒にいただけることが楽しみです。

立派な桃がたくさんできますように。